もう1人のモハメド・アリ
皆さん、こんにちは。「刃牙」の「神の子激突編」って結局いったい何だったの? 木賃ふくよし(芸名)です。
いや、アレはモハメド・アリではなく、モハメド・アライ・ジュニアですが。ええ。
はい。そんな訳で本日は少々、格闘技の話などをしてみたいと思います。
とは言え、ガチの格闘談義をした所で、ついて来れない人だらけになるのは明白ですから、逆に、どっちかと言うと皆さんが好きそうな、
(´・Д・)」 格闘バトル漫画。
ってのについて、ガチ視点からお話してみたいと思うのですよ。ええ。
てかね? 皆さん、バトル漫画とか大好きじゃないですか。でも、別にだからと言って格闘技を見るかと言うとそうでもない。だって仕方ないじゃない。
(´・Д・)」 リアルは、
地味なんだから。
そう。現実の格闘技ではビームとか出ない。かめはめ波も波動拳も霊丸も撃てないのである。当たり前だ、とか言わないで欲しい。
皆さんだって、拳や掌、指先から「気」が出て欲しいと願った過去があるだろうし、何なら今もそう思ってる。そして、人知れず練習した事さえあるはずだ。
それだけではない。伝説の達人は身も触れずに敵を倒したなんて逸話がある。
憧れない訳がない。
では、リアルに「気」だの何だのという、ビーム的な何かが撃てるのか。
(´・Д・)」 たぶん撃てない。
一応、格闘技を色々と齧った事があるし、そーゆー伝説の始祖とも言える中国拳法も習った事があるけれど、残念だが、実在は確認出来ていない。
しかし、その元になったと思われる「気功」や「発勁」なら、体験した事があるし、何なら、出す事も可能である。
正直な話、「発勁」だの「気功」だのは別にオカルトではない。流派や人によってスタイルが違うため、一言では言えないが、色んな要素の複合的な形だと思っている。
だが、それをトータルした時、最終的に最も有力なのは、
(´・Д・)」 打法。
もう少し細かく言うと、フォームとスタンスと脱力だと考えている。
言ってしまえば、野球でホームランを打つためのフォームとスタンスと脱力の方法があるってだけの話だ。てか、別にホームランでなくても、より美しいフォームからより良い飛距離が生み出されるってだけの話なのである。
例えば、パンチは大きく分けて3種類存在する。相手の動きを封じるジャブと、ダメージを与えるストレート。そして、物理的に動かすアッパーやフックである。
この3つの違いは、パンチの軌道だけではなく、打法そのものが違う。ジャブは当てて相手の行動を挫く意味合いが大きいので、小さく速く打つ必要がある。だから、パンチは短く引いて、衝撃を前に飛ばすイメージ。
ストレートは相手に浸透するダメージを与える必要があるので、パンチは目標物に当たった瞬間に握り込んで止める感じ。
アッパーやフックは物理的に、顎や頭を揺らす必要があるので、フォロースルーをしっかり入れる。
と、こんな風に用途が違う。
気功や発勁と呼ばれるものの正体もこれと同じで、より浸透するダメージを与える打法なのだとワタクシは考えている。
要するに、物を叩いて「壊す」のか、より「遠くに飛ばす」のか、「大きな音を出す」のかの違いだと思って欲しい。
壊すにしても、潰すのか、破壊するのか、傷つけるのか、それぞれ方法が違う。
発勁は打法的に「大きな音を出す」に近いと感じている。
おっと。妙に説明が長くなってしまったが、発勁を放つ事は、ワタクシ如きでも可能と言えば可能なのである。ただ、それは50回、100回チャレンジして1回とかそんな確率だし、まして、試合中に自分も相手も動きながら、戦いながらそれを放つ事は不可能に近い。そーゆー事だと思う。
そして、この発勁、
(´・Д・)」 相手に
当てなきゃ効かない。
そう。ひょっとしたら、触れなくてもかめはめ波みたいに気功を放てる達人がいるかも知れんが、ワタクシはみた事がないし、メカニズム上、不可能だと考えている。
ないと言い切る事はロマンがないので、あるかも知れないが、断じるとするならば「ない」と言わざるを得ない。
ただし、本当に触れてなきゃ一切攻撃できないのか? って言われると、そんな事はない。
ぶっちゃけ、フェイントがそれである。要するに、攻撃ってのは虚実を混ぜてやるモンだ。てか、実のある攻撃にも強弱や囮(実質フェイント)がある=フェイントでも当てる事はあるし、フェイントにも当てる攻撃、当てるつもりもない攻撃、攻撃するフリ、肩口の入れ方などで攻撃を仕掛ける素振り、眼などを使って仕掛ける振りなど色々な種類がある。
強い人なんかは、攻めて来なくても、仕掛ける素振りだけ、何なら特に構えていなくても、
(´;ω;`) 反撃される
イメージしか浮かばねえ。
ってな事になる。無論、相手が強い事を知ってるから、単にびびってるだけかも知れんが、割と初対面でも格上の相手ってピンと来るし。
てな訳で、「気」も「触れない攻撃」も存在するが、
(´・Д・)」 結局は地味。
そんなモンである。
例えば、どんなにパワーのあるパンチを食らっても、人間はリングの端まで吹っ飛んだりしない。そもそも、大人と子供ぐらいの体重差がないと、打撃では吹っ飛ばない。
少なくともアッパーで、頭上より、振り上げた拳より高く舞い上がる事はないのだ。
中には、漫画的に言うと、
(´°Д°)」 吹っ飛んだ!?
