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彼岸花追想


 皆さん、こんにちは。彼岸島じゃないですよ。木賃もくちんふくよし(芸名)です。
 ええと。ワタクシ、よく誤解されるのですが、実はアニメをあんまり観ません。
 あんまりってか、実は全然観ない人間なのです。

 子供の頃は再放送世代で山ほど観てましたけど。夕方4:00~6:00までが全局アニメか特撮の再放送。夜7:00~8:00が新番組って感じで。ほぼ毎日ジャンプ系のアニメやってましたし。

 別にアニメが嫌いになった訳ではありませんが、特に観ることがなくなっていった感じです。てか、そもそもTV自体をまるで観なくなったし、TV番組はサクッと1回で終わってくれないんですよね。

 映画みたいに2時間で終わってくれるなら、もう少し観ると思う。


 近頃は、友人がDVDを持ってきて鑑賞会をやってくれたり、YouTubeなどをはじめとするの配信サービスがあるお陰で、自営業を辞めた2年前から、幾らかは観るようになったと言える。

 ※ アメコミやカートゥーンは好きなので、割と観てる。

 そんなワタクシですが、ヒガンバナ、と言うと思い出すアニメがある。

 ※ くどいようだが、彼岸島ではない。いや、アレはアレで嫌いではないんだけど。

 これも米国産のCGアニメなので、もともと観ていた作品だが、

 

 「RWBY」である。


 近頃は外伝的作品「RWBY 氷雪帝国」が日本で制作され、少し知名度が上がったように思うが、この作品のシーズン4で、

 「ヒガンバナ」と言う村が出てくるのだ。


 主人公はヒガンバナと言えず、ヒガンバーニャと言っていたが。
 まあ、何故アニメとヒガンバナの話をしたかと言うと、

 この「氷雪帝国」と同時期に開始したアニメ作品「リコリス・リコイル」に彼岸花が出てくるからである。

 ちなみに、この「リコリス」こそが、彼岸花の別名。他に曼珠沙華とも呼ばれたりする。

 なお、ワタクシは飲食業界に30年ほどいるため、リコリスと言うと、


 (´・Д・)」 甘草カンゾウ


 の方が先に出てくる。(名前は同じだが別種。ミーアキャットは猫じゃないし、プレーリードッグは犬じゃないのと同じ感じ)

 また、世界で一番マズい菓子として有名な「サルミアッキ」も所謂リコリス菓子の1つである。
 ちなみにワタクシはサルミアッキは嫌いではない。美味い!とも思わんけど。
 あと、リコリス菓子が嫌われる理由のひとつは、その香りで、リコリスだけじゃなくてアニス(茴香。ウイキョウ)やスターアニス(八角)も嫌われ者だったりする。

 なお、リコリス菓子は好きって程でもないのだが、

 (´°∀°)」 アニス系の
 酒は大好きなのよね。


 おっと。話が横に逸れた。
 甘草ではなく、彼岸花の方だ。
 そう。甘草はハーブとして大活躍のリコリスなのだが、もう一方、彼岸花の方は、

 (´・Д・)」 毒なのである。


 それも結構キツいアルカロイド系の毒だそうな。で。アニメ「リコリス・リコイル」にて、ヒロインがこの彼岸花を口にくわえる、というシーンがあったらしく、

 (´・Д・)」 絶対に
 真似しないでください!


 と、ひと騒動あったそうな。
 ちなみに、彼岸花は毒抜きすれば食えるらしいし、薬としても使われるらしいが。
 彼岸花が咲き乱れる農村、という田舎で育ったワタクシとしましては、彼岸花に毒があるのは常識。とは言え、触るだけで危険なキノコなどに比べれば、彼岸花の毒で死に至るケースは少ないだろう。
 製作陣が都会っ子だらけで、彼岸花に毒がある事を知らなかったのか。それとも逆に田舎育ち故に、「このぐらいなら平気」と判断したのか。その辺はわからない。
 だが、作品の制作には多くの人間が関わるため、全員が知らなかったなんて事は考えにくいので、偶然チェックを通ってしまったのだろうか。

 いや、ワタクシはとある経験から彼岸花に毒がある事を知っていたが、案外、常識でも何でもないのかも知れない。

 ワタクシが記憶する限り、ワタクシが彼岸花を意識したのは、小学校1年生の時である。
 学校の帰り道。田んぼの畦に群生する彼岸花の真っ赤な花を目に留めてしまった。
 当時は知らなかったが、彼岸花には毒があるからこそ、獣害防止の策として、田畑の畦道に植えられたのである。(おそらく効果はない模様)

 近寄って見ると、なんと美しい花だ。


 まだ純真だった少年の僕は、彼岸花の美しさに見惚れた。
 こんなに美しい花があるなんて。
 物心ついてからこれまで、彼岸花を意識した事はなかった。そこら中に咲いているから、見ていないはずはない。しかし、彼岸花はその名の通り、お彼岸の短い時期にしか咲かないのである。
 考えても見れば、幼稚園児の行動範囲は相当狭いし、移動はまだ母の自転車に乗せられていた。だから、彼岸花を知らなくても不思議はない。

 子供だった僕は、その朱色と言うに相応しい、ともすれば奇妙な、繊細で美しい花を見つけてしまったのである。
 そんな筈はないのだが、世界でこの花を見つけたのは自分だけだと思った。

 僕はそれを一本手折り、家路を急ぐ。

 母にプレゼントするためだ。


 こんな綺麗な花だ。きっと母も喜ぶ。

 喜び勇んで家に帰ったが、母は困惑の表情を浮かべた。



 (あれ? おかしいな。喜んでくれると思ったのに)


 僕はガッカリした。しかし、その様を見てとったのか、母は、


 「あらあら。ありがとうね。綺麗な花よね。でもこの花は彼岸花って言って毒があるから、次に見かけても触っちゃダメよ」


 と言いながら、花瓶に入れて生けて飾ってくれたのである。
 僕だけが見つけた花だと思っていたが、どうやら違ったらしい。毒もあるし、なんだか縁起が良くないらしい事もボンヤリと察した。(縁起が悪いって意味もわからなかったし)

 その後に、同級生たちの間でも彼岸花が綺麗だって話と、毒があるらしい事、そして、葬式(当時はお彼岸の意味を知らなかった)にまつわる花である事などを知った。

 そしてー、

 あの時の母の微妙な表情の意味を。


 母が交通事故に遭い、意識不明になったまま、もう季節が3つ過ぎようとしている。
 もう目覚めないであろう覚悟はしている。
 ただ、覚悟しておく事と、希望を持つ事は別だ。

 だから僕は、そして、ワタクシはーーー、

 彼岸花の話が出てくるたびに、あの、

 嬉しいような、困ったような、
 懐かしい母の表情を思い出すのである。


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 なお、この先にはなんと、この話のオチが書かれている。


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(´・Д・)」 文字を書いて生きていく事が、子供の頃からの夢でした。 コロナの影響で自分の店を失う事になり、妙な形で、今更になって文字を飯の種の足しにするとは思いませんでしたが、応援よろしくお願いします。