AAHKが東莞港務集団と合弁会社、東莞〜香港間の海空複合輸送へ前進
香港国際空港(HKIA)を運営する香港空港管理局(AAHK)はこのほど、中国・広東省の東莞港を管理する東莞港務集団と“東莞〜香港国際空港センター”(以下、東莞空港センター)開発のための合弁会社を設立する協定を締結した。
AAHKはことし4月、東莞港に東莞〜香港間の海空複合輸送を実現するための物流施設として東莞空港センターの運用を開始し、これに合わせて香港国際空港にも“エアサイドカーゴターミナル”を設置した。
東莞空港センターは世界初の海空複合輸送専用の物流センターで、香港エアサイドカーゴターミナルと一体的な運用をすることで、世界初の海空複合輸送スキームが構築されている。このプロジェクトは広東省~香港間の協力枠組み協定の重点事業として位置付けられており、広東省・香港・マカオ大湾区(グレーターベイエリア)構想の一環でもある。
東莞空港センターについては、開発の第1フェーズ(面積20ヘクタール)が完了すると、同センターの年間貨物処理能力は100万トン以上に達すると予想されている。
AAHKは今回の協定に基づき、東莞空港センターの計画、管理、運営を担当する全額出資の子会社を設立している。
これまで、グレーターベイエリアの航空輸出貨物が香港空港を経由して海外に輸送される場合、一般的に陸路で深圳を経由して香港空港の貨物ターミナルに輸送、その後、セキュリティ検査をして世界各地に発送されるという一連のステップを踏む必要があった。
ところが東莞空港センターの開設により、東莞港で通関手続きをワンストップで行えるほか、セキュリティー検査を受けた後パレタイズ(積載)され、専用フィーダー船により香港側のエアサイドカーゴターミナルまで運搬され、香港空港で再度セキュリティ手続きを受けることなく直接航空機に搭載して海外に再輸送できるようになった。これにより、従来よりも物流コストで30%、輸送時間で20%の削減が可能になった。
ことし2月にはキャセイパシフィックが(CPA)が、東莞から航空貨物を受け取り、海上フィーダー船でHKIAに運び、同空港から航空機で海外へ輸送するサービスを実施したほか、8月には台湾のフォワーダー中菲行國際物流(ディメルコ)がCPA、HKIAと協力して、シンガポールから香港を経由して東莞まで貨物を輸送する新しいエア&シー・ソリューションのトライアルを実施している。
このほか、郵船ロジスティクスが香港当局から認証を受けた唯一の日系フォワーダーとしてプロジェクトに参画しており、ことし3月にはHKIAが運営する東莞虎門総合保税区(東莞虎門BLP)内に航空輸出貨物の自社CFSを開設している。
グレーターベイエリアは今後も経済発展が見込まれいて、東莞空港センターは大湾区と世界をつなぐ中継基地としての役割も期待されている。
2023年11月22日掲載
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