「脱・ディレクションの常識」のはじまり
優秀なディレクターと残念なディレクターの差は、ディレクションに向き合う姿勢に現れる。
「言われたことしかやらない」受け身姿勢のディレクターは評価されない。
そもそも、ディレクターは「指示を待つ」側ではなく「指示を生み出す」側にいる。それは、プロジェクトチームの一員として「与えられた作業をこなす」立場というより、チーム全体に「与える作業をクリエイトする」立場。
無から有をゼロイチするクリエイティブワークにおいて、プロジェクトを牽引するディレクターに求められるのは、受け身姿勢とは真逆の「能動的姿勢」。誰かのお膳立てを待つのではなく、自らがお膳立てする側に回ることで機能するディレクターは、あらゆる状況下で「率先して考え、率先して動く」必要がある。その働きこそ、ディレクターの存在価値。
とくに、その是非が問われるフェーズが、プロジェクト序盤の上流工程。
そもそも、ディレクターに依頼する発注側(クライアント)にしてみれば、コンテンツづくりは成果への投資であり、そこでは「何をつくるか(制作)」の前に「どうカタチにするか(設計)」があり、その前の「そもそも何が必要か(企画)」に向き合う必要がある。
よって、ヒアリングは聞いてるだけじゃダメ…プランニングは闇雲に発想してるだけじゃダメ…プレゼンは一方的に発表してるだけじゃダメ…つまるところ「受け身姿勢はNG」って話になるけど、じゃあ具体的にどう考え、どう動くべきなのか。
ディレクターに求められる「思考力×行動力」は、現場経験によって培われる。これまで独学や我流で挑んできたベテランにしてみれば「ひたすら現場で経験を積むべし!」が、経験値を積むスタンダードだったかもしれない。
けど、それは、これからを担う次世代に受け継がれるべき理想的なソリューションなのだろうか?
いわゆる業界の常識には、受け継がれるべき伝統と、受け継がれてはならない(見直すべき)悪習慣があると思う。
業界歴20年以上のディレクターである私自身、良くも悪くも「これまでの常識」を築いてきた側にいる。そこに投じる一石は、ある意味で「これまでの自分を否定」のようであるけど、本マガジンでは「脱・ディレクションの常識」をテーマに、じっくり向き合っていきたいと思う。
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