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ブラックアウトしたサーバー

1章 エラーの警告

サーバーが落ちました!

深夜2時、システム監視チームからの緊急連絡が入った。都内の大手企業が運用する基幹システムのサーバーが突然ダウンしたのだ。

新人エンジニアの翔太は、寝ぼけた頭を振り払いながらノートPCを開いた。彼が勤務するIT企業は、この企業のインフラを担当しており、翔太はシフト制の夜間サポートに入っていた。

「…この時間にか…」

ログを確認すると、異常なトラフィックの増加が見られた。直感的にDDoS攻撃を疑ったが、何かがおかしい。システムの負荷が異常に高まり、その結果、サーバーがクラッシュしたのは間違いないが、原因が特定できない。

翔太は上司である田中に連絡を取った。数秒後、田中の眠そうな声が電話の向こうから聞こえた。

「翔太か、どうした?」

サーバーがブラックアウトしました。原因不明です。ログを見ていますが、負荷が突然上昇していて…」

田中はすぐに状況を理解し、他のメンバーにも連絡を取るよう指示した。

「わかった、まずは影響範囲を確認しろ。クライアントにも状況を伝える必要がある。」

翔太は大きく息を吸い込み、作業を再開した。


2章 真夜中の戦い

問題は深刻だった。顧客の業務が完全に停止し、社内では緊張が走っていた。翔太はログを分析し、負荷の発生源を特定しようとした。

「田中さん、怪しいプロセスを見つけました。ある特定のサービスが異常にCPUを消費しています。」

「どのプロセスだ?」

「クラウドのオートスケール機能が暴走していて、無限にリソースを消費しています。」

田中はすぐに判断を下した。

「よし、該当のサービスを一時停止しろ。オートスケールの設定も見直す。」

翔太は緊張しながら、リモートでサービスをシャットダウンした。その瞬間、CPU使用率がみるみる下がり、サーバーが回復し始めた。

成功した!

しかし、まだ問題は終わっていない。この原因を解明し、再発防止策を取らなければならなかった。


3章 成長の瞬間

翌朝、翔太はチームとともに原因の分析を行った。ログをさらに深く掘り下げると、最新のアップデートでオートスケールの閾値が誤って設定されていたことが判明した。

「翔太、お前がいなかったら、もっと大きな障害になっていたかもしれないな。」

田中が微笑みながら言った。

「いえ、チームのサポートがあったからです。」

翔太は昨夜の戦いを振り返り、自分の成長を感じた。システムエンジニアとして、経験を積むことでしか得られないものがあると実感したのだ。

「次はもっと速く、もっとスマートに対応できるようになります。」

翔太は拳を握りしめ、新たな挑戦に向けて気持ちを新たにした。


終章 未来への道

システムエンジニアの仕事は決して楽ではない。深夜のトラブル対応、プレッシャー、責任の重さ。だが、それを乗り越えた先に、確かな成長と達成感がある。

問題を解決できるエンジニアになること。

翔太は改めてそう誓った。

IT業界を目指す人たちへ。

トラブルは避けられない。しかし、それを乗り越えるたびに、君たちは確実に成長していく。恐れずに挑戦し、経験を積んでほしい。

翔太のように、未来を切り開くエンジニアになれるはずだから。

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