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【IT小説】リモートワークの孤独 〜在宅勤務がもたらす新たな問題〜

登場人物

佐藤直樹(さとう なおき)

  • 年齢: 28歳

  • 職業: システムエンジニア(バックエンド開発が得意)

  • 職歴: 中堅SIerに新卒入社し、現在5年目。最近リモートワーク中心の働き方に移行。

  • 性格: 真面目だが、どこか抜けている。細かいことが気になりがちで、Slackの未読数が増えると落ち着かない。

  • 趣味: ガジェット集め、ネットサーフィン、コーヒー(こだわるが実は味の違いがわかっていない)

  • 最近の悩み: 在宅勤務になってから孤独感を感じ、仕事の評価が下がり始めている。

田中誠(たなか まこと)

  • 年齢: 35歳

  • 職業: プロジェクトマネージャー(PM)

  • 職歴: 外資系コンサルから転職し、現在の会社でエンジニアチームを統括。

  • 性格: 冷静沈着。業務効率にうるさいが、実はチームのことをよく考えている。

  • 趣味: 仕事(趣味がないとも言う)、週末は子どもと公園で遊ぶ。

  • 直樹との関係: 直樹の直属の上司で、彼のリモートワーク適性に疑問を持ち始めている。

佐々木涼子(ささき りょうこ)

  • 年齢: 30歳

  • 職業: フルスタックエンジニア

  • 職歴: スタートアップ企業を渡り歩き、最近現在の会社にジョイン。

  • 性格: サバサバしていて、仕事はできるが愛想がない。余計なことを喋らないため、少し冷たく見られることも。

  • 趣味: キャンプ、登山(なのに仕事中は完全インドア)。

  • 直樹との関係: 仕事上の先輩。直樹が困っていることは察するが、あえて手を出さない。


第1章:リモートワークの孤独

1. リモートワークの幕開け

佐藤直樹は、リモートワークが解禁された日を今でもよく覚えている。

「うおおおお、ついにこの時が来た!」

彼は大手SIerに勤めるシステムエンジニアで、日々の通勤地獄に嫌気が差していた。満員電車の中で消耗し、オフィスでは上司の目を気にしながらコードを書く日々。「リモートワークなら最高じゃないか!」と胸を躍らせた。

だが、その期待は数週間もしないうちに砕け散ることとなる。

2. Slackの既読スルー

リモートワーク初日、直樹は自宅のデスクに座り、Slackを開いた。

「よし、まずは進捗報告をしよう。」

彼はチャンネルにこう書き込んだ。

おはようございます!今日のタスクはAPIのリファクタリングを進めます。

……10分経過。

……30分経過。

……1時間経過。

何の反応もない。

「おいおい、みんなどうした? 俺のことを無視してるのか?」

画面を見ると、確かにメッセージは既読になっている。しかし、誰もリアクションをしてこない。既読スルーの恐怖が彼を襲う。

3. 孤独の加速

それから数日が経ち、直樹は気づいた。

「これ、ヤバいんじゃないか?」

オフィスなら、ちょっと声をかければ進捗を聞けた。しかし、リモートではメッセージが埋もれ、タイミングが悪ければ何も返ってこない。

さらに、オンライン会議でも微妙な空気を感じるようになった。

「佐藤くん、最近発言少ないね。」

田中PMの一言が刺さる。

「いや、発言しようとは思ってるんですが、タイミングが……」

「あまりにも発言がないと、関与してないと思われちゃうよ。」

関与してないわけじゃない。ただ、リモートだとどうしても存在感が薄れてしまう。

「もしかして、俺の評価、下がってる?」

彼は焦り始めた。

4. 孤独が生むミス

ある日、直樹はシステムの**バッチ処理(定期的に自動実行されるプログラム)**を修正していた。テスト環境で問題なく動作したので、本番環境にリリース。

翌朝、社内Slackが大炎上していた。

「バッチが暴走して、データが重複してる!」 「大量のダミーデータが登録されてるんだが!」

「えっ……?」

直樹は血の気が引いた。

「まさか……昨日の修正が?」

彼は急いでエラーログを確認した。すると、テスト環境では正常に動作していたはずの処理が、本番環境では異なるデータフォーマットになっていたことが判明。

「環境差異を考慮してなかった……」

頭を抱えた。

5. 直樹の決断

昼過ぎ、田中PMとの1on1が行われた。

「佐藤くん、どうしたの?最近ちょっと元気ないね。」

「実は……」

直樹はここ最近の孤独感や、仕事での焦りについて正直に話した。

田中PMはしばらく考え込み、こう言った。

「それなら、もっと積極的にアウトプットしてみるのはどう?」

「アウトプット?」

「オンラインでも、技術記事を書いたり、チーム内で勉強会を開いたりすれば、存在感は増すよ。」

「なるほど……!」

直樹の中で、少し光が見えた。


第2章:謎のSlack既読スルー

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