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インタビュー番組に「喝」シリーズ①『出演者の役回りの重要性』

これまで「映像専門家の領域」だった動画づくり。しかし、YouTubeをはじめとする動画配信プラットホームやSNSの台頭により、私たちWebディレクターが主体となって制作進行を担うケースも増えてきました。

前回は、コンテンツづくりにおける機材面のお話でしたが、今回から(ガラッと装いを変えて)インタビュー番組に『喝』シリーズと題し、最近ニーズが高まってきた「インタビュー番組づくり」の内容面のプランニングをテーマに、これまで数々のコンテンツを手がけてきたWebディレクターならではの視点からお届けします。

株式会社エンタミナ 田口 真行

「頭数を増やせば、盛り上がるでしょ?」
は大間違い

まず、声を大にして言いたいこと。
ひとりトーク番組と比較して、複数人のトーク番組は難易度が上がる。

「え? 出演者が増えれば、トークが盛り上がるんじゃない?」と思う方も多いかもしれないけど(結論から言うと)そこは必ずしも比例しない。

今回は、意外と知られていない「出演者の頭数が増えることの影響」を解説。

出演者の役回りが「トークの広がり」に影響

インタビュー番組に登場する出演者は、司会者とゲストで構成する場合が多い。1対1の対談であれば両者の役割は明確だが、ゲストが複数人の場合は「役回りが曖昧」になりがち。

よくあるのが、社員インタビュー。
ゲスト(社員)が複数人にも関わらず、皆が同じ立場、同じ目線で発言するとトークは広がりにくい。というか、そもそも「複数人の必要性」を感じない状況に陥ってしまう(それがコンテンツの目的や主旨であれば問題ない)。

もちろん、中には盛り上がるケースもあるが、それは「盛り上げ役」が存在するケース。

動画コンテンツに登場する出演者の役回りは、発言内容やトークの広がりに大きく影響する。「進行役」や「盛り上げ役」の他、「主観的/客観的」や「ネガティブ/ポジティブ」の対立構図を担う役回りだったり、「どっちつかずの天然っぽい意見」や「茶化し役(裏回し)」なども有効。

つまるところ、役回りのバリエーションが、トーク展開のバリエーションを左右するのだ。

ちなみに「役回りの設定」は、それぞれのキャラクター性を踏まえて『ナチュラルに』アサインしたほうがいい(インタビューは演劇ではない)。

繰り返しになるが、複数人いれば「話題も増えて、トークも盛り上がるだろう」とは限らない。というか(多人数になることで)せっかくの話題が逆に「中途半端に尻つぼんでしまう」こともある。

よくある落とし穴として、ひとり喋りやプレゼンが得意なゲストを複数人集めて構成するパネルディスカッション。
「その道のベテランが多数集結!さぞ盛り上がるだろう!」と期待した結果、肩透かしをくらうこともしばしば。ゲスト同士が互いに気を使いすぎて(役回りに迷って)、場が盛り上がらない…なんてことも起こったりする。

実際、私自身もいちゲストとして呼んでいただくことがあるけど、他ゲストへの配慮が空回りすることで、発言を躊躇したり、話題の掘り下げを遠慮しちゃったりと逆効果に働いてしまうこともよくある。そんな時、「事前に役回りをすり合わせておけばよかった…」と後悔が募る。

トーク番組の「役回り」は自然派生することも無いことはないけど、それはあくまで偶然の産物。コンテンツプランニング段階で、ゲストの立場を踏まえたそれぞれの役回りを意識的に設計する必要がある。

例えば、社員インタビュー番組の場合、「誰を出演させるか?」の前に「どんな役回りが必要か?」から考える。もちろん、それは「どんなインタビュー番組にしたいか?(コンテンツの方向性)」に依存するので、そこが定まらないと、必要な役回りも見えてこない。

コンテンツの方向性を定義する上で、最も効率的な方法は「こんなインタビュー番組にしたい!」というサンプルをまずは用意すること。他社のYouTube番組はもちろん、テレビ番組なんかも参考になる。

日頃、いちユーザーとして楽しんでいるコンテンツに対して「どんな役回りで構成されているのだろう?」という目線で分析するだけでも「そこに必要な役回り」が浮かびあがってくるだろう。

※ちなみに、プロのアナウンサーや芸人が出演する番組は「一人=一役」と限らない場合もある。ひとりの演者が複数の役回りを担うことで、トーク展開のバリエーションをさらに発展させたりしているのだけど…その辺りはちょっと複雑な話になるので、また別の機会に解説したい。

さて、次回は「インタビュー番組における、事前準備の落とし穴」をテーマお届けします。

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