【初心者向け】「チップチューン」という音楽ジャンル・カルチャーについて。
ワビサビストの皆様、good eating!
「ワビサビータ!」ファミコン担当【田村つくね】でごじゃいます!
皆様、ご機嫌麗しゅう。…わきゃー!٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
…と、いう事で。
早速で御座いますけれどもー!
今回は私の大好きな「チップチューン」という音楽ジャンル・音楽シーンについてです。まだご存知無い方や、初心者の方向けに紹介をしたいと思います!こうした話は堅苦しくなりがちなので、細々とした話は抜きにして!敢えて思いっきり簡略化していきますので!ご容赦下さいませ!レッツゴー!
今日のお品書き
・ チップチューンって何?
・ まずは何から聴けば良いの?
・ 遊び場としての8bitカルチャー
・ どこで情報を集めれば良いの?
■■ 《チップチューンって何?》 ■■
音楽ジャンルのひとつ。本来はレトロPC・レトロゲーム機(ファミコン・ゲームボーイなど)の音を使った音楽として始まり、今ではその特徴的な音や音楽的な技法を模したり取り入れた音楽を指す言葉。…やや乱暴ですが、私の解釈で簡潔に申し上げるとこんな感じですね!とってもピコピコしてます!ほら例えばこんな感じで。(↓ Sound Cloud)
例えばファミコンやゲームボーイは、通常1度にたった3つ+αしか!音程のある音を(それもごく単純な電子音のみ)出せないのですが(細々とした注釈を入れまくりたいですが、ぐっと堪えて割愛!)、そんな技術的な制約の中で、ドラムもベースもメロディもハモリも伴奏も鳴らすなんて…出来ちゃったりするんですよねぇー!!制約の中で豊かな音楽体験を目指す為の創意工夫・テクニックやお茶目でチープな音色が、チップチューンを独特なサウンドにしています。一方で、チップチューンらしさを取り入れつつも、敢えて制約を無視して表現する方も多いよ!自由だ!フリーダム!ピッコピコ!
…少しだけザックリと、成り立ちなどをお話してみましょうか。(興味が無い方は、次のお題まで読み飛ばして構わないと思う!)
…昔むかし。パソコンという商品が市場に登場して間もない頃(1970年代)。この"楽器として設計されていない"機器(当時はごく単純な電子音のみ同時に1〜3音しか鳴らせなかった)で敢えて音楽を鳴らしてみようと試みた技術者や愛好家の方々が居りましたとさ。そうした方々が(インターネットも無い時代に!)プログラムした楽曲データや発音プログラム自体の交換や共有を始め、やがてコミュニティを形成する様になりました。
時が経つに連れ、多くの制約の中で豊かな響きを表現する音楽的な技法が誕生し、パソコンの進化と共に鳴らせる音数や音色も僅かながら徐々に増え、音楽を作るプログラムも販売される様にもなり、優秀なプログラムはどんどん改変・改良され、共有されていきます。
素晴らしい音楽やプログラムを作った人間は賞賛され、自宅に何十通も感激の手紙が届いたそうです。緩い繋がりの中、我先に!…と、ささやかな競争が起こり、音楽的テクニックの進化と、技術的な進化が同時に行われていったという事ですね。その頃は扱う機器毎にそれぞれ事なる特徴やコミュニティが存在していました。そんな1985年頃、音源チップの音という由来でそれらを包括的に指す言葉「チップミュージック」「チップチューン」が生まれ、1990年頃までの間に、この呼び方が広まったようです。
やがて、パソコンや電子楽器を使えばよりリアルで豊かな音楽表現が当たり前に可能になったにも関わらず!「敢えて選択的に」レトロPCの音や制作環境を好んで使用する人たちが現れる様になりました。ゲーム機の非力な性能を用いて、音楽を奏でてみたいと考え、挑戦する方まで現れました。そしてインターネットが登場し、世界各所に点在していたコミュニティが情報交換をする様になりました。技術がどんどん共有され、ゲームボーイを片手にステージパフォーマンスをする方まで現れました。
…こうした試み・挑戦・遊びの延長線上にあるのが、現代のチップチューンです。昨今では、そうした「レトロ機器の制作環境や音」をPCなど現代のツールで実現する方法が増えました。技術的な知識が必要だった閉じた世界が、ツールの進化により制作のハードルが下がり、より多くの人がチップチューン風の音楽を作る様になりましたとさ。(私もそんな流れの中で登場した一人という事ですね。)めでたしめでたし。
今日もチップチューンは進化を続けています。多様化に伴う自由な解釈と、伝統的な制約による挑戦の間で揺らぎながら。
※以下、補足!
