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【モヤモヤがとまらない】すーの不妊治療体験記③
皆さんこんにちは。
前回は夫との出会いから、結婚に至るまでをお届けしました。
【前回の記事はこちら】
今回は、結婚直後〜病院への初受診の体験談をお届けしたいと思います。
大きな一歩を踏み出す前って不安や緊張がピークに達しますよね。
まさしくその通りで、余裕なんてナッシングで精神的に追い詰められていた当時の私。
夫と考え方のすれ違いも重なり、結構しんどかった時期です。
今となっては、あの悩んだりすれ違ったりした時期があるからこそ、夫ともより一層絆が強くなったのかなと感じています。
顕微授精ってなんですか
夫と出会うまでの、私の不妊治療の方法についての知識。
不妊治療には3つの方法があって、タイミング法、人工授精、体外受精でしょ?
・・・あれ?彼から聞いた、顕微授精ってなんだ???(突然のパニック)
文明の利器、助けて〜〜〜!!!!
「顕微授精 とは」検索ぽちっ。
顕微授精は体外受精の方法のひとつです。通常の体外受精では、女性の体内から取り出した卵子に男性の精子を振りかけて受精卵を得ますが、この方法では受精が成立しなかったり、精子の数が少ないなどの理由で成立が見込めなかったりした場合の手段として、顕微授精が考案されました。
すなわち、顕微授精とは、顕微鏡で拡大視しながら、受精の手助けを行う方法をいい、当初はいくつかの手段が提唱されましたが、いまでは主に、ひとつの精子を直接卵子に注入して受精を促す、卵細胞質内精子注入法—英語の頭文字をとってICSI(イクシイ)と呼ばれます—が行われています。
ほほ〜〜〜ん、体外受精のひとつの方法ってことなのね。
ふむふむ、つまり、卵子一つに対して、培養士さんが精子を一つ選んで手作業で受精させるのか
培養士さんすげえええええええ!!!!責任重すぎ!!!!!
その職業に就いている友への尊敬の念がMAXになった瞬間です。
そしてその受精に至るまで、初診からめちゃくちゃ月日がかかることを、その時は知るよしもありませんでした…。
あなたの「ふつう」と私の「ふつう」
結婚後、転居や結婚式などでバタバタしている日々が続き、やっと私生活が落ち着いてきた頃に、不妊治療の話題を夫婦ですることに。
夫曰く、顕微授精は頚損男性界隈だとスタンダード(当事者の性機能次第ですが)だし、彼の周りで治療をした人を何人も知っていると。
自分たちにはそれしか方法がないんだと言われていました。
夫にとっては、それが普通の世界。
ただ、私からしたら、
いやいやいや、そうは言っても調べれば調べるほど、不妊治療で最上級の治療法だし、その治療法の存在を知ってから1年も経っていないし、私の周りにいないし、普通っていわれてもな…。
てか、そもそも不妊治療に挑むカップルで、顕微授精までステップアップする人は多くないっぽいぞ…???
なんでだ…なぜ…そんなハードなのか???そんなハードル高いのか???
私が見えている世界と、夫の見ている世界、違いすぎないか?!
と、非常に困惑していました。
色々調べる中で、他のカップルが顕微授精までステップアップしない理由は以下のことが多いのかなと気がつくことに。
①タイミング法・人工授精と長く不妊治療を続けており、既に高額の出費をしていること。また、長い治療期間で心身が疲弊していること。
②顕微授精は、不妊治療の中でも特異な「人の手によっての授精」となる。
他の治療法は全て「受精」させることに対して人の手が入らない。(他の方法はあくまでも受精は自然な状態で受精が行われる。)
③顕微授精は特に高額。
この3点の不安をひとつひとつ払拭していくことが、私が一番はじめに行ったことです。
私たちにとって、①は他の治療は行えないので、そもそものスタート位置が異なること。他の治療の影響がゼロの状態で顕微授精に臨むことになります。
③は、ちょうど不妊治療が保険適用になっていたので、従来よりは安くすむのかなと。ただ、夫のTESE手術もあるので、トータルで高額になるのは目に見えています。
②については、非常に難しい部分でしたが、幸い培養士が身近にいたのでそこまでの抵抗はありませんでした。
①も③もお金のこと、というのは結構シビアだなと思います。
不妊治療が成功したら、そのまま出産や育児で流れるようにお金がかかり続けます。
不妊治療の難しさって、やっぱり妊娠がゴールではなくて、あくまでも子どもの命のスタート地点に立つことにあるなと痛感。
そして、その命のスタート地点に立つまで、どのくらいの時間とお金を費やすのかが未確定なので、精神的にも大変なんだなと気が付きました。
分かち合えない苦しさ
経済や精神的な負担のほかに、不妊治療中は私生活や仕事のスケジュールが組めないというのも大きなポイントです。
