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蛮勇斥力


 皆さん、こんにちは。困った人を助けたい! よし。一番先に自分を助けなきゃな。木賃もくちんふくよし(芸名)です。

 さて。昨日、エレベーターで転んだ爺さんを助けた話をお届けしましたが、コレ、爺さんが亀みたいにもがいてるのを見つけた瞬間、

 1.転んだ
 2.酔っ払い
 3.キ○ガイ

 の3つの可能性から1を選んだ訳ですが、この3つより格段に低い可能性も考慮はしていた。

 4.詐欺・恐喝の類である。


 例えば、助け起こしたら、

 (´°皿°)」 突き飛ばしたのは
 オマエかぁああぁ〜〜ッ!?


 って騒ぎ出すとか、もうちょい高度になると、助け起こそうとした時にワザと転んで「今のが原因で怪我した」って言い出すとか、「大事な荷物が壊れた」って言い出すとか。

 こーゆー可能性はない訳ではなかった。いや、充分にある。要は親切心を逆手に取った「当たり屋」の類である。皆様もこういった危険には充分に注意されたし。

 さて。この爺さんを助けた話をTwitterとこのnoteに書いた訳だが、これに対して割と多かった反応が、まさに、


 (´°皿°)」 コイツに
 突き飛ばされた!!

 じゃなくて良かったですね。ヽ(・ω・)


 である。
 さもありなん、だ。

 まぁ、ワタクシもその可能性を考慮しなかった訳ではない。ただ、可能性が低かった事と、服や髪をエスカレーターに巻き込んでしまったらソレどころじゃない訳で。

 もし爺さんが当たり屋の類であっても、当たり屋だからエスカレーターに巻き込まれて死んでいいなんて道理はないし、そんな場面に出くわしたり、翌日のニュースで知ったりしたら、間違いなく、

 (´°Д°)」 目覚めが悪い。


 正直、数秒の観察の中でも、その確率的に低かった。倒れ方とか服装とかでね。
 そして万一に「当たり屋」だったとしても、その可能性は考慮してあるから、「コイツが悪い!」とか言われても冷静に対処する心構えはあった。
 なおかつワタクシは、無駄に身長だけ高い、人相の悪いおっさんである。まして、そーゆートラブルの多い蛮州、、、じゃなくて播州で育った。
 下手な事でゴネようとされても、


 (´°皿°)」 あ"ぁん!?


 って恫喝したら、30%ぐらいは勝てると思う。てか、


 カツアゲのプロから
 カツアゲしようなんざ
 ヘソで油が煮えるわ。


 ※ 現在、ミンチカツ揚げ担当です。本当です。でも、プロかと言われるとバイトですが。


 そんな訳で、確率が低かった事、対処する心構えがあった事、そして緊急性があった事から、助けるに至った訳ですが、

 が、

 (´・Д・)」 君子危うきに近寄らず、だ。

 君子じゃない我々は、
 余計に近寄ってはいけない。


 爺さんを助けた翌日ぐらいだったか、電車内でタバコを吸ってる馬鹿がいて、それを注意した高校生が、逆に暴行を受けるという事件があった。
 ワタクシは、この高校生と、その勇気や正義感を讃えたいと思う。

 だが、真似はするな。


 蛮勇など持ち合わせぬ方が安全なのである。

 匹夫の勇など無用の長物なのである。

 確かに、社会的な正義や治安、秩序は大事だ。可能な限り重んじたいとは思う。
 しかし、だ。

 それは、キミの人生や生命、
 家族や友達よりも大切かい?


 山口貴由先生は「蛮勇引力」という素晴らしいタイトルを生み出した。確かに蛮勇は引き合う力がある。喧嘩を売りたい・買いたい奴らのマッチングだ。当然だろう。

 だが我々には平穏な生活があり、それを壊してまで守るべき正義や我欲なんて少ない方がいい。
 名誉で中々飯は食えん。自尊心でも同じだ。蛮勇など示さない方が良いのである。

 ワタクシは格闘技好きたし、少しは齧りもした。今は身体がガタガタなので喧嘩など出来ない。そりゃ、ちょっとしたトラブル程度なら、制圧できる事はあるかも知れない。
 皆さんの中にも、そこで派手な喧嘩に勝ちたい、なんて欲望がむくむくと鎌首をもたげるかも知れない。

 だが、必要なのは蛮勇引力ではない。蛮勇斥力である。

 いいだろうか。件の高校生が10分間も殴られていたにも関わらず、誰も勇気を出して、身体を張って止めようとしなかった、という声がある。

 (´・Д・)」 大間違いだ。


 参戦しない勇気を持ち合わせていたのだ。
 この場にはきっと、怖くて逃げた奴はいる。それでいい。
 助けたくて、怖くて助けに行けなかった奴がいる。それでいい。
 助けたいが、自分の日常のために我慢した奴がいる。それでいい。
 撮影して、それを証拠に提出してくれた奴もいるのだ。それでいい。

 逃げて正解だ。お前の日常より大切な物なんてそうそうない。
 助けに行かなくて正解だ。お前が重傷を負ってたかも知れない。
 涙を飲んで我慢して正解だ。それはとても苦しい選択だったろう。
 撮影して正解だ。その証拠はどれほどの被害者の役に立っただろう。


 それを、なぜ誰も助けなかっただの、撮影してるなら助けろよとか、向こう岸から正義や勇気を語るのは簡単だ。
 こいつらの方がよっぽど卑怯で、物も知らず、危険に近寄りたがる。

 なぜ助けなかっただと?

 助けたくねえ奴なんざ
 居ないに決まってんだろ!


 守る日常がなく、安全に制圧できる力がありゃ、誰だってそうする。
 守る日常があるんだよ。安全の保証がないんだよ。そんな力は持ってないんだよ。

 だから、どうか蛮勇を示すことを勇気と勘違いしないでください。
 外から勇気について語るほど卑怯な事はありません。
 あなたが危険を遠ざける斥力に恵まれる事を、心から願う。

 
 (´・Д・)」 なお、ワタクシはあの映像を見る限り、あの場に居合わせたら止めに入ってたと思う。
 しかしコレは、勇気などではない。

 単に、愚かなのだ。
 性格上、血が騒ぐのである。

 覚えたあの技を試せる
 絶好のチャンスじゃないか!


 とか考えちゃうのである。要は阿呆なのだ。守らなきゃならない伴侶や子供もいない。死んで誰かに譲るような財産もない。
 成功した人生でもない。齢50を間近に控えた、カツアゲおじさん
なのである。

 ※ ミンチカツ担当です。


 要は、ただ単に、運良く悪い方向を向かなかっただけの、


 無敵の人なのである。


 だからどうか、皆さんは、まず、守るべき日常がある幸せな生活を築いて頂きたいと、切に願うばかりである。



 ※ この記事はすべて無料で読めますが、「このnoteの売上があるから、蛮勇を示す必要はねーな」と思えるよう、投げ銭(¥300)をお願いします。
 なお、この先には「お前、そうは言うけど、ホントに止めに行けたの?」について記してあります。


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(´・Д・)」 文字を書いて生きていく事が、子供の頃からの夢でした。 コロナの影響で自分の店を失う事になり、妙な形で、今更になって文字を飯の種の足しにするとは思いませんでしたが、応援よろしくお願いします。