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独ルフトハンザによるITAエアウェイズ買収がほぼ本決まりに


ITAエアウェイズのA320

2021年10月14日に最終運航を終え会社清算となったイタリアのアリタリア航空の後を受け、その翌日から新たにイタリア政府が100%出資する新航空会社としてスタートしたのがITAエアウェイズである。そのITAを吸収合併することに名乗りを挙げたドイツのルフトハンザ航空は、本23年1月18日に正式に伊政府に対しITA買収の入札を提出して、買収主候補の筆頭に躍り出ていた。
ITA経営陣によると、同3月30日にはルフトハンザとの共同事業計画がITA株主によって承認されている。

その後現在までに、ルフトハンザ/伊政府/ITAの3者による協議は、主に「ルフトハンザが可能な株式投資の形態、ルフトハンザ・グループへのITAの商業面および運営面での最適な統合方法、さらにシナジー効果をどう高めるかに時間を要していた」ことを、ITA経営陣が現地報道で明らかにしている。

2023年4月24日に設定されていた交渉期限を過ぎたにもかかわらず、3者は交渉を継続しているが、新たに本年5月12日に新しい交渉期限が設定されたという。ルフトハンザは少なくとも2020年代半ば(25〜26年ごろ)までにはITAを完全に引き継ぐことを示す必要があるとしており、この新期限までに3者合意が成立すると見込まれているところ。

暫定的な計画では、ルフトハンザが2億ユーロから2億5000万ユーロ(約296〜370億円)の価格でITAの最初の40%の株式を取得し、25年下半期または26年上半期までに同航空会社を完全に買収することが見込まれている。ルフトハンザが残りの60%を取得するための条件は、ITAの損益分岐点いかんに関わってくるようだ。

イタリアの現フラッグ・キャリアであるITAは昨22年、収益が15億ユーロ(2220億円)以上に急増したにもかかわらず、4億8600万ユーロ(約719億円)の純損失を出して終わった。経営陣の説明では、会社立ち上げ段階の諸費用増加に加えて、22年上半期のコロナ禍と年間を通したウクライナ戦争の悪影響があったほか、燃料価格の上昇とユーロの対ドル・レート悪化が損失を増やしたという。

ルフトハンザは「わがグループにとってイタリアは本国市場と米国以外で最も重要な市場である」としており、欧州屈指の観光国のフラッグ・キャリアを傘下に収めることに強い意欲をみせている。ルフトハンザによるITA買収はほぼ決定とみてよさそうだ。

2023年5月10日掲載


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