年収1000万円エンジニアの裏側 〜憧れの仕事のリアル〜
登場人物紹介
主人公:佐藤 拓也(さとう たくや)
年齢:27歳
職業:システムエンジニア(SE)
職歴:新卒で中堅SIerに入社、3年勤務後に外資系ITコンサルへ転職
性格:熱血タイプ。理想を追い求めるが、現実とのギャップに苦しむ。やや口が悪いが、責任感が強く、仲間想い。
技術スタック:AWS、Python、Java、Kubernetes
趣味:筋トレ、ラーメン巡り
佐藤 真一(さとう しんいち)
年齢:36歳
職業:シニアエンジニア(年収1000万円超)
職歴:大手Web系企業でキャリアを積み、現在はスタートアップの技術責任者(CTO)
性格:冷静沈着。無駄なことを嫌う合理主義者。
技術スタック:AWS、Go、Terraform、DevOps全般
趣味:読書(技術書ばかり)
山田 翔太(やまだ しょうた)
年齢:30歳
職業:プロジェクトマネージャー(PM)
職歴:SIerからスタートし、今は外資系IT企業でPMとして活躍
性格:楽天家。細かいことは気にしない。部下の面倒見がよい。
技術スタック:プロジェクト管理ツール(JIRA、Confluence)、PMBOK知識
趣味:旅行、ボードゲーム
第1章:憧れのエンジニアライフ!?
初めての外資系IT企業
「佐藤くん、君は優秀だ。これからのプロジェクトに期待しているよ」
そう言われたのは、拓也が転職して1週間目のことだった。新卒で入った中堅SIerで3年間、泥のように働いた甲斐があったのか、彼は年収アップとスキル向上を求めて外資系ITコンサルへ転職した。
「外資系企業は実力主義」 そんな話を耳にしていたが、実際に入社してみると、社内はシステマチックかつフラット。上司に対しても「サンキュー、ジョン!」と軽いノリで会話する同僚たちの姿に、(なんかすげぇ……)と戸惑いを隠せなかった。
また、社内にはエンジニア向けの技術コミュニティがあり、毎週のように最新のクラウド技術やセキュリティ対策についての勉強会が開かれていた。拓也は意気込んで参加したが、登壇者たちの専門的な説明についていけず、頭が真っ白になることもあった。
仕事のリアル:理想と現実のギャップ
「ちょっとこのLambdaの処理、遅くない?」
ある日、先輩エンジニアの真一に言われた。拓也が組んだAWSのサーバーレス関数の実行時間が1000msを超えていたのだ。
「いや、一応動くんですけど……」
「動けばいいってもんじゃない。コストがかかる」
Lambdaは従量課金制。処理時間が長くなるとコストが膨れ上がる。拓也は慌ててコードを見直し、無駄な処理を削ることにした。
(なるほど、こういう細かいチューニングが必要なのか……)
さらに、拓也は真一からアーキテクチャ設計についても学ぶことになった。システムの負荷を分散するためのマイクロサービス化や、コンテナ技術を活用した柔軟なデプロイ環境の構築など、考えるべき要素が増え、最初は混乱したが、徐々に理解を深めていった。
降りかかる試練:深夜のデータ消失事件
転職して2ヶ月。ようやく環境に慣れ始めた頃、拓也は初めての大事件に巻き込まれる。
「データが消えた?!」
あるクライアントの本番環境で、DynamoDB(AWSのNoSQLデータベース)のテーブルが空っぽになっていた。
「え、ちょっと待って。バックアップは?」
「……ない」
「えぇぇぇ!!?」
深夜のオフィスに響く絶叫。バックアップがなければ、データは完全に消滅する。
「落ち着け。CloudTrail(AWSのログ管理サービス)で、誰が何をやったかを確認しよう」
冷静に対応する真一の指示で、拓也たちは調査を開始。どうやら、手動で間違えて削除コマンドを実行した形跡があった。
「やらかしたのは……クライアント側の担当者だな」
「……マジですか」
幸い、AWSの**Point-in-Time Recovery(時間指定復旧)**機能を使い、データは数時間前の状態に戻すことができた。
拓也は、エンジニアとしての心得を改めて学ぶと同時に、プロアクティブな対応の重要性を痛感した。問題が起こる前にリスクを洗い出し、適切な対策を講じることが、より高いレベルのエンジニアへと成長する鍵であると実感したのだった。
(年収1000万円は、ただの数字じゃない。実力がないと、この世界では生き残れないんだ)
このときの拓也はまだ知らなかった。この先、彼に訪れるさらなる試練と、キャリアの大きな分岐点を……。
第2章:修羅場の現場!試されるエンジニアの覚悟
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