男性が行うTESE手術は事前に日時が決められて、一泊2日(夫の場合。日帰りの方もいるそうです)。他の通院は2〜3回ほど。
顕微授精は女性の採卵日と胚移植日があり、日帰りではありますが実行日以外に頻繁に通院があります。そして、その実行日や通院日は直前にならないと決まりません。
そう、男性と女性の負担度合が明らかに異なるのです。
圧倒的に女性の負担が大きいというとがわかりました。
正直、夫に対して優しくなれなかったのはこの部分が大きいです。
(ごめんね、夫よ。仕方がないことだと頭ではわかっていても、心がついていかないのだよ…。)
負担をかけることになって申し訳ないと思う必要はないのですが、
「他の人もやってるし、一人でなんとか頑張って」じゃ、厳しいです。
女性にとってはパートナーからの精神的なケアや思いやりがかなり重要になります。
一緒に不妊治療に臨むのであれば、女性の負担がどのようなものかを男性自身がまずは調べてほしいです。
私たちの場合は夫からの説明がほぼなく、あまりにも私に対して無責任なのでは?夫のなかでの「普通/当たり前」にかこつけて蔑ろにしていないか?とモヤっとしました。
もし、これからパートナーと一緒に不妊治療に挑む男性は、ぜひご自身で調べて、一緒にパートナーの不安を解消したり、話を聞いてみてください。
好感度が爆上がりするかと思います。知らんけど。
子どもの命を一緒に考えたい
また、先述したように、不妊治療はゴールを目指すのではなく、子どもの命のスタートを目指すものです。
不妊治療にばかり気をとられがちですが、私はその命のスタート後のことも治療を開始する前に夫婦で色々と話し合いたいと思っていました。
どこで産むのか、どんな育児をするのか、仕事は、保育園はどうするか、住居はどうするか…。
その通りにいかなくても、二人の考えを摺合せたいと思っていました。
ただ、前回お話したように、ここでも夫とのすれ違いが起こってしまいます。
夫は、「実際産まれないとわからない」「(不妊治療前の)いま考えてもあまり意味がないのでは」というスタンスでした。
彼の意見もわかりますが、それまた無責任な…とイライラが湧いてきたのも事実です。
ただ、この夫の考えの裏には、夫なりの私への気遣いがあったのが後にわかります。
(気遣いの仕方、そうじゃなくない?!!と衝撃を受けましたが…。笑)
生殖能力がわからない苦しさ
前述した夫の発言の裏には、実は夫にしかわからない不安や苦しさがありました。
夫が受傷したのは8年前。それから一度も精子を出すことがなく、結婚に至ります。
人間の身体の機能的に、定期的に精子を出さないと質が落ちたり、そもそも精子がちゃんと作られていない可能性が出てきます。
また、夫はカテーテルを使用しての導尿や浣腸を使った排便が必要なため、尿路感染症や出血などで頻繁に38度以上の熱を出していました。(ここ最近は、清潔を徹底したり道具の工夫などをしてだいぶ減りました。)
精子は熱に弱いといわれていますし、心配の種がつきない状況でした。
(TESE手術の半年前からは、熱発したときは股間に保冷剤を当てて冷やすこともしていました。絵面としてはちょっとコミカルですが、我々としては真剣そのものです…。)
つまり、夫としては本当に自分の精子の状態に不安を抱えていて、実際に受傷してからの状況だけみるとかなり厳しい、と思うようなが環境が続いてきたわけです。
だから夫としては、まずは自分がTESE手術を受けて精子の状態を検査してもらってからじゃないと、私にその先を考えてほしくない・私に希望や期待をもたせたくないと思っていたそうです。
う〜〜〜〜〜ん!!!!!!わかるけど!!!!!!(頭では)
わかるけど、でも…それって私も同じなんだけどな…というのが夫にはなかなか伝わらなかったです。
私だって、今まで大きな疾患は患っていないけれど、実際に受精・着床・妊娠の経験を通じないとわからないことだらけです。
私だって自分の生殖能力がわからないし、不安だらけです。
それを、俺の番が終わってから考えてほしいと言われても…というのが正直なところ。
そして、男性受傷者は(パートナーの有無に関わらず)TESE手術などで精子凍結を早めに受けたほうが、将来的にいいんじゃないかな…と思いました。
TESE手術と不妊治療って、本当は切り離して考えたほうがスムーズなのに、私達の場合は不妊治療のスタートとしてTESE手術があったのが、すれ違いの原因になっていた気がします。
ただ、不妊治療の保険適用にするには、婚姻後でないと適用されないので、制度との噛み合わない部分があります。
夫のように不安を抱えることもしんどいですし、不妊治療(採卵)から2人でスタートする(もしくは、精子凍結と不妊治療の期間をあける)ほうが、負担の大きい女性パートナーを男性が最初からサポートする余裕が生まれるんじゃないかなと思います。
いざ、病院へ!!
