【Interview】Royz――フル・アルバム「Lync」に込めた13年目の“気合い”
今回のフル・アルバム『Lync』を再生した瞬間に“ハッ”とした。取材はリリース前に行ったが、『Lync』が世に放たれた今、恐らく多くの人がそれを感じているはず。4人の気合いが込められた渾身の作として仕上がったアルバムは、13年間で積み重ねてきたバンドに対する意識の強さとアーティストとしての進化に加え、コロナ禍を経てRoyzが「作りたい」と思い辿り着いた音楽の形なのだとメンバーの話を聞いて痛感した。
【「アルバムを作りたい」って、メンバー発信で決めたことはすごく大きな意味があったと思う】
―とても素敵なアルバムが出来ましたね。
昴 すごくキャリア感じないですか?
―感じました。今日はそんなアルバムがいかにして出来たかというお話なんですが、Royzの音楽に対する向き合い方に変化があったのでは?と、『Lync』を聴いていて率直に感じたんです。
公大 変わったことは特にないんですよ、それこそモチベーションも変わらない。でも、音楽とかバンドに対する需要について考えるというか。
―それは、コロナ禍で?
公大 そう。ただ、それでも続けているっていうのは何か意味があるんだろうと思っていて。結局、(音楽が)好きなんだろうなと。ここまでくると、僕は信念でやってるなと思いますけどね。
昴 俺ら、今までリリースしてツアーを回ってっていう活動を続けてきたじゃないですか。でも、ツアーが出来なくなったりして今まで通りの動き方が出来なくなったけど、止まらずにリリースをしてきたんですよね。だから、俺は逆に気合いが入ったけどね!
―おお!
昴 だって、俺らみたいな生き方をしている人は止まったら終わりやと思ってるから。休憩することは大事だと思うけど、どんな状況であっても作品を作り続けてきたことには意味があると思いたいけどね。
必要なもの・必要じゃないもの、素敵なもの・素敵じゃないものっていろんなことがふるいにかけられた時期だった中で、自分も精神的にしんどかった時があったけど、結果として作品を残し続けられたっていうのは「生き残ったな」とも思うし、何よりもその結果として「アルバムを作りたい」ってメンバー発信で決めたことはすごく大きな意味があったと思う。
杙凪 確かに、一番変化があったなと思うのはこのアルバムの制作タイミングでしたね。普段マジで音楽を聴かないんですけど、最近ちょいちょい聴くようになってから「今までは自分の限界値の中で最大限の曲を作ってたんだな」っていうことにも気づいて、物足りなくなったんです。だから視野を広げるというか、自分の限界値を上げようって“多少”努力しました!
―いや、今回の曲を聴く限り多少どころの努力じゃないと思いますよ。
杙凪 いや、多少です(笑)。まあ、何がきっかけかはわからないけど、いつも以上に気合いを入れてアルバムを作ろうと思ったんです。
―昴さんが「メンバー発信で」と仰っていましたけれど、そういうところにも気合いが感じられますしね。
昴 そう。シングルのリリース枚数を考えたら、本来ならばもう少し前に出す周期ではあったんですよね。正直、コロナ禍で出来る活動としてアルバム制作も出来たと思うんだけど、果たしてそれが効果的なのか?って。ろくに曲を伝えられる状況でもないし、ファンに会える機会も少ないしって思ったときに、一回ステイだったんですよ。
そこから時間が経って、『IN THE STORM』『LEON』『Eva』『KAMIKAZE』を出したあたりに、自分たちの中で一つの形としてこの時間のことを作品にしてあげないとダメだなと思ったの。『IN THE STORM』から『KAMIKAZE』っていうのは時代の流れを歌詞に織り込んで書いているから、そろそろゴールさせてあげなあかんなって。状況的にはまだ元通りになったわけではないけど、ちょっとでもいろんな人に伝わりやすくなっていて欲しい、そうなっててくれって思いながら「(アルバムを)作るか」と。重い腰をようやく!この4人が!
一同 (笑)
昴 やっぱり自分たちが「作りたい」って思って出来たものは絶対に質が変わってくると思っていたし、今回の『Lync』はそこが一番デカいんじゃないかな。だって、自分たちで言ったことには責任持たなあかんもん。みんなで作りたいって思ったものがかっこ悪かったら、それこそホンマに解散した方がいいと思う。
―やっぱり、制作に対する気持ちって大事ですね。
昴 うん、思った俺も。メンバーと触れ合ってても違うなって。
―何が違うと思いました?
昴 気合い(即答)。
一同 (笑)
昴 結構俺らって、いろんなことを理屈じゃなくて気合いで乗り越えてきたと思うんですよ。和稀が脱退した時もそうだったし、メンバーが休んだ時も他のメンバーでカバーしながらライヴをやったりして、振り返ってみれば意外と気合いのバンドなのよ(笑)。今回も、「やっぱコイツらは違うな」って感じたし、「今バンドが1つになってるな」って感じたし。今回は、本気の本気やなって。
公大 ちょっと、このグラフ見てくださいよ。
(※制作中、レコーディングの進行具合を手書きしたチェック表を見せてくれる)
―わ、なんとも学園祭のような共同作業感!
昴 バンド始めたてっぽくない?(笑)
―はい(笑)。こうして公大さんが管理してくれたんですね。
公大 今、全体とボーカルのエンジニアを分けたり、それぞれが作業したりしているから、どこまで進んでいるかがわからなくなるんですよ(笑)。レコーディング中、ついに僕のPCの容量がオーバーしたし(笑)。でも、今はすごくメンバーみんなで作業してるっていう感じがしますね。
Royz Official web site:https://royz-web.net/
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