のれん代100万円
兄と父親に相談した所、「店を改装する」ことは決まりました。
そして、メニューはどうする?という話になりました。
僕は母親の焼鳥屋を手伝ったことはありますが、仕込みや仕入れをやったことはありません。いきなり自分流でやることは不安でした。まともに料理もしたことはなかったです。
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実は父親が焼鳥屋を開店した時、飲食店をやっていた先輩Sさんに教えを受けたそうです。
当時父親はごみ収集車の作業員をしていたそうです。兄が2歳くらいで僕も生まれ、元々サラリーマンが嫌だったという父親は何か商売を始めようと考えます。
当時父と母が住んでいたアパートには、友達や先輩後輩が毎日のように遊びに来て一緒にお酒を飲んでいたそうです。
そこで焼鳥屋に目をつけます。
父親は「これだけ毎日来ている人からお金をとれば儲かるだろう」と考えたそうです。
飲食店をやっていた先輩Sさんがいたので相談してみた所「やってみたら?」ということだったので、一週間ほど焼鳥屋で働いたあと自分の店を開店したそうです。
お金はどうしたのか知りませんが、その行動力は尊敬に値しますね。
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それから20年後、僕がやることになった店もそのSさんにお願いしようということになりました。
Sさんは20代の時から居酒屋やバーを経営し、当時はフランチャイズみたいに自分の店と同じ屋号の「のれん分け」をしていました。
僕はその店で修行させてもらうことになりました。
メニューやレシピ、仕入先も紹介してもらえる。
「のれん代」は100万円でした。
ここで失敗②
素人だからと安易にフランチャイズに頼ったことは、思考停止している状態と同じでした。
メニュー開発もいらない、仕入先も開拓しなくていい。
何より「自分はこれをやりたい!」という思い入れが何にもありませんでした。例えば自分がその店を好きで通いつめて、「どうしても同じ店がやりたい!」という熱い気持ちがあればまた違ったかもしれません。
そして見よう見まねでも自分でレシピを思考錯誤したほうが愛着がわいたかもしれません。修行ではなく食べ歩きをしたほうがよっぽどオリジナリティのある店ができたかもしれません。
僕は単純にラクをしてしまいました。お金を払うことで、すべてを教えてもらえる。修行先の店は繁盛しているので、僕もそれをやればうまくいくと思っていました。
結論: 思い入れのないビジネスは続かない
お金を払って修行させてもらうことになったのですが、父親に言われたことは修業先でSさんが言うことは絶対。
「黒いものでも、Sさんが白と言ったら白やからな。絶対に口答えするな」でした。
僕も中学生の時は先輩から理不尽な事を言われてきましたので大丈夫だと言い、気合を入れて修行先に向かいました。