病院選びは私たちの場合、夫が決めました。
お隣の県でしたが、夫がリハビリ病院時代にお世話になっていた先生(脊損男性不妊の研究をされている方)がいる病院で、基本的に車でしたが、電車でも乗り換えなしで20分ほどだったのでちょうどよかったです。
私の採卵などもその病院で最後まで治療しました。
今回、私たちは保険適用ですべての不妊治療を行いました。
男性の処置でも女性の処置でも、必ず夫婦関係を証明するものや、2人の同意書や同席での受診が必要になります。
私も、先んじて行われる夫への処置について様々なリスクなどを承諾して一緒に望むことになります。
そのことも、根が真面目な私としては自分ごととしてプレッシャーになっていました。
私自身の不妊治療はまだ先ではありましたが、先に不安の種がないか夫と並行して病院で血液など検査しましょうということに。(不妊治療の範囲ではなく、検査のみということで実費です。)
夫の結果がわかるまえから、結局色々と処置されとるやないかい!!(心の叫び)
ストレス値検査も行ったのですが、本当に笑ってしまうくらいストレス値が高くて、採卵までにこの値を下げましょうね…ということになりました。
当時はこの不妊治療のストレスとは別に、仕事でも高ストレス下にいたので、このまま私はちゃんと妊娠できるのだろうか…とますます余計なストレスを抱えたのを覚えています。
衝撃の展開
そしてなんと!!!!!!
夫のTESE手術日が初診から約半年後になりました…。
保険適用で患者さんが急増して、もう半年先まで手術予定が埋まっているという予想外の展開に。
皆さん、初診はお早めに!!!そして手術日も早めにおさえましょう!!!
結果として、私としては半年猶予が与えられたことになり、じゃあ一旦不妊治療のことは忘れて心身の回復を目指そうと切り替えることができましたが。
ここから先は不妊治療とは関係のない余談です。
この頃、私自身が公私の心労・過労から高熱がつづいたり精神状態が不安定になっていてやむなく休職を選択。これも予想外の展開すぎて、人生って本当にわからんもんだなと。手当や保険金もあり、夫も頑張っていたので経済的な不安がないのが救いでした。
結局、心身の不調は1年ほど続くことに。胚移植の時期を遅らせることになりました。
結婚が決まってからノンストップで猛スピードで走り続けていたので、私にゆっくり出来る時間ができて安心したと友人たちから伝えられて、「ああ、そうか…ちょっと頑張りすぎちゃってたな。今は自分を休ませて見つめ直すターンなんだな。」と思えるようになりました。
そして、家族のあり方や、家庭や夫婦での自分の役割、自分が本当に無理のない範囲で過ごすこと、自分の快適さや、やりたいことを積極的に取り入れるんだと考え直すきっかけとなりました。
(どうしても、夫といると車いすユーザーの世界・生活の状況下で生きていくことになります。そこにプラスして、夫にできなくて私にできる細々としたことをするのが増えつづける環境。ヘルパーさんを導入するも、ヘルパーさんファーストな生活。でも本当の緊急時にはヘルパーさんはいない。
仕事がようやく一段落しても、自分の好きに過ごせる時間がなく、それが日常に。
自分のことを優先するのが難しいし、夫にそのもどかしさが伝わらない状況も辛かったです。)
幸い、休職に対して夫は肯定的で、結婚当初は「私が支える!」と意気込んでいましたが、支えられることも増えました。
お互いをサポートし合うバランスとしては、正直このくらいが一番いいのかもなと思うようにもなり。
今後、妊娠出産育児でまたバランスが変わったときに、私は仕事ができるのだろうか。
それが果たして家族に良い影響を与えるのだろうか。なども考えるようになりました。
私が必ず必要になる出番って、夫の緊急トラブルに対処することだけど、普段から100%で生きてたら、対応がキャパオーバーだよな…とか。
最後はとりとめのない話になってしまいましたが、長い不妊治療の期間、同じ状態や状況であること・同じ心情でいることも稀なのかなと思います。
たくさんの感情や思いを経験しながら自己内面の成長や、夫婦間の絆が強まるのも不妊治療の効果なのかもしれません。
次回予定:夫のTESE手術
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