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【IT小説】マルウェア感染、全社システム停止!〜24時間の攻防〜

登場人物

高橋 健太(たかはし けんた)

  • 職歴: 大手IT企業に勤めるセキュリティエンジニア(入社3年目)

  • 性格: 熱血で負けず嫌い、だがどこか抜けている。

  • 特徴: 一度ハマると徹底的に調査しないと気が済まないタイプ。

  • スキル: Linux、ネットワーク、マルウェア解析、AWSセキュリティ。

藤井 玲(ふじい れい)

  • 職歴: セキュリティチームのエース(入社8年目)、元ホワイトハッカー。

  • 性格: 冷静沈着、皮肉屋。

  • 特徴: 人付き合いが苦手で、チームでの協調はあまり得意ではない。

  • スキル: ペネトレーションテスト、フォレンジック調査、リバースエンジニアリング。

山本 修(やまもと おさむ)

  • 職歴: 会社のCTO(最高技術責任者)。

  • 性格: 強面だが面倒見が良い。

  • 特徴: 経営視点と技術視点を両方持つ数少ない技術責任者。

  • スキル: システムアーキテクチャ設計、経営戦略、プロジェクトマネジメント。

第1章:感染

朝の異変

高橋健太は、オフィスの自席に座るとPCの電源を入れた。通常なら数秒で表示されるログイン画面が出てこない。「またWindowsのアップデートか?」とぼやきながら、コーヒーをひとくち。

しかし、周囲を見回すと異様な光景が広がっていた。隣の席の同僚が顔を真っ青にし、ディスプレイを凝視している。オフィスの空気が一変していた。チャットツールには、『ログインできない』『社内サーバーが応答しない』 というメッセージが溢れていた。

何人かの同僚が席を立ち、管理部門へ駆け込んでいる。エンジニアルームでは、サーバー監視チームが慌ただしくキーボードを叩きながら、何かを調査している様子だった。スマートフォンの通知も次々と鳴り響き、普段は静かなオフィスがまるで戦場のような緊迫感に包まれていた。

"もしかして..."

健太は即座にインシデント発生を確信した。マルウェア感染の可能性が高い。急いでセキュリティチームの藤井の席に向かった。

途中、システム管理者の佐藤が健太の腕を掴んで言った。「おい、今すぐログを確認してくれ!VPN経由のアクセスが急増してるんだ。何か変だぞ!」

「わかった!」

健太は走るようにしてセキュリティルームへ向かった。エレベータを待つ余裕はない。階段を駆け上がりながら、脳内で可能性を整理する。もしマルウェアなら、どの経路から侵入したのか。どのシステムが感染したのか。そして、被害範囲はどこまで広がっているのか。

藤井の席に到着すると、彼はすでにログを解析していた。「健太、これを見ろ!」

彼が指差した画面には、未知の実行ファイルが複数の端末で起動されている記録が残されていた。「これはただのダウンタイムじゃない。明らかに標的型攻撃だぞ。」

健太は息を呑んだ。これはただの障害ではなく、組織的な攻撃だった。


第2章:チーム結成!時間との闘い

緊急会議

CTOの山本が社内の緊急会議を招集した。エンジニア、セキュリティチーム、ネットワーク管理者が次々と会議室に集まる。

「現状を説明しろ!」山本が鋭い視線を藤井に向ける。

藤井は冷静に報告した。「社内ネットワークの複数の端末で未知の実行ファイルが検出されました。感染源は特定できていませんが、VPN経由の異常なアクセスが増加しており、攻撃者が内部に侵入している可能性があります。」

健太が続けた。「サーバーのログを解析しましたが、明らかに不正な管理者権限の取得が行われています。攻撃者はシステムの奥深くまで入り込んでいるようです。」

会議室が静まり返る。山本は腕を組み、しばし黙考した。

「つまり、我々の社内システムが完全に乗っ取られる可能性があると?」

藤井が頷く。「その通りです。このままでは、データが暗号化され、身代金を要求される可能性があります。最悪のケースでは、全システムの初期化が必要になります。」

「初期化だと?」山本が目を細める。「それでは業務復旧に数週間かかるぞ。」

「はい。しかし、このまま攻撃を放置すれば、被害はさらに拡大する可能性があります。攻撃者がすでに重要データへアクセスしていれば、情報漏洩のリスクもあります。」

一同は息を呑んだ。健太は冷や汗をかきながら考えた。「今できる最善策は?」

「まずは感染端末の隔離です。」藤井が素早く応じた。「ネットワークセグメントを区切り、被害の拡大を防ぐ。次にマルウェアの解析を進め、攻撃者の意図を把握します。」

「それと、全社員に対するパスワードリセットとアカウント監査も必要です。」健太が提案する。「攻撃者が内部にいる場合、不正アクセスがすでに行われている可能性があります。」

山本は大きく頷いた。「よし、行動に移すぞ!」

すぐに各チームが動き出した。ネットワーク管理者は被害の拡大を防ぐため、疑わしいIPアドレスの通信を遮断。セキュリティチームはフォレンジック調査を開始し、マルウェアの動作を解析する。

健太は藤井と共に、監視システムのログを詳細に確認しながら、新たな攻撃が行われていないかを監視した。

だが、そんな彼らの努力を嘲笑うかのように、次の攻撃はすでに始まっていた――。


第3章:サイバー攻撃の逆襲!

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