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入間のアトリエ② トラス構造の屋根

・基本設計

古い米軍ハウスや、木造の倉庫などの屋根には、トラスという屋根下地の構造がよく用いられています。

今回の大規模修繕の設計計画にあたり、この屋根のトラス構造と隅柱は既存のままを生かして、土台やその他の構造物は損傷がある箇所を補修し、外壁や、床などはすべて新しい材料で作り直す計画です。

まず、トラスとは、細長い部材同士を三角形に繋ぎ合わせた構造形式で、部材同士はピン接合と呼ばれる方式でつながっており、荷重が加わっても各部材に軸力しか発生せず、曲げモーメントによる影響を受けにくくなります。


屋根を支える三角形の構造体がトラス

今回の改修工事は、このトラス構造を生かして、大きな開口部を造り、目の前に望む公園の借景をフレームとしていかに美しく切り取るかを中心に設計を始めました。

トラス構造の場合には、三角屋根のトップから加わる力が、大きな三角形の構造体を伝っていき柱へと逃げていくような構造になっているので、間に柱を入れなくても大きなスパンの開口部を作ることができます。
また、小屋組みもシンプルなのでロフトなどの収納や、小屋裏を有効活用することも可能です。

この米軍ハウスが建設された頃に、日本の住宅に多く採用されていた在来木造住宅の小屋組みの場合には、梁によって開口部を構成し、柱や束といった縦方向の軸組で構造が用いられていているのでトラスのような開口部や小屋裏活用をすることが困難です。
以前、70年前の当時に建設した大工さんという方に会ったことがありましたが、アメリカ人が描いた図面のトラス構造にとても驚いたと話していました。

そして間取りについては、このトラス構造の米軍ハウスだから実現できる広々とした間取りと、キッチンを中心にハウス全体を回遊できるようプランニングをしました。
そして、トラス構造で有効化した小屋裏にはビルドインエアコン本体を設置、小屋裏内でダクトのやりとりを行い、全館空調にすることにしました。

次へつづきます

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