マースクエアカーゴがアトランタに新貨物ハブを開設、米国でのネットワークをさらに強化
マースクエアカーゴはこのほど、米国ジョージア州アトランタのハーツフィールド・ジャクソン国際空港(ATL)近くに、新たに12万3000平方フィートの敷地面積を誇る航空貨物取り扱い施設を開設した。
この新施設は、アトランタ・トレードポート地区の外国貿易ゾーンに位置しており、アトランタ国際空港からわずか2マイルの場所。道路アクセス面でも州間高速道路75号線と285号線に接している。
駐機場側では貨物機と新施設との間で即時にULDの移送が行えるほか、2つの特大進入ランプから入ったトラックは39のドックドアで荷役可能。米国税関の保税コンテナ貨物ステーション (CFS)の許可を得ているうえ、米国運輸保安局(TSA)認定の貨物検査施設としても運営されているため、輸出入ULDの優先処理が可能になるとしている。
この新しい航空貨物施設の利用者は、関税が軽減され、処理手数料が削減されるメリットがある。同じジョージア州のサバンナ港で揚げられた外国海貨を、迅速に米国内向け接続空輸することも実現できるという。
ただし、マースクエアカーゴの米南部における国際線基地は、アトランタから東南約250キロにあるグリーンビル国際空港(サウスカロライナ州)であり、同社はそこから自社便としてドイツのフランクフルト・ハーン国際空港へ週5往復のB747F便と、中国・瀋陽への週2便のB767便(復航で韓国ソウルに寄港)を運航している。今回のアトランタ貨物ハブは、国際貨物面ではグリーンビル空港と一体化して運用されることになりそうだ。
アトランタ空港は世界で最も多くの発着便を扱う最繁忙空港として知られているが、実際にアトランタ市そのものも米国南東部における最も重要な商業、金融、交通の中心地であり、フォーチュン誌による全米1000企業のうちの75%以上がアトランタ地域に拠点を置くほか、約1250社の多国籍企業のオフィスが存在する。
そのため、マースクエアカーゴの北米航空貨物地域責任者も「新たなアトランタ施設は当社のサービスを強化し、米南部における倉庫保管と輸送の地域的能力を拡大し、柔軟で優れたサプライチェーンをお客さまに提供します。このハブの接続能力を活用して、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋、そして世界にわたる航空貨物ネットワークを強化できるようになります」と自信を見せている。
マースクエアカーゴは昨22年10月、シカゴ地域のオヘア国際空港とロックフォード国際空港を利用する顧客に向けて、より統合かつ一貫したサプライチェーンの機会を提供するために、新しいシカゴ航空貨物ゲートウエー施設を開設していた。
また、マイアミに本社を置く貨物航空会社アメリジェット・インターナショナルとの提携によってサウスカロライナ州と韓国、中国間の定期航空貨物サービスを開始したばかり。
世界最大手の海運会社A.P. モラー・マースクの航空貨物航空会社として昨年4月に運営開始したマースクエアカーゴだが、今回のアトランタ貨物ハブの開設によって、中国と並ぶ世界最大の航空貨物市場である米国においても、着々と地歩を固めつつあることがうかがえる。
2023年7月25日掲載
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