(日本でチップチューンという文化をいち早く観測し、その発展と情報共有に多大なる貢献をされた音楽家・研究者の hally こと 田中治久さんに、心から敬意を。より詳しい経緯や歴史をお知りになりたい方は、氏の著作「チップチューンのすべて」にてお確かめ下さい。)
→ Amazon
(もう少しカジュアルなノリで掘り下げたい方は!「ゲーム音楽大全」をお勧めします!付録にしてはめっちゃクオリティの高いCDが付いてまして、YMCKの除村さんによるKONAMIリミックス楽曲や、寄稿された記事なども掲載されています!このCDを手に入れる為だけに購入しても損しないっす。マジで。)
→ Amazon
(2019年4月25日。平成の終わりに下北沢THREE にて行われました「見ル音ナイツ チップチューンパーティー!!」にてMCを務めて参りました。その際、演出の一環として「チップチューン初心者の館」と題しチップチューンは何たるか?をプレゼンして参りました。その記録はコチラ)
→ Twitter「#チップチューン初心者の館」
■■ 《まずは何から聴けば良いの?》 ■■
私自身もまだまだこの世界の全容を把握し切れてい無いのですが、それでも聴いて欲しい楽曲・知って欲しいアーティストは本当に沢山います!そんな中でも、特に多くの方にとって聴きやすいんじゃないかな?と思った国内のオススメ作品と、映像をご紹介しますね!
■ YMCK「Family Dancing」
ファミコンサウンドとウィスパーボイスを武器に、JAZZ的な手法を取り入れたポップスを作り上げているYMCK。作品毎にサウンドや歌詞にコンセプトがあり、この作品はダンサブルでクールな楽曲が多い。
→ iTunes
YMCK「ファミリーダンシング」Trailer
■ YMCK「ファミリークッキング」
前述の作品は大人っぽいオシャレさが際立っていたのは対照的に、コチラは全編に温かみと可愛気に溢れたポップな作品。よりJAZZYなポップの色が濃い。思わずクスッと笑ってしまうキュートさに溢れている。作り込まれた映像やエンターテインメント精神に溢れたライブ演出も魅力。
→ iTunes
YMCK「ねこなでたい」
■ SEXY-SYNTHESIZER Feat.Chihiro「「POP!」」
チップチューン的な音をレトロ機器を使わずに実現しつつ、底抜けに明るくテンションの高いダンスチューンを沢山作っているSEXY-SYNTHESIZER。ボコーダーを用いたボーカル楽曲とインスト曲が半々くらいの割合。この作品は女性ボーカルが参加している。
→ Bandcamp
SEXY-SYNTHESIZER New Single "SKY HIGH "CM
■ TORIENA「SPACE FUGITIVES」
チップチューンと言えばTORIENA!という方も多いかも知れない。このシーンでズバ抜けたカリスマ性を発揮している。若くしてゲームボーイを用いたクオリティの高いゴリゴリのダンスチューンを発表し話題となる。奇抜で可愛いファッションやデザインも自身でトータルプロデュース。若い女性アーティストにありがちな「色モノ」に収まる事なく、芸術家としての力量を見せつけまくってる。どこかパンクな、反骨精神の様なモノが見てとれるパフォーマンスやサウンドも魅力。近頃は歌も歌っており、様々な電子音を織り交ぜているが、ここは敢えてゲームボーイサウンドの作品を紹介したい。
→ Bandcamp
m7kenji x TORIENA / PULSE FIGHTER MUSIC VIDEO
■ Saitone「Overlapping Spiral」
チップトロニカ とも形容される、レトロ機器やゲームボーイの音を織り交ぜたエレクトロニカ。控えめに言って、天才。1曲目はポップなんですが、2曲目から狂気を感じさせてくれます。検索するとライブ映像も出てくるんですが、ぶっ飛びます。化け物。
→ iTunes
「Saitone in VORC Records 2008 "Overlapping Spiral"」
**■ **
番外編!音楽系では無いのですが、天才的でハイセンスは映像クリエイターであると同時に、チップチューン系のイベントでは高確率でVJとして活躍されている、m7kenji さんの動向も見逃せません!これはもう、論よりも目で見て、肌で感じてみて下さい!
