鶏口となるも牛後となるなかれ
20年以上やってきた長屋の焼鳥屋は、さすがにボロボロでしたので改装をすることにしました。母親のガン保険が200万円程入ってくる予定でしたので、最初は兄の知り合いの内装屋さんに頼もうかと考えていました。
兄に相談してみた所、一度父親にも相談してみないか?ということになりました。父親は当時ゲーム喫茶を経営していましたので、いくらか資金を借りられないかと考えたのです。
そこで、父に連絡を取り兄と3人で会うことになりました。母親の病気のことを伝え、母がやってきた焼鳥屋を続けたい事、その為に資金が必要な事を伝えました。
母と離婚した時、父親は「訴えられて裁判で負けて刑務所に入っても慰謝料は払わん」と言いました。
僕が高校入学の時にもお金を借りられず、奨学金を借りました。
ですので、ここでも断られるかなと思っていました。
しかし、なんと父親はこの時、資金を貸してくれると言うのです!元々は父親が始めた焼鳥屋なので多少思い入れがあったのかもしれません。
自分が出て行ったあとも、僕と兄を育てる為に母が1人で頑張ってきたので体を壊したということもあったのかもしれません。
とにかくお金を貸してくれることになりました。
ここで失敗①
父親が資金を出す事で、僕と兄がやろうとしていた店に父が口を出すことになってしまいました。もちろん僕と兄だけでは資金も知識も人脈もなかったので、父親の援助は助かりました。
しかしここで資金を借りたことによって、実質のオーナーは父のようになってしまい、僕は雇われ店長のような立場になってしまったのです。
当然ですが、世の中に「金は出すが口は出さない」という奇特な人はおらず、ほとんどの人が「金も出すし口も出す」のです。そして事業がうまくいっている時は、毎月返済もできるしアドバイスも素直に聞けるので良い関係なのですが、うまくいかなくなった時は毎月の返済が滞りアドバイスを素直に聞くことができなくなります。
誰でも最初は返済計画を立てているとは思いますが、事業が計画通りに行くことなんてまずあり得ません。
「自分は朝から晩まで必死でやっているのに、何もしていないあなたから言われたくない」という気持ちになってしまうのです。
僕の場合は身内だったので尚更その気持ちが強かったのかもしれませんが…。
ですので、何かお店を出して起業しようとしている方は、自己資金で足りない場合に身内や知り合いに資金を借りるのはオススメしません。
まずは国金(日本政策金融公庫)に行ってみてください。
そのほかにも、国や市がやっている起業支援や創業支援の助成金は利率も低くいので利用しない手はありません。
銀行から借りる場合も、商工会議所の貸付制度を利用したほうが資金を調達しやすいと思います。
今なら、話題づくりで「令和の虎」に応募して出演できれば、その後クラウドファンディングもいいかもしれませんね笑
親や親戚なら返済が遅れても多少は許してくれるかもしれません。
しかし、お金を貸した方が立場が上になることは間違いありません。
よほど裕福で余裕のある人なら、口を出さずに見守ってくれるかもしれませんが、通常の人であれば関係が悪くなります。
もし友人や知人から借りたとしたら、その友人や知人とは縁が切れる事を覚悟したほうが良いかもしれません。