【IT小説】パスワードは123456 〜内部犯行を暴け〜
登場人物紹介
佐藤 翔(さとう しょう)
年齢: 25歳
職歴: 大手IT企業「グローバルシステムズ」新卒3年目のシステムエンジニア。
性格: 正義感が強く、熱血タイプ。だが、少し抜けているところもあり、ミスをしがち。
特技: AWSのインフラ構築、セキュリティ分析。
苦手: 大勢の前で話すこと、社内の根回し。
口癖: 「とりあえずログを見ましょう!」
高橋 圭(たかはし けい)
年齢: 35歳
職歴: セキュリティエンジニアとして10年以上の経験を持つ。
性格: 冷静沈着で、理論派。翔の暴走を止める役目。
特技: 脆弱性診断、フォレンジック調査。
苦手: 運動、社交的な場。
口癖: 「ログに痕跡がないなら、それは見落としだ。」
坂本 俊(さかもと しゅん)
年齢: 40歳
職歴: グローバルシステムズのプロジェクトマネージャー。
性格: クールで仕事に厳しいが、裏では情に厚い。
特技: 大規模システムのプロジェクト管理。
苦手: 技術的な細かい話。
口癖: 「エンジニアは技術だけじゃない。ビジネスを考えろ。」
第1章:新米エンジニア、事件に巻き込まれる
1. 予兆
「おい、翔。今日のサーバーログ、確認したか?」
昼休み直前、社内の食堂へ向かおうとしていた翔は、背後から高橋に呼び止められた。
「えっ、今朝ざっと見ましたけど、特に問題なさそうでしたよ。」
高橋は腕を組み、翔をじっと見つめた。
「本当にそうか?」
翔は違和感を覚えながらも、ノートPCを開いてAWSのCloudTrail(AWSのログ監視サービス)を再確認した。すると、深夜2時に管理権限のアカウントがログインし、機密データにアクセスした形跡があった。
翔の心臓が跳ね上がる。
「えっ…これ、ヤバくないですか?」
高橋は無言で頷いた。
翔は震える指で詳細ログを掘り進めた。すると、アクセスしていたのは一つのIPアドレスだけではなかった。社内ネットワークからのアクセスに見せかけながらも、VPNを経由した外部接続の形跡がある。
「外部からの侵入の可能性も…?」
高橋は眉をひそめた。「それだけじゃない。この時間帯にログインしていたのは、複数のユーザーIDだ。つまり、内部の誰かがアカウントを貸している可能性が高い。」
翔はごくりと唾を飲み込んだ。
2. 簡単すぎるパスワード
「アクセスしたユーザーのID、見れるか?」
翔はキーボードを叩きながら、特定のログを追った。
「えーっと、IDは…」
表示された文字列を見た瞬間、翔は絶句した。
「えっ…『admin123456』…? いやいや、こんなパスワードありえないでしょ。」
高橋の表情が険しくなる。
「お前の思う『ありえない』が、現実では『ありがち』なんだよ。」
翔は頭を抱えた。
「まさか…社内のシステム、123456なんてパスワード使ってたんですか?」
高橋はため息をつきながら、端末を指差した。
「見ればわかるだろ。現実はな、甘くないんだよ。」
翔は思わず叫びそうになったが、周囲の目を気にしてグッとこらえた。
「これは内部犯行の可能性が高いですね…」
「だろうな。」
翔は画面をにらみつけた。「でも、IDが漏洩しているとしたら、パスワードリスト攻撃の可能性もありますよね?」「あり得るな。ということは、もっと深く調査する必要がある。」
翔は手を握りしめた。(俺のエンジニア人生、最初の試練が始まった…!)
第2章:怪しいログを追え!
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?