→ m7kenji YouTubeチャンネル
→ m7kenji WEBサイト
■■ 《遊び場としての8bitカルチャー》 ■■
レトロPCゲームやファミコンやゲームボーイは今でも愛され続けており、それらをリスペクトしたドット絵やピクセルアートの作品が生まれ、映像作品やファッションアイテム、ゲームが今でも作られています。それらは当然!親和性の高いチップチューンとも結びつき、それぞれの文化を包括する言葉として「8bitカルチャー」と呼ばれる様になっています。
私は、これを大変好ましく思っています。チップチューン系のイベントの楽しみは、良い意味で音楽だけじゃないんですよ。イベントに設けられたスペースには色んな表現をされる方がいます!ドット絵リスペクトの映像が流れ、商品が並び、身につけ、耳だけで無く目でも存分に楽しませてくれます。今でもファミコンのゲームを制作されている方なんかもいらっしゃるのですよ!信じられますか!?笑
…逆に、アート系のイベントにチップチューンのアーティストが招かれたり、DJを行ったりといった交流もあります。好きな事を好きにやってる!というポジティブなオーラを纏っている方が大変多いので、自然にハッピーな空間が出来上がります。すごく楽しいですよ!
2018年のフジロックでは、Chip Tanaka(任天堂ゲーム多数やアニメ版ポケモンを手掛けたサウンドクリエイター)さんが出演しました!
更に近年では、大手のゲームメーカーが「あの頃」の作品を移植したり、リメイクしたり、現代版に進化させた形で再販したりなど。80・90年代ゲームのリバイバルや再評価の流れがありますし、より加速している様にも思えます。これに伴う公式なイベントやコンサートもよく耳にする様になりました。ドット絵を用いた広告も目に止まる様になりました。前述の m7kenjiさんや、ヘルミッペさんの活躍はシーンの中に大きく轟いていますし、愛嬌のあるコミカルさや、完璧な美しさでいつも魅せてくれます。いいぞ!もっとやれ! (* ̄。 ̄)੭ु⁾⁾㌔
ドット絵系VTuberなんてのも登場してますよ!ドット絵の書き方を可愛く指南してくれる「ピコ」さん(Twitter)や、美しい存在自体がアートな「ピクセルコ」さん(Twitter)、ボクセルの「箱野せる」さん(Twitter)はお勧めですね!マイペースな更新ですが、とっても雰囲気の良い、ハッピーなアーティストの方々だと思います。今はWEB上のみの活動のようですが、今後8bitカルチャー系のイベントにも、登場してくれないかなー!仲良くなりたいね!o( ̄▽ ̄o)ワクワク
…あと!忘れてはなりません!そうですよ「UNDERTALE」!レトロゲームライクな、リスペクトが散りばめられているネ申ゲーの大ヒット!制作した Toby Foxさんは音楽家としてチップチューンも多数手掛けていらっしゃる方なのですが、同ゲームにおいてもチップチューン愛もが炸裂しています。(本当に!最高の作品です。難しいゲームじゃないから、是非やってみてね。僕もゲーム実況で取り上げました。あと楽曲のカヴァーもしちゃった!)
まだまだー!ドット絵はアイロンビーズととっても相性が良くてですね!中でもヌン様の作品はとってもキュートで大好き!YouTubeの動画や、ショップもチェックしてみると、とってもハッピーな気分になれるよ!まずはめちゃカワな画像が見放題のBlogからかな!
ドット絵のアートビジュアルや罪深いグッズをご所望の方はBAN-8KUさんの活動にも注目ですよ!LINEスタンプもイケてます!
あとは、ドット絵系のオサレなアイテムが欲しい方はね、ピクセルアート×レザーの「.C(ドットシー)」さんはオススメ!ドット絵のめちゃカワな罪深いブローチが沢山ある「vivi」さんもイケてます!いつもお世話になってもーす!☆彡ピュー
近頃、トップアーティストのお一人である scytheさんが、ゲームボーイの制作環境である LSDj の解説動画をアップし始めました!もし制作側に興味のある人は見てみてね!私の方では、8bitカルチャー系イベントのレポート動画を制作して発信する様になりました!(マイペースだけどね!)
こうした流れの中、8bitカルチャーに触れる方がもっともっと増えて欲しいと思いますし、チップチューンという言葉が認知されて欲しいなって思います。実際、そんな手応えも少しづつあるようですよ!先輩方によればイベントをやった時の客層にも少し変化があるとの事。全体的に年齢層が高めだったのが、近頃は若い子が増えてきたんだとか。8bitの音や絵にノスタルジーを感じない世代の方々にも、「可愛い」「新鮮」という文脈で届いているのを感じます。とっても!喜ばしい事です。…それでもまだまだ!一般にはあまり知られていないカルチャーだと思いますから、この魅力をもっともっと多くの人に届けて、一緒に遊べる輪を広げていきたいものです。わきゃー!
ところで、新宿に立ち寄る機会がありましたら、是非「8bitcafe」へお立ち寄り下さい。8bitカルチャー系のアーティストやフォロワー御用達のお店です。半年に一度、お店主催のイベントも行っておりますので、それもとっても楽しいですよ!私も毎度顔を出しているので、お会いした暁には、お友達になりましょう!
