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Lake Kawaguchi Hut① はじめに

・はじめに

「富士の麓の森に私たちの夫婦が住む家の設計をしてほしい。」

設計依頼が書かれた1通のメール。
そこには、ご夫婦の年齢や、今現在は下田の別荘と都内の自宅の二拠点生活をしていることなど、丁寧な文面で書かれていました。

ご夫婦ふたりと愛猫と暮らしていること、その猫の水飲みボウルを探していたときに、とある店でボウルを購入したこと。
そのボウルを購入したお店というのが、私の会社で以前運営していたペットに関わるEC事業のお店だったこと!
そして、当時は何人もスタッフがいたのですが、電話の問い合わせで私自身が対応していたそうで2度びっくり!!
(※EC事業は2020年にM&Aにて別会社へ運営権を移管しています)

そんなきっかけで私の設計事務所を知ってくれたそうで、入間のアトリエができるまでの動画を見てくださったりして、設計依頼のお話しをしにいらしてくれました。

地鎮祭のときの敷地の様子

河口湖の家は、富士の麓の小高い丘を抜けた標高1000mに位置する木立と沢に囲まれた森の中にあります。

この森に馴染むように、このアトリエと同じ雰囲気で平家を建ててほしい。
できたら、来年の年末は年末をその家で過ごしたいな。
そんな想いを伝えてくださいました。

木立を抜けていく山道がとっても気持ちいい

・現地調査

まず、建築行為を行う際に一番重要なことは現地調査です。

現地の敷地の空気感、方角、風の流れなど、太陽の動きなど、雰囲気的な感覚を持つことはもちろんですが、寒冷地での施工の場合に気をつけないといけないことや、市町村役場で建築条例や、法的制限などを調査し、基礎や給排水菅の深さを決定するための凍結深度のデータ計測、水抜きに関すること、使用する材料のことなど、調査項目は多岐に渡ります。

通常、新築を建てる場合には、この現地調査から始まり、基本計画、実施図面、確認申請許可を提出して、基礎工事〜引き渡しまでの施工期間が約半年ほど要します。

人が立っているところから6mほど上がったところへ建物を計画した

敷地に着いて、調査を始めると、計画範囲の土地には、多く赤松の木々がひしめいています。

道路面から見て南側は1,3mほど高くなったおそらく盛土と思われる小さな山。
そして、西方面へ緩やかだけれど深く深く下がった沢への高低差は6m以上あります。

計画範囲にかかってくる木々や、立ち枯れしているような木は伐採しなければなりません。
でも伐採にはコスト面での圧迫もあるし、何より今ある自然や地形をあまり崩したくない。

そこで、道路面から駐車場を確保して13m
道路から少し距離をとって南下した、少し平坦な場所へ小さな平屋を計画することにしました。


最初に描いたラフスケッチ

建物から沢のある方向へは、かなり傾斜しているけれど、少し広めのウッドデッキにして、小高い景色を眺めながら、デッキで昼寝したら気持ち良さそう。
寝室もリビングも大開口から景色を望めるようにすれば、終日、どこにいても気持ちのよい空間になるんじゃないかな。


こうして、なんとなく家の輪郭を想像してラフスケッチに落として込んで、夕暮れまで現地をぶらぶらして、土地の性格をなんとなく把握していきます。

そして、帰路に着くまでの中央自動車道
頭の中で情報が撹拌されていって「河口湖の家」基本計画が始まりました。




we inc. architect studio
建築設計事務所


住まいの設計と施工に軸足をおきながら、家具・プロダクトデザイン・写真・映像・企業アートディレクターとして、ものづくりのあれこれに関わっています。

http://we-architect.jp/
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