【IT小説】クラッシュ・ポイント~世界を止めるシステム障害~AWS勉強中の方は必見!!
登場人物
主人公:結城 蓮(ゆうき れん)
年齢:25歳
職業:大手IT企業「ネクストソリューションズ」のシステムエンジニア
バックグラウンド:情報系の大学を卒業後、ネクストソリューションズに新卒入社。現在3年目。
性格:熱血タイプ。やる気と根性だけは誰にも負けないが、時々考えるより先に動いてしまう。
技術スキル:AWSを活用したインフラ設計、サイバーセキュリティ対策、Pythonを用いたログ解析
趣味:ハッカソンへの参加、スポーツ(バスケットボール)
先輩エンジニア:橘 悠馬(たちばな ゆうま)
年齢:35歳
職業:ネクストソリューションズのセキュリティリードエンジニア
性格:冷静沈着で理論派。蓮にとってのメンター的存在。
技術スキル:ネットワークセキュリティ、AWSセキュリティアーキテクチャ、脆弱性診断
敵対者:コードネーム「オメガ」
国籍:不明(国外のサイバー犯罪組織に所属)
特徴:超一流のホワイトハッカーでありながら、国家規模のシステムを標的とするブラックハッカーとして暗躍。
技術スキル:ゼロデイ攻撃、AIを利用したマルウェア生成、クラウド環境への攻撃
第1章:崩壊の序章
AWS上の異常なログ
「蓮、ちょっとこれを見てくれ。」
ネクストソリューションズのオフィス。政府機関の行政システムを運用・保守するチームの一員である結城 蓮は、目の前のモニターに映るログの数値を見て眉をひそめた。画面にはAWSのCloudTrail(クラウドトレイル)のログが流れている。これはAWS環境でのすべてのAPIアクティビティを記録する監査ツールだ。
「これは……おかしいですね。特定のIAMユーザーが、普段アクセスしないリージョンのS3バケットにアクセスしています。」
S3バケットとは、AWS上のストレージサービスのことだ。通常、特定のアクセス権を持つ人間しか触れないはずのデータが、何者かによって外部から見られている可能性がある。
「まさか、インシデントか?」
橘は腕を組み、画面を見つめた。
「とにかく、すぐに**GuardDuty(ガードデューティ)**のアラートを確認しよう。GuardDutyはAWSの脅威検出サービスで、不審なアクティビティを検出するのに使えるはずだ。」
蓮は急いでAWSコンソールを操作し、GuardDutyのログを確認した。
「……来てますね。『異常なIAMユーザーのアクティビティを検出』だ。」
「どのIPだ?」橘が尋ねる。
蓮は数秒でIPアドレスを抽出し、地理情報を確認した。
「このIP……国外、しかも匿名プロキシを通してます。攻撃者が足跡を消そうとしている証拠ですね。」
橘の表情が険しくなった。
「つまり、これは単なる誤設定やミスではない。意図的な侵入だ。」
サイバー攻撃の兆候
蓮の心臓が早鐘を打つ。AWS上でのシステム障害はたまに発生するが、こうした不審なアクセスが検出されるのは異例だった。
「侵入の起点は?」
「おそらく、EC2インスタンスへのSSH接続から始まってます。しかも、ログイン履歴を削除しようとしてますね。」
蓮はマウスを握り、他のアクセスログを精査する。「待ってください。これは単なる不正アクセスじゃないかもしれません。」
橘が画面を覗き込んだ。「どういうことだ?」
「複数の異なるリージョンから同時にアクセスが試みられています。これはボットネットを利用した攻撃の可能性があります。」
橘は低く息を吐いた。「つまり、攻撃者は単独ではなく、組織的な攻撃を仕掛けてきていると?」
「ええ、しかもこのログを解析すると、最終的に狙われているのは政府の認証システムのようです。」
橘の表情が一変した。「それが本当なら……国家レベルのサイバー攻撃だ。」
蓮は緊張しながらPCのキーボードを叩いた。「急ぎましょう。このままではシステムが完全に乗っ取られます。」
第2章:止まった世界
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