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ボーイングがSAF使用機材の飛行試験、航行中の飛行機雲形成の影響を調査

ボーイングはこのほど、NASA、ユナイテッド航空とともに持続可能な航空燃料(SAF)の使用による非炭素排出量と、航空機エンジンの排気と圧力変化によって生成される線状の雲、いわゆる飛行機雲の形成に対する影響を評価することを目的とした飛行試験プログラムを開始したと発表した。
今回の飛行試験は、サステナビリティのための技術開発を加速することを目的としたボーイングの「2023年・エコデモンストレーター計画」の一環として実施されるもの。

飛行試験に使用されたエコデモンストレーター機材(737-10、ボーイングWebサイトより)

このプログラムは3週間にわたり実施され、機材はユナイテッド航空向けの737-10を使用する。同機材はボーイングの23年エコデモンストレーター計画の機材として2機目となる。
飛行試験ではセンサーを搭載したDC-8が737の後方を飛行して、排気ガスと飛行機雲の氷粒子を測定する。

飛行機雲は、排気ガスに含まれる水蒸気と粒子が地上7000〜1万mの高高度の冷たく湿った空気と混合することで発生するもので、特定の大気条件下では長時間持続する雲が生成され、これが航空分野における温暖化の一因とも推定されている。

ドイツ航空宇宙センターの研究によると、飛行機雲とそれに伴う巻雲には主として、地球の表面から反射した熱を取り込む効果があるという。一方で、飛行機雲と巻雲には、太陽光線をわずかに遮って温暖化を抑えるという逆の効果もあるが、それは熱を吸収する効果よりも小さいとの研究結果が出ている。

飛行試験実験では、737の飛行で従来燃料とSAFの2種類の燃料を使用して、飛行機雲の形成に適した気団の中を飛行、後続のDC-8は、737が従来燃料とSAFのそれぞれの飛行の際に形成した飛行機雲をサンプリングして測定する。

ボーイングによると、「研究者らはSAFによって持続的な飛行機雲の形成が減少する可能性があると考えている。これは、SAFには従来の燃料では高高度で水が凝結する可能性のある排気微粒子を形成する芳香族(炭素と水素からできている化学物質化合物)成分と硫黄成分が含まれていないため」としている。ジェット燃料で排出される粒子は、主に硫酸塩、硝酸塩、炭素、灰で構成される。

また、プロジェクト・パートナーであるユナイテッド航空は、「私たちがテストしているのは、芳香族成分を含まない100% SAFでいつか飛行できるとしたら、持続的な飛行機雲の形成を完全に回避できるかということ。現在は100% SAFによる飛行認可は受けていないが、SAFが十分に供給され、エンジンメーカーが(100%SAFでの飛行に)対応できると宣言すれば、将来的に飛行機雲の形成を完全に回避できる可能性がある」としている。

ボーイングは、「今回のプロジェクトは、SAFがどのように排出量を削減し、その他の環境上の利点を実現できるかに焦点を当てたNASAとの複数年にわたるパートナーシップの最新段階だ」とした上で、「持続可能な方法で生産されたさまざまな原料から生成されるSAFは、煤の発生量が少ないため空港近くの大気の質を改善できるほか、従来のジェット燃料と比較して燃料のライフサイクル全体で排出量を最大85% 削減でき、今後30年間でCO2を削減する最大の可能性を航空分野にもたらす」とコメントしている。

2023年10月17日掲載

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