UPSが新たに300億ドルの資金を拠出、全米運輸労組との暫定協約に合意
インテグレーター世界トップスリーの一角を占める米国UPSと、約34万人のUPS従業員が加盟している全米運輸労組International Brotherhood of Teamsters(通称:チームスターズ)は、労働協約の更改をめぐって過去数週間にわたって困難な交渉を続けてきたが、現地時間の7月25日、向こう5年間の暫定的な協約締結で合意に達した。
ここまで労使交渉が難航したのは、組合員の約半数を占めるパートタイム労働者の賃上げに関して労使が衝突したため。米国でも人手不足が深刻で労働市場が逼迫するのにともない、新規採用者の賃金が急速に跳ね上がったため、古くから勤務しているベテラン・パートタイム労働者が新規採用者の賃金と変わらないことに不満を抱いたことから、この点を整合化することを組合側が求めていた。
UPS側はこの問題を解決するために新たに300億ドル(約4兆2000億円)の資金を拠出し、組合側の要望に沿うことにしたもの。
同日、UPS のキャロル・トメCEOは、「われわれは、チームスターズのリーダーシップにより、UPSとその従業員および顧客にとっての重要な問題について、3者ともにウィン・ウィン・ウィンとなる合意に達した。今次協約は、UPSのフルタイムおよびパートタイムの従業員それぞれに業界をリードする給与と福利厚生を提供し続けると同時に、競争力を維持し、顧客にサービスを提供し、ビジネスを強力に維持するために必要な柔軟性をもたらします」との声明を発表した。
2023~28年の5年間に適用されるUPS/チームスターズの全国基本契約の要点は次のとおり。
以上の画期的な暫定協約に労使が合意した結果、UPSでは7500人の新しいフルタイム従業員の仕事が創出され、2万2500人の空きポジションが生じることから、契約期間を通じてパートタイマーがフルタイムの仕事に移行するためのより多くの機会が確立されたという。
チームスターズ関係者は、「この労働者にとって圧倒的に有利な今回の契約は、すべての労働者の賃金を引き上げ、より多くのフルタイム雇用を創出し、職場の保護と改善を数多く含んでいる。チームスター労働者がアメリカを動かした。組合は組合員のために勝利することを誓ってこの交渉に臨み、UPS史上最高の契約を要求し、それを実現した」と、高らかに宣言した。
2023年8月2日掲載