ウェルビーイングと私 たにふぁ
この機会に振り返ってみると、私がwell-beingについて意識し始めたのは、今から3年前、大学生の就活の時期であったと記憶している。当時の私は、就活生らしく、マイナビやリクナビが主催するいろんな就活イベントに顔を出すような日々を過ごしていた。それなりに忙しかったから、自分なりに真剣に頑張っていたと思う。だが、心のどこかで思っていた。「就活ってこんなかんじでいいんだろうか」。企業の人に会って、毎回することは、「俺はデキるやつです。お願いだから採ってください!」という有能アピールである。有能ではないことは自分が一番わかっている。だから、自分をよく見せようと必死に偽る。人事の人に本音を言っていいのなら、「別にこの企業に入りたいと思っているわけじゃないんです。働くなんて全然考えたことなんてないんです。だって、つらそうに働く大人たちをみたら、考えたくなくなるんだもん。でも、就職できないことを考えるともっと怖くて、、、」って言いたいよ。でもそんなことはあまりにも恐ろしくて言えない。態度に出すのも恐ろしい。とにかく、社会や企業から要らないやつ思われるのが怖かった。家に帰ってきたら、やっと素に戻れて、ドッと疲れが感じられるようになる。「スーツ着て、電車乗るだけで疲れるのに、しんどいわ。」と思った。
インターンや企業説明会に参加すると、すごく優秀に見える人たちがいるし、自分より劣っているように見える人たちもいる。そんなほかの就活生を見て、私は毎回、優秀に見える人たちに圧倒されて、劣等感に圧し潰された後、劣っている人たちを見つけて「こいつらには勝ってる」と、優越感を感じて胸をなでおろすことをしていた。そんなことをしている自分が本当にみじめで、自分を責めてさらに苦しくなった。
そんな就職活動を続けているとき、Youtubeで就活系の動画を何気なく見ていたら、あるYoutuberの動画が目に入った。何気なく見てみたYoutuberの名前はUtsuさん。最初はなんか胡散臭いおっさんだなと思った。でも動画の内容は、なぜか退屈せず聞けたし、雰囲気とか口調、態度、振る舞いとかで、この人は信用できると直感で感じた。気づいたら、定期的に見るチャンネルになっていた。そして、企業の広報解禁間近の2月の中頃、あるUtsuさんの動画を見て、心の中で確かな衝撃を感じた。それは「人生の目的」という概念について説明している動画だった。Utsuさんが言うには、人生の目的とは、自分が人生をかけて向かっていきたい方向性のことである。自分の価値観から導き出した人生の目的だから、エネルギーが自然と湧いてくる。そして、その人生の目的に向かっていく手段として、企業を選べば、就活にも自然と力が湧いてくると説明されていた。私は、「これだ」と思った。自分の心から自然と湧いてくるエネルギーなら、自分を良く見せるために、がんばって自分を偽ることもないし、働いて結果も出せるんじゃないかって。間違いなく人生のターニングポイントだった。Utsuさんは私のことなんて知らないだろうが、本当に感謝しかない。
それからUtsuさんの教え通り、白紙の紙50枚に自分の過去の経験を書き出して、「なぜ私はこんな行動をしたのか」というように深堀りをしていく作業を取り組んだ。結局、すぐに努力は実ることはなく、人生の目的らしいものは明確にならなかった。だから、行きたい企業が全く分からず、私は就活を辞めて大学院に逃げる決断をした(笑)。この選択が良かったのか悪かったのかは今でも分からないが、自分の選んだ道なので責任を持ちたい。まあでも、あの時の自分は、ああすることしかできないメンタリティーだったのだろう。過去には戻れないので気にしてもしょうがない。そこから大学院に進学して、2カ月で中退して、well-beingという概念と出会うのはそれから1年半後くらいになるのだが、それはまた次の機会に。