→ 紹介されている記事へ
■■ 《どこで情報を集めれば良いの?》 ■■
■ 「CHIP UNION」
チップチューンアーティストのYMCK・ヒデドライバー・hallyさんを中心に立ち上げられた、8bitカルチャー系の情報を発信するWEBサイト。約1年半くらいのスパンで「Chip Union Festival」というイベントも企画しており、これは初心者に最も強くオススメしたいイベントですね。出演者も聴きやすいアーティストが多いです。会場全体に、ゆっくり誰でも楽しんで貰える様な配慮がされています。
→ Twitter
→ CUF2018のレポート動画(ショートver)
→ WEBサイトへ
■ 「Family Radio Show」
YMCKのコンポーザー除村氏による、チップチューンを中心とした8bitカルチャー系の情報を共有するネットラジオ。毎週月曜22時にツイキャスにて行われています。過去の放送分も再生出来るので、是非のぞいてみて下さいね。
→ ツイキャスへ
■ 「Pixel Art Park」
ドット絵やピクセルアートを中心としたお祭り!ドット絵リスペクトの商品やアーティストを沢山チェックして、購入する事が出来ます!チップチューンアーティストによるSHOWもあるとの事なので、とっても楽しみ!事情をよく知る方によると、年々明らかに規模が大きくなっているのだとか。すごいね!きっとハッピーな空間なんだと思うよ!
→ Twitter
→ WEBサイト
■ 「Square Sounds Tokyo」
チップチューンアーティストであると同時に、レーベルも運営している cheapbeat さんが主催の、国内最大級のチップチューンイベント!毎年10月頃に高円寺Highというライブハウス/クラブで2日間に渡り開催されており、ステージ上も客席もワールドワイドである事が特徴。日本にいながら、異国に来たかのような非日常感が味わえる稀有なお祭りでもあります。前述2日間の前後一日は、それぞれ前夜祭/後夜祭と位置付けたイベントが早稲田の「茶箱」というスペースで行われており、本祭とはうって変わって和気藹々な、アットホームな空間を楽しめる様になっています。
あくまでイベントですので、それ自体が包括的な情報を得る場というよりも、注目度の高い良質なアーティストの名前を知る場として、過去の開催分も含め、検索してチェックしてみると良いかと思います!
→ Twitter
→ レポート動画(ショートver / SST2018出演31アーティスト全紹介!)
→ Spotifyプレイリスト(SST2018 出演のアーティストより抜粋)
→ WEBサイト(SST2018)
あとは各アーティストさんのSNSや、私が気が向いた時に作っているレポート動画がYouTubeにあります。チップチューンを知った当初、私自身が情報を探すのを結構手間に感じていたので!それを思い出しながら、オススメのコンテンツや情報に導く様な、そんな道しるべを作りたいですね。最近は気に掛けてくれる若い子も増えてきたので、ワクワク出来る情報がスグ見つかる様にしたいな!…んでさ、一緒に遊ぼ?いえーぃ!!
チップチューンはきっともっと楽しい世界になるし、輪を広げて多くの人に楽しんで欲しい!と思うちょるけん、見守っててね。(…あと、発信の場を持っている方で、面白そうだなーと感じて頂けたら、気軽に連絡下さい!生放送でもラジオでも、取材でも、ゲームでも!チップチューンの魅力を語れる機会を頂けるならばどこへでも!わきゃー!)
…それでは皆さま、今日もより良き一日を! (* ̄。 ̄)੭ु⁾⁾㌔
※この記事は、今後不定期に加筆修正を行い、更新していく予定です。
※チップチューンというカルチャーや私のこうした活動について、もし背中を押して頂ける様でしたら!この記事をSNS等でシェアして頂けると大変嬉しいです。
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この記事を書いている人について。
【 田村つくね 】
ワビサビータ!主宰のファミコンポーザー。ギタリストであり作編曲家。音楽系アーティスト。ゲーム実況動画の配信やピクセルアートも少々。趣味はハーブティーとアニメとSF小説。にわか健康マニア。社交的な根暗。脱力系の楽天家。基本的に無敵。
■ Twitter → @nk4649
■ Instagram→ @nk4649
【 WABISABITA! - ワビサビータ!】
ファミコンの音とスカ/スカパンクを小粋なハモリでたまごとじ!宇宙最強のパーティーロックバンドここに爆誕!!異世界は「あれれガルド」から!音楽の力で世界を救うべく(支配すべく?)やってきた勇者達。おてんば姫【カナリア】の僕(しもべ)「ワビサビスト」増殖中。
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