エアバスとボーイングの大型貨物機発注の差縮まる、キャセイ、ターキッシュから受注で
ターキッシュエアラインズがエアバスに次世代大型貨物機のA350フレイター(A350F)を5機発注した。
今回の発注は、A321neo×150機、A350-900×50機、A350-1000×15機を含む計220機の発注の一部。ターキッシュエアラインズは現在、A330-200F×10機、B777F×8機、B747-400F×2機、A310-300F×2機の貨物機を運航しているが、大型貨物機についてはボーイングではなくエアバスを選択した形となった。
A350Fは大型旅客機A350の貨物型で、ペイロードは最大109トン、航続距離は8700キロメートル、機体後部左側に貨物ドアが設置されている。
大型貨物機セグメントではボーイングのB777FとエアバスのA350Fが競い合っている。エアバスは2021年11月にドバイ航空ショーでA350Fの計画を発表。現在、9社から計50機の発注を受けている。直近では12月初めに、キャセイパシフィック航空がA350F×6機を発注し、機齢の高い既存のB747-400FをA350Fにリプレイスする計画としている。なお、キャセイはさらにA350F×20機を取得する権利も確保しており、A350Fを最大26機導入することができる。
一方のボーイングも新型の貨物機となるB777-8F(航続距離は8167km、最大ペイロードが118トン)を5社の顧客から55機を受注しているが、そのうち34機はカタール航空からの発注となる。
A350Fは現在開発中だが、エアバスは同機の就航開始を当初の2025年から2026年に延期している。一方のボーイングはB777-8Fの納入目標を2027年としている。
航空貨物市場の低迷が続き、貨物航空各社は新機材への投資を大幅に遅らせている。ボーイングは大型貨物機の新造機市場を独占しているが、昨22年10月以来、大型貨物機の発注を受けておらず、キャセイ、ターキッシュがエアバスを選択したことで、エアバスとボーイングとの大型貨物機の受注格差が縮まる形となった。
2023年12月19日掲載