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ドヤ街に暮らす
「ドヤ街」という言葉すらも知らない
無知な自分は無知故にそこに辿り着く。
短期滞在を目的とした安下宿を探して
知らず知らず貧民街へ引き寄せられた。
宿泊施設の予約サイトから探し当てた
やや古びた格安のホテルではあったが
客室の写真は清潔感もあって悪くない。
カプセルホテル程の価格にも関わらず
テレビや冷暖房も完備の個室だと言う。
直前で予約をしたということもあって
自分が予約をすると満室表示になった。
最寄り駅からも近くて設備も悪くない
それで格安というから当たり前だろう。
まるで福袋でも買ったような高揚感で
宿泊当日は意気揚々と現地へ向かった。
お洒落な横浜の街並みから数分の場所
ある一角が異様な雰囲気を放っていた。
日雇い労働者や生活保護受給者向けの
簡易宿所が立ち並ぶ地域に宿はあった。
街中は不法投棄のゴミ山が所々にあり
誰かが暮らしているであろう荷物の山
寝床にしているだろうダンボールたち
そういうものが散乱としている場所だ。
事故物件を疑う破格のアパート群には
保証人不要生活保護受給者歓迎などと
生活水準を示唆する看板が立っていた。
とんでもないところに来てしまったと
気付いたところでもう後には引けない。
つづく。