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現場設営の「超時短」を目指したライブ配信システム

クライアント先のオフィスやホールで行うライブ配信や撮影収録。
複数の機器やケーブルを持ち込み「毎回、現場で組み立てる」が通例だけど、そこに要するリソース負荷(時間と体力)は軽いものではない。

そこで、本番前の負荷を軽減し、本番に時間と体力を存分に注ぎこむための「ライブ配信システム(2024年春版)」を新たに構築した。

事前計画

計画段階の配線図

配線図の「黄色枠内の機器たち」をケーブル結線済みでラックマウントさせる!が本ミッションで目指すゴール。しかし、ラックマウント規格に準拠した機器はひとつも無く、規格外の機器を「いかにマウントするか?」が最大の課題かつ工夫どころ。

計画段階のレイアウトプラン(正面)

まずはフレーム選び

運搬時の安全性を重視するなら「しっかりしたケース」に収めたほうがいい反面、頑丈なケースは重く体力消耗に直結する。また、堅牢なケースは内部アクセスがしずらく、緊急時のトラブル(結線の不良や交換など)に対応しにくい。

よって今回は「(頑丈さや堅牢さは二の次で)軽量でコンパクト&内部アクセスしやすい」をモットーとした「剝き出しフレーム」を採用。

といっても、都合の良い既製品なんぞ存在しないわけで、下記の部材を組み合わせて基本フレームをゼロから作り上げた。

KIKUTANI ( キクタニ ) / STR-268 1Uラックトレー
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/311844/

2枚の天板を4本の柱で支えるだけの超オープンフレームなラック。パーツ代は1万円ちょい。

1段目に機器を設置

1段目には「オペレーション時に直接タッチしない機器」を配置。ピッタリな収まり具合が気持ちいい。

Thonderboltケースには、BlackmagicのDeckLink QuadHDMI、DeckLink 8Kpro、DeckLink MonitorHDの3枚のボードを刺している。

「とことん軽く」を合言葉に(Thonderboltケースは蓋を外し)基盤ユニットのみ設置。ガワが無いことで(ラックマウント状態でも)キャプチャボードへの直アクセスが可能、ファームアップデートも簡単にできる(別ボードの載せ替えもラクラク)。

ThunderboltケースとRoland V-02HDのACアダプターは、マグネットシールで天板に固定。熱がこもりやすいBlackmagic UltraStudio 4Kminiのファンに干渉しないように配置。ちなみに、結線バンドではなくマグネットシールを選んだ理由は(いざって時の)取り外しや位置調整をスムーズにしたいため。

直接重ねた機器(UltraStudio4KとV-02HD)の間には、隙間を設けるため「耐震ジェル」を挟んだ。ジェルが熱伝導を遮ることも(多少)期待。

2段目に機器を設置

2段目は「オペレーション時に頻繁にタッチ&目視する機器」を配置。

当初、2台のレコーダー(Blackmagic VideoAssist)は天板穴を利用して「ネジ止め」をしていたけど…「取り外し&位置調整を柔軟に」って意向から、マグネット吸着式のミニ雲台を採用。

15インチの有機ELディスプレイも、フレームの柱にペタッとマグネット式のミニ雲台で固定。こちらも取り外し&位置調整はフレキシブル。アングル自在でめちゃ便利。

ディスプレイの固定は、タブレット用の三脚マウントを使用。底に用意された1/4ネジ穴に(先のマグネット式ミニ雲台を)装置、取り外しラクラク、アングル調整も自由自在。

ワイヤレスマイク受信機の取り付け

かさばるワイヤレスマイク受信機たちは、ラック背面に取り付けた「1Uのブランクパネル」にマグネットで吸着。マグネットパーツは、ダイソーで購入した「フック形状のマグネットクリップ」を採用。

また、ワイヤレスマイク受信機の電源供給はUSB。こちらもブランクパネルにマグネットシールで吸着。

さらに、電源タップやBlackmagic Bidirectionalコンバータもマグネットシールで固定。

2段目を重ねる影響で、本体に直アクセスしずらくなったRoland V-02HDのHDMI入出力端子は、長さ15cmの短い延長ケーブルで処置。収納時は邪魔にならないようケーブルホルダーでクリップ止め。

収納時
展開時

組み立て完了! いざテスト配信

これまで40〜60分要していた現場設営時間は、わずか5〜10分程度に短縮された。大幅な時短を実現。

以下の配線図の「黄色枠の機器たち」をケーブル結線して格納しただけなんだけど、その恩恵はでかい。

コンパクトなシステムながら、映像系はインプット8ソース(アウトプット6ソース)までの収録や配信に対応。vMixベースのため、リモートゲスト対応やグラフィカルな画づくりも自由自在。ミキシングとは別系統で個別のソースのパラRec、また裏でDAWを併走とかも可能に。メイン機が不調の際は、サブ機にワンボタンでスイッチできて現場トラブル対応もバッチリ。

ラックシステムといえど、すべての機器はマグネットや耐震ジェルで固定されてるので、現場での臨機応変な配置アレンジ、また機器の入れ替えや緊急時のトラブル対応もしやすい。剥き出しゆえ、内部結線の緩みチェックもしやすく、いいことづくめ。

引き続き、細かなアレンジを加えながら、クライアントワークのライブ配信&撮影収録に挑んでまいります!

P.S
運搬に使用している部材たち

折りたたみできる台車は数あれど、「車輪がガタガタしない」で選ぶならこれ。

長いケーブルや(クッションに入れた)カメラなどの周辺機器、また折りたたみ三脚とかをゴッソリ収納できるコンテナケース。ちょい大きめだけど折りたたみもできてかつ見栄えもいい感じ。

社用車での運搬時、また台車での搬入時の「振動吸収」のためにゲルクッションを(ラックシステムの)底に配置。機器がズレたり、内部結線が緩んだり、といった不都合を解消。


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