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メロン:昨22年の輸出は数量・金額ともに過去最高に

今、動きのある航空貨物の品目を様々な視点から解説する”エアカーゴ専科”。
今回のテーマは「メロン」。

日本で栽培されている代表的なメロンのひとつに「マスクメロン」がある。マスクメロンのマスクは”Musk”(ジャコウ鹿)の意味だが、さらにその語源はギリシャ語のMoskhos(麝香、じゃこう)に遡る。マスクメロンの香りが麝香の香りのように素晴らしい、というところから名付けられたもの。

甘く、やわらかい日本のメロン

マスクメロンは、温度、湿度等をコントロールしたガラス温室内で、地面から盛り上げた有機肥料床で立体栽培するのが特徴。したがって果実自体は地面から離れた状態で成育する。1本の木から1個のみの収穫ながら1年中安定した収穫が可能だ。

そのほかに、網目があるネットメロン(ガアールス-フェボリット雑種やアンデスメロンなど)があるが、こちらはビニールハウスで地面に直接植えて育てている。これらのネットメロンは病害虫や栽培環境が悪くても育つようにほかの病気に強いメロンと交配してつくられるようになったもので、春から秋にかけて栽培されている。

メロンといえば編み目が特徴のひとつだが、編み目はメロンの果実の生育中に表皮の成長が止まって硬くなっていくのに対し、内部はまだ成長を続けていて、大きくなろうとする力でひび割れが入ってきたもの。
その割れ目をふさごうとかさぶたのようなものが自然とできて、きれいな網目模様を作っていく。
きれいな模様と形のメロンは、長年の経験と技術、そして丁寧な栽培が実を結んだものであると言える。

メロン生産量1位は茨城県

日本におけるメロンの全国出荷量1位は茨城県で、出荷量は3万4200トンで全国シェアが25%となる。
美味しいメロンづくりには、水捌けの良い土地・一年を通じて温暖な気候・昼夜の気温差が必要で、その環境条件が整っているということで茨城県の鉾田市が一大産地になっているようだ。
ついで、熊本県・2万4000トン、北海道・1万8900トンと続き、この3地域で全体の5割を超えている。

税関の貿易統計によると、昨22年のメロンの輸出は金額:13.2億円/数量:1308トン。金額・数量とも、過去最高に達した。

右肩上がりに輸出量が増加している

同年実績での輸出先(相手国)は、全体の9割近くを占める香港(11.7億円/1170トン)が圧倒的な首位で、以下シンガポール(6332万円/64トン)/台湾(3227万円/32トン)/マカオ(2770万円/13トン)などアジア向けが多い。香港向けが多いのは、植物検疫証明書が不要であることや富裕層が多いことなどが挙げられ、東南アジアは華僑社会が形成されていて、中秋節の際などに果物を贈答品とする習慣があるためのようだ。ただ、アジア向けが増えている中で、中国本土では植物検疫上の理由で、いまだにメロンの輸入を禁止している。

また、米国(3037万円/12トン)も、台湾/マカオとほぼ同規模のシェアをもつ重要な仕向け国であることが分かった。

22年は航空貨物として輸送されたものが10.4億円/933トン、海上貨物として輸送されたものが2.8億円/375トン。つまり航空貨物の比率は金額ベースで約8割、数量ベースで約7割といったところになる。
鮮度保持がきわめて重要なメロンの輸送だけに、スピード重視の航空便が多く利用されているといえる。

今後の展開として

それまで病害虫の侵入を警戒して日本産メロン生果実の輸入を禁止していた米国が、21年11月から米本土への輸入を解禁した。それまで対米メロン輸出はハワイ向けのみが認められていたわけだが、21年の解禁により米国本土への輸出も増加していることが朗報である。

米国では、メロンとはサイコロ形にしてフォークで刺して食べるような固く、甘味の少ない果実が一般的なため、日本産のようにスプーンですくって食べられるほど柔らかく甘く、口の中でとろけるような食感のメロンは少ないため、高級レストランなどで提供されるデザート果実として日本産メロンの需要が高まっているようだ。

2023年6月8日掲載


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