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音楽が存在する意味
haruka nakamuraという、アーティストが好きです。
誰かが彼を「音楽で詩を書く人」と表現していたけど、本当にその通りだと思います。最近だと映画「ルックバック」の音楽を担当していたり、蔦屋書店の店内音楽を手掛けられたりしていて、活躍がとても嬉しい。
実はnakamuraさんの仕事の仕方も好きだったりします。例えば「Helios」。
彼の作る音楽には、人との繋がりから始まるものも多い印象。この曲も彼のご友人夫婦が生きることに決めた森に赴き、その土地から受けたインスピレーションを音楽にしたもの。
人を起点に生業がはじまること。土地に根ざして何かをつくること。生きることと働くことに、境目がないこと。このあたりが、nakamuraさんを見ていて感じる部分。すごくいいなぁとしみじみします。自分もそんな風に生きてみたい。
そしてもう1曲ご紹介。映画ルックバックのメイン曲もまさに「祈り」のような音楽だったけど、彼の音楽には聖歌のようなニュアンスが強く出ているものも多い。その中で、「光」という楽曲が忘れられない。
記憶に強く残しているのは、実はこのYouTubeに投稿されたコメントが理由です。これを読んだとき「ああ、音楽って、美しいな」と。彼の音楽と投稿者さんの出会いの尊さ。そして、その出会いに間接的に立ち会えたことに、小さく感動しました。
娘の名前をこの曲からもらいました。娘には障害がありましたが、この曲名とおり、自分たち夫婦にとっての光になってくれました。 この曲のように優しい世界になって欲しい、そして、娘もそんな世界を構成する1人の人間として生きて欲しい、そう願っています。揺らぎ、迷った時、この曲と自分の娘との縁を信じ、何度勇気づけられたか。音楽の存在意義は、ヒットチャートを賑わせることではなく、世界のどこかで、それは本当に端にいる誰かなのかもしれないけど、その誰かを救うために存在している、そんな人の営みの美しさを感じ、自分が生きていくことの意味を信じさせてくれた曲です。この曲に出会えてよかったです。
自分は昔から興味の幅が狭くて、そのことで周りとの違いにもやついたりすることも多いのですが(そんな業界にいるからでしょうと自分でも思ってますが笑)、生きていくよろこびは「数」ではなく、こうして「底から感動できる何か」と出会えたか、が大切なんじゃないか。そう思わせてくれる文章でした。
心を震わせる文章を、名作コピーの中でもなく、好きな小説の中でもなく、インターネットによって開かれた場で見つけることができたこと。このせわしない情報社会も、やっぱり悪くないかもな、と思わせてもらった。そんなお話でした。