「なぜ複数台のカメラが必要?」トーク対談の動画クオリティを左右する3つのポイント
司会者とゲストが、会話のキャッチボールを育みながら展開する「トーク対談」の動画コンテンツづくりは、ずばり複数台のカメラの使用がクオリティアップのポイント。
その理由は、3つ
①アングル切替えで映像表現が豊かになる
②編集で不要な箇所をナチュラルにカットできる
③トークのテンポ&リズムをナチュラルに可変できる
それぞれ、じっくり解説。
複数台のカメラがもたらす効果効能
下記の図は、インタビュー番組の撮影における「複数台のカメラ(=マルチカメラ)」それぞれの役割。
例えば、5台のカメラを使用した場合、5つのショットが用意できる。トークの進行にあわせてショットを切替え(スイッチング)していけば、それだけでもバリエーション豊かな映像ができあがるが、その恩恵は「映像を賑やかに演出するため」だけに限らない。
例えば、インタビュー動画の冒頭。
司会者が(長めの)挨拶を一方的に喋っているとき、(まだ紹介前の)ゲストが画面上に映り込む必要は無い。冒頭挨拶の後に「ゲストは〇〇さんです!」と司会者が紹介したタイミングで、画面上にゲストが登場する方がナチュラルだろう。
司会者だけのピンショットを用意するということは「画面上にゲストが映り込まないショットを用意できる」ということ。それはインタビュー番組の冒頭やラストの締めなどで有効活用できるショット。
もうひとつのメリットとして、ショットが複数あることでビデオ編集がラクになるという点も挙げられる。
いや…ラクというと語弊があるかもしれない。
もうちょい言い回しを変えるなら、編集で不要な箇所をカット(削除)した際に、ナチュラルに映像を繋ぐことができる(その作業がラクにできる)と言ったほうが正しいかも。
もし仮に、カメラ1台で撮影していたとしたら、不要な箇所をカットすると(当然ながら)パツっと途切れた印象になる。
トーク対談の動画コンテンツにおいて「ナチュラルさの欠如(=違和感)」は致命的。
そんな時、別のショットがあれば、不要な箇所をカットしてもナチュラルに繋ぐことができる。
さらに加えて、トークのテンポ(速度)やリズム(抑揚)も可変できてしまう。
例えば、不要な「間」をカットすることで、トークの流れがよりスムーズになり、会話の展開をスピーディーにアレンジすることもできてしまう。
ここでぶっちゃけてしまうが、
先日、公開したインタビュー番組『ディレクション大百科』のお好み焼き屋さん編。
この動画を見た多くの方から「トーク展開がスピーディーで見やすい」という絶賛の声を頂戴したが、実はかなり編集の手を加えている。
具体的には「不要な間、不要な口癖」をコマ単位で細かくカットすることで、トーク全体のテンポとリズムを可変調整している。
実際のところ、編集後の動画を見てそれに気づく方はほとんどいないと思うけど、そのナチュラルさの理由がまさに「不要な箇所のカットを、別のショットで繋いでいる(=複数台のカメラがもたらす効果効能)」と言える。
もちろん、ゲストの発言内容やエピソードの主旨を根本から変えるような(いわゆる切り抜き的な)編集はしてないが、視聴者の没入感を高める工夫として、編集段階で「間」や「口癖」をカットしたり、逆に「間」を長めに残すことで、トークのテンポ(速度)とリズム(抑揚)を意図的にコントロールしている。
しかし、ここで注意。
トークの「間」をカットすれば簡単にテンポアップが図れるけど、展開がスピーディーすぎると「逆に没入感が低下する」リスクが生じる(話が入ってこないとか、ついていけないとか)。
そんな時は、アクセント的に「間を残す(=活かす)」ことで、話に聞き入る余裕をもたせ視聴者の没入感を高めることもできる。その緩急の抑揚こそが、まさにトークのリズム。
以上、複数台のカメラで複数のショットを用意すべき理由の最重要ポイント。
複数台のカメラを扱う上での注意点
さて、ここからは、
複数台のカメラで、複数のショットを用意する上での注意点の解説。
まず押さえるべきは、ゲストが主体のインタビューでは、司会者とゲストの立場はフラットではない点。司会者はサブ、ゲストがメイン。
それをテロップ(文字要素)で表すのもひとつだけど、私はあまりテロップに依存したくない(余計な要素を画面上に配置したくない)意向から、それぞれの人物のバランスのとり方で「どちらが主体か」を表現することが多い。
司会者とゲストの両方が映り込む「全景ショット」では、両者の顔のサイズは揃えるけど、それぞれのピンショットでは、あえてゲストの顔を(気持ち)大きくする。
これにより、動画コンテンツ上の「主役と脇役の立場がクッキリ」する。
また、目線の向きは「お互いを見てる状態」を画面上での表現することで、ショットを切替えた際にも、違和感のない「掛け合いトークの構図」が成立する。
さらに、ピンショット内の顔を「センターに配置しない」のもポイント。
構図上の位置だけで司会者が左/下手(しもて)に居て、ゲストが右/上手(かみて)に居ることを表せる。
これにより、ピンショットから全景ショットに切り替えた時のナチュラルさが担保される。
また、ピンショットでは、目線の方向の余白を(気持ち)広めにとることで、人物のハンドアクション(身振り手振り)も画面内にバランス良くとらえることができる。
もしハンドアクションが大きい演者の場合、人物が画面上のセンターにいると「ピンショットの構図の片側だけ重くなる=バランス悪い状態」に陥ってしまう(ここも重要)。
カメラ(ショット)切替えのコツ
そして、最後はカメラの切替え(ショットの切替え)のコツ。
対談モノのトークでは、会話のキャッチボールが盛り上がってくると、ショット切替えが煩雑化してくる。
司会者が喋った後にゲストが喋り、また司会者が喋りゲストが喋って…という状況下で、クローズアップのショットばかりを頻繫に切替えていると、視聴者側の「画面酔い(見ていて疲れちゃう)」を招く。
それを回避するには、クローズアップショットとは別に「ちょい引き気味のショット(全身ショットなど)」をアクセント的に挟んでいくと、スピーディーな切替えでもナチュラルに仕上がりやすい。
というわけで、今回は「対談モノの撮影に、複数台のカメラが必要な理由」と、その運用におけるポイント解説をしました。
次回は、インタビューの要となる「インタビュア次第でゲストのエピソードの深みが変わる!トーク進行のファシリテーション手法」について、動画コンテンツづくりを担うWebディレクターの視点から解説したいと思います。
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作例写真協力:プロ機材ドットコムさん
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