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迷いながら、揺らぎながら(さくら)⑤〜思いは届く。遠くへも、近くへも〜

前回は、さくらさんのクラスでの挑戦と孤立について伺いました。
今回は、そんなさくらさんの世界が広がり、変わっていった過程を聞きたいと思います。


広がった世界からもらった言葉が支えになってくれた

「居る環境で限界を決めてたかも」


ーー 苦しい状態からの転機には、どんなことがあったんでしょうか?
モンゴルで孤児の自立支援をされている照屋朋子さんが、学校に講演に来てくれたことが大きかったですね。

その頃、私は「もう無理だ、逃げよう」って思ってたんです。教育や探究も「大学生になったらガッツリやればいいか」なんて思っていて。

でも、お話を聞いてたら照屋さんは、学生だから・社会人だからじゃなく「ただ子どもたちを救いたい」だけで行動してるんだって気づいて。

「居る環境で限界を決めてたかも」って気づいたんです。

ーー みんなが受け取れる時間を変化する機会にしてきたんですね。
そういう意味では、講演のお話以外にも印象に残ってることがあって。
小さいことかもなんですけど講演の時、全体じゃ手を挙げて質問できなかったんです。

『悩みの相手がいたら、発言するって難しいじゃないですか』


ーー みんなの前で発言するって怖いですよね。
特にクラスでの立ち位置が悪かったので、挑戦したいのもまわりにバレたくないし、聞いてみたいことも人間関係での悩みだったので怖くって。
こんな個人的なこと聞いていいのかも分からないし、悩みの相手が周りにいたら発言するって難しいじゃないですか。

後から先生に「質問なんて個人的なことで当たり前だし、恥ずかしくて当たり前」って言われて。納得はできたんですけど、悔しかったですよね。

ーー そこで納得はできるのが強いですよね。
そうですかね(笑)
でも、それもあって照屋さんに手紙を書いたんです。

「こんなことを学びました」「私はこう感じました」って、ちゃんと伝えたくて。

「ああ、思いって届くんだ」


とにかく感謝を伝えたいだけで送ったんですけれど、そしたら、まさかのいっぱいお返事をくださって。

「応援してます。いつか世界のどこかで会いましょうね」って。世界のどこかで、って格好いいですよね(笑)

それにスゴく勇気づけられて「ああ、思いって届くんだ」って思えたんです。

ーー 届いた感覚、嬉しいですよね。

これをキッカケに「よし、やろう!」と思ってSNSを始めてみたんです。
今は「自信を持って始めたよ!」って言っちゃうし、私自身そう錯覚しちゃうときもあるんですけれど不安も大きかったので、この後押しはとても大事で…。

「世界がひらけた感じがしたし、すごく救われました」


まずはtwitterで考えてたことを発信してみたんです。

そしたら学校じゃ受け入れてもらえなかった考えに「おもしろいね!」「それいいじゃん!」って言ってくれる人たちがいて。とても安心したことを覚えています。

世界がひらけた感じがしたし、話を聞いてもらえたことで、すごく救われました。

でも世界が広がったからこそ「何者かにならなきゃいけない」って焦りも大きくなりました。私、その頃は起業しよう!って思ってたんですよ(笑)

ーー 起業ももちろん良いんですけれど、今のさくらさんとはちょっとイメージが違いますね(笑)

「何者かにならなきゃ」


これはですね(笑)高1の時に先生が「自分が何者か理解しよう」みたいなことを言ってたんです。
今ならなんとなく「自分のことを知ろう」って意味だって分かるんですけど、その時は「何者かにならなきゃ」って受け取っちゃって。

twitterには同い年でも「代表やってます」とか「起業してます」とか。自分が何者か語れそうな人が、いっぱいいるじゃないですか。
先生との対話の中で「私は私で良い」って思えるようになってきたはずなのに、それを見て「あれ?」って感じになっちゃって(笑)

ーー 見えちゃうと、どうしても比べちゃいますよね。
クラスや進学校の人たちから、外の人たちに比べる相手が変わっていっちゃいましたね。
でも私はありがたいことに、飾らず書いたnoteを受け入れてもらえることが増えていったので。「私ってこっちだ!」って早めに切り替えられたんです。

結果的に「ありのまま書いた私」が自分を救ってくれたんです。

「ただの人間関係じゃんね」


今でも完全に「私は私」って思える訳じゃないですけど、学校では外の、外では学校の悩みを話せるようになったことで、すごく楽になりました。

ーー コミュニティが複数あると、楽になりますよね。
それに比べる相手が増えたお陰で学校って世界やそこであったことが、ある意味小さくなったというか。「これって、ただの人間関係じゃんね」って思えるようになって。
そしたら「あの人たちだけを悪く言う必要はないな」って感じられるようになったんです。

ーー 自分の在り方の側に変化があったんですね。
はい。外で受け止めてもらえたことで「私が考えてたことは間違ってなかったのに、なんでこうなっちゃったんだろう?」って疑問が生まれたんです。

「全部私が作っちゃったら、一時的な自己満でしかなくなっちゃう」


たくさん考えて、私と「あなた」は確かに全然違うけれど「同じことってあるよね」って思ったら見えてくるものがあって。

「共創」のイメージが変わったんです。

最初のワークショップをやった頃の私は「みんな意見言って」って言ってた割に、実は自分の中に答えを持ってたのかもしれなくて。もしかすると私が「こうなってほしい」って方向に周りを動かそうとしか考えてなかったんじゃないかなって思ったんです。

全部私が作っちゃったら、一時的な自己満でしかなくなっちゃうんですよね。

ーー 共創のイメージは、どんな風に変わりましたか?
自分も意見を出すけれど、周りもちゃんと考えを言ってお互いに受け止められる。

それが「共創」なんですね。

「身近な人とちゃんと分かり合えないと進めない」


自分も出さなきゃいけないけど、本当に何かを変えたいなら一人じゃダメで「ちゃんと身近にいる人たちに認めてもらわなきゃ」って気付いたんです。

まわりは関係なく「自分を貫き通すのが大事」って考え方もあると思います。

でも私はやっぱり周りが一番大事で、身近な人とちゃんと分かり合えないと進めないって思ったんです。思いを共有しながら「一緒にやっていこう」ってスタンスに可能性を感じて「そうしよう」って思えたんです。

ーー 外に行ってみたことで身近な環境が捉え直して、考え方が変わっていったんですね。
次回は、具体的にどのように学校での行動を変え、環境が変わっていったのか伺いたいと思います。


■ 迷いながら、揺らぎながら(さくら)

〈インタビュー for Selfについて(筆者について)はこちら〉

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