エールフランス;パリ・オルリーから撤退、シャルル・ド・ゴールに集約へ
エールフランス(AFR)が2026年夏をめどにパリ・オルリー空港(ORY)から撤退する。
AFRはORY発着のトゥールーズ、マルセイユ、ニースの各路線のほか、フランス海外領土への往復便の運航を継続するが、26年夏以降、コルシカ島便を除く全便をパリ・シャルル・ド・ゴール空港(CDG)に移管する。ORY発着便については、グループのLCCであるトランサヴィアが運航する。
ただAFRはORYから撤退するものの、トランサヴィアが運航することで、同グループとして、パリとトゥールーズ、マルセイユ、ニース間の輸送能力は現在の水準の90%、パリとフランス海外領土間の路線については100%維持されるとしている。
AFRによれば、「ビデオ会議の台頭、国内出張の減少、鉄道へのシフトの拡大などにより、国内のポイント・ツー・ポイントネットワークの需要減少が続いている。2019年から2023年にかけて、ORY発国内線の交通量は40%、日帰り往復便は60%、それぞれ需要が減少した」としている。
AFRはパリでCDG、ORYの2空港を利用している。CDGが同社の世界的なハブとして機能する一方、 ORYは市内中心部に近いため利便性も高く、それなりの存在感を維持しており、国内やフランスの海外領土、北アフリカの少数の都市への国際線が運航されているところ。
フランスではことし5月、二酸化炭素(CO2)排出量削減を目的に、鉄道での移動が可能な国内の短距離区間で、航空路線の運航を禁止する法律が施行された。これにより、鉄道で2時間30分以内の代替手段がある短距離路線が廃止されている。
このため、AFRは同社の持続可能性に向けた取り組み効果と合わせ、主要ハブ空港であるCDGにすべてのネットワークを集約させる方針だ。AFRは「ORYの従業員はCDGでのポジションが提供されるため、雇用への影響は限定的で、強制解雇は行わない」と説明している。今後、労働組合との交渉とともに、従業員代表機関との情報提供と協議のプロセスが開始される予定。
2023年10月25日掲載