いや、自分から飛んで
ダメージを軽減した!?
なんて場面はよく見るが、有り得ない。自分から飛ぶ余裕があるなら躱せる。ブロックを入れる方が速い。てか、回避が間に合わなきゃ身体を捩ってダメージを軽減するし、それでも間に合わなきゃ踏ん張って耐えるし、それさえも間に合わなきゃ、自分から当たりに行ってヒット・ポイントをズラしてダメージを軽減する。
少なくとも、自分から飛ぶ=軸足に力を入れてシフトウエイトするって事で、軸足を踏ん張った所に打撃を食らうなんてリスクは避けた方がいい。
軸足と言えば、格闘技におけるカウンターを大きく誤解している人がいる。
恐らくは「あしたのジョー」の功罪が大きいのだろうが、格闘技におけるカウンターってのは単なる「反撃」ではない。
カウンターとは、主に、相手が攻撃態勢に入っている瞬間を狙って入れる攻撃である。
要するに、殴るなり蹴るなりする瞬間ってのは、軸足に力が入る訳だ。つまり、重心が前に行く。要は回避行動が取れない、ほんの一瞬なのである。
カウンターってのは、この瞬間にこそ入れる反撃であり、基本的に相手の攻撃より先に入る攻撃。て事は、反撃だけど、反撃じゃないし、素早ければカウンターって訳でもない。
無論、お互いの技の種類によって、こっちも食らうけど相手の方がダメージが大きいとか、見た目には先に当ててるように見えたり、後から当ててるように見えたり、同時に食らったように見えたりもする。そーゆーモンだ。
てな訳でアニメ漫画、映画の影響なのか、誤解されがちなネタを紹介した訳だが、話のオチに行く前に、タイトルの伏線を回収せねばならない。
タイトルは「もう1人のモハメド・アリ」であり、モハメド・アリと言えば、「蝶のように舞い、蜂のように刺す」最も偉大で有名なボクサーの1人であるカシアス・クレイ。日本では、猪木・アリ戦でも有名だ。
実は、有名と言えば有名なんだけど、あんまり知られてない、もう1人のモハメド・アリがいる事はご存知だろうか。
その男の名は、モハメド・アリ・ラシュワン。
そう。ここでピンと来た人はいるかも知れない。有名なのはモハメド・アリ・ラシュワンの「ラシュワン」の部分なのである。
とは言え、ラシュワンって誰? って人が大半だと思うので、簡単に解説すると、
1984年、ロサンゼルス・オリンピックの柔道で、決勝まで進んだ男なのである。
決勝の相手は日本の山下泰裕。順当に行けば、山下の勝利は固いだろう。だがこの時、山下は第2回戦で右脚を負傷しており、見た目にも深刻な様子で、多くの人間は、怪我をした右脚を攻めればラシュワンが勝てると思った。(準決勝は山下が寝技で勝った)
しかし、ラシュワンは負傷した右脚を攻めず、正々堂々フェアプレーの精神で勝負し、山下に敗北した。
って美談が飛び交ってるんですけど。
その美談で有名なのがラシュワンなんですけど。
(´°A°)」 何が美談?
先ほどの説明と併せて考えてもらいたい。
山下が負傷したのは右脚である。つまり、投げるために、右脚を軸足にする事は出来ない。
だとしたら、攻めるべきは、左脚だろ?
打撃系の試合なら、右脚を攻める道理もあるが、柔道で右を攻める意味はあんまりないぞ。
ちなみに、誤解して欲しくないが、ワタクシはラシュワンを卑怯者だとは思ってない。勝つために相手の弱点を攻める事は正しいとしか思ってないからだ。
単に、その話が「怪我した相手を攻めないのが優しい」って美談にされてるのが気に入らんだけだ。
なお、当時を振り返り、山下泰裕自身は、「誤解しないで欲しいが、ラシュワンは別に右脚を攻めなかった訳ではない。露骨に右だけを攻めたり(逆に言うと左だけも攻めたり)しなかっただけで、負傷に関係なく、普段通りに試合をしてくれた。だからフェアプレーの精神がある選手」と評している。
また、ラシュワン本人も「フェアプレー精神が素晴らしいと言われると嬉しいが、それは違う」と認めており、試合直前はコーチから、
「1分待って、動揺を誘え」
と言われたが、はやる気持ちを抑えられず、攻めまくった上に敗北したのである。
まあ、これを正直に告白してるのは実に立派だと思うし、その点は美談でいいんだと思うけど、右脚を攻めなかったってのは、
(´・Д・)」 全面的に誤解。
って事を言いたい訳である。
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(´・Д・)」 文字を書いて生きていく事が、子供の頃からの夢でした。 コロナの影響で自分の店を失う事になり、妙な形で、今更になって文字を飯の種の足しにするとは思いませんでしたが、応援よろしくお願いします。