豪遊した話
超が付く貧乏人なのにマッサージを梯子して
頭皮から足ツボまでをとことん揉みほぐした。
全身揉みほぐしだけで済ませる予定だったが、
幸か不幸か給料日後で多少余裕があったので、
うっかり人生初めての梯子マッサージをする。
一箇所が軽やかになり二箇所が軽やかになる。
もうこの際だから、と半ば自棄になりながら
気のまま気の済むまで順々に体を整えていく。
安価な店舗を吟味して無差別に突撃訪問する。
平日ということもあり、然程混んではいない。
それぞれ空間の違いや施術の良し悪しはある。
都度都度では感じない些細な違いも気になる。
しかし施術音痴なのでオールオッケーである。
さすがに限度と思って今はカフェに落ち着く。
十分満たされているが何か満たされていない。
人間の幸福というのはこうしてすり替わって、
辿り着けないよう仕組まれているように思う。
それにしても、予期せぬ散財をしてしまった。
全身コースで依頼して一括で終えるところを
何店舗も梯子する辺り、貧乏人だなあと思う。
バンっと云万円使えばそれっきりで済むのに、
数千円ずつ細々使って最終的に損をしている。
わざわざ飲み切らない珈琲の残骸を見つめて、
今日これからのことをぼんやり考えたりする。
これを書き終えるまで追い出されないための
けち臭いそれを残してあとの全部はもうない。
今日は大人しく帰ろう。有意義な休日でした。