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忠実屋飯能店とピーターパンのお好み焼きは二度と戻ってこない

埼玉県飯能市川寺にあったスーパーマーケット「忠実屋飯能店」
場所はこの辺り。八高線と西武池袋線の東飯能駅南側にある国道299号線の踏切近く。駐車場も広くて、そこそこ大きい店舗だったが、今はその面影はまったくなく、戸建分譲住宅が立ち並ぶまったく別の顔を持つ場所になっている。

忠実屋は八王子発祥の首都圏で展開するスーパーマーケットチェーンだった。一時は東証一部に上場しているほどの規模だったが、1994年にダイエーに吸収合併され、忠実屋の屋号は消滅。さらにはそのダイエーも今はイオン系、という波乱の展開。忠実屋を知る人はもうかなり減ってきていると思う。

飯能店はWikipediaによると、1977年6月17日に開店した模様。当時としてはなかなかの大規模スーパーであったはずだ。
一方、閉店は1999年5月31日ということで、1994年から約5年ほどはダイエー飯能店として営業していたようだ。確かに自分も忠実屋からダイエーへと名前が変わってからも何回も行った記憶がある。
なお、ダイエー飯能店が1999年に閉店した後は、「ジャパンホームバリュー飯能店」として2009年まで営業していた。これは自分はなぜか記憶がまったく無い。ダイエーではなくなり、我が家としては足が遠のいたのかもしれない。ジャパンホームバリューは家電リサイクル法の不祥事などが発覚した後に倒産(民事再生法の申請)。その同じタイミングで飯能店が突然の閉店となった。なお、よく間違われるようだが、同じスーパーマーケットチェーンのスーパーバリューとはまったく関係がない。元ジャパンホームバリュー所沢店がたまたま居抜きでスーパーバリューになった例もあるみたいだが。

忠実屋飯能店の建物の構造としては、299側に店舗があり、八高線沿いの南側に平面駐車場が広がっていた。自分の記憶では2階の売り場まで覚えているが、3階以上がどうなっていたかは不明。そもそも何階建だったのだろうか。
自分が覚えている2階には文房具売り場があり、小学生の頃ペンケースを買ってもらった記憶があるのだが、これは忠実屋時代なのか、もしくはダイエー時代なのかあやふやである。
また、特徴的だったのは駐車場で、確か建物よりも低い位置にあった。なので、299側から駐車場に入る際は建物横を通り過ぎる頃に坂道になっていた。また、南西側の八高線の踏切(佐瀬踏切)方面から駐車場に入る際もスロープのようになっていたと思う。ついでに思い出したこととしては、299側からの車の入口は建物横で一方通行になっており、出口はおんだ布団店の横の道から、だった気がする。

店舗一階部分は生鮮食品売り場(地下は無し)。入り口に野菜コーナーがあり、鮮魚、精肉と続いていく、ごく普通の最近のスーパーと変わらないような作りであった。逆に昔としては使いやすいスーパーだったのかもしれない。
しかし、何よりもこの忠実屋飯能店で一番特徴的で、鮮明に記憶に残っているのが、売り場の最後の方にあった軽食やスナックを売る「ピーターパン」という売店(テナント)である。これは知る人ぞ知る名店であり、いまだに根強い人気というかコアなファンがいる。
そしてピーターパンの名物といえば「お好み焼き」。銀色のアルミホイルのようなものに包まれた、半分に折られたお好み焼きが絶品だった。ソースの味と中に入っている玉子がキャベツに良く合い、なぜこういったお好み焼きが他では売っていないのだろう、といつも思っていた。
忠実屋飯能店では買い物の最後にこのマストアイテムが現れてくるため、よく父がここで離脱してお好み焼きを注文し、その間に母と自分たちはレジで会計を済ませ、合流後に受け取ったお好み焼きを食べながら車へ戻る、というのが定番だった。というか、このピーターパンではお好み焼き以外買ったことがないのではないか、と思っている。それだけ、このピーターパンのお好み焼きはインパクトのある、思い出深い商品である。

忠実屋飯能店にあったピーターパンは果たして忠実屋の買収とともに消えてしまったのか、それともダイエーになってからも存続したのか、はたまたジャパンホームバリューになってからも存在したのだろうか?自分には分からない。
このピーターパンは株式会社ピーターパンという会社が運営していたのだが、「一口茶屋」という同じく軽食スナック販売のお店を展開する会社が1999年に買収。今は吉野家ホールディングス傘下となっている。なので、もしかしたらダイエー飯能店が閉店した1999年あたりにほぼ同時に閉店したのかもしれない。それか、一口茶屋にリブランディングしてジャパンホームバリューと共に再スタートした可能性もある。なぜか、元忠実屋飯能店の建物の変遷とリンクしていそうなのである。

なお、ピーターパンは実はいまだに国内に数店舗残っている。以下に店舗リストがあるが、北海道もしくは千葉県旭市、神奈川県相模原市橋本に行けば、今もあのピーターパンのお好み焼きが味わえるのかもしれない。埼玉県内には岩槻にも数年前まであったようだが、一口茶屋にリブランディングされてしまったらしいので、他のピーターパンのお店も残された寿命は短いのかもしれない。
(ちなみに、一口茶屋は飯能まるひろと飯能カインズ店の2店舗ある)


前述したが、元忠実屋の建物はスーパーのジャパンホームバリューとして最後を迎えた。2009年の倒産による閉店の直前には当時の人気ドラマ「ごくせん」シリーズの「ごくせん卒業スペシャル’09」の撮影にも使われたようだ。
しかしながら、2020年現在、この元忠実屋というスーパーがあった場所はまったくそんな面影も残さずに、今は分譲住宅地となって家が建ち並んでいる。果たしていつ建物が取り壊され、どんな経緯でここが分譲住宅地となったのだろうか。こうやって人々の記憶から綺麗さっぱり忘れ去られてゆくのだろう、と思うような変わりっぷりである。
当時と変わらずあるのは、八高線寄りにある、おんだ布団店だけのようで、299を走る車内からお店の姿を見かけると非常に懐かしく感じるのであった。

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