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メンジョン出汁


 皆さん、こんにちは。ファンタジー大好き、木賃もくちんふくよし(芸名)です。
 本日はいきなりですが、本題から行きたいと思います。
 と言うのも、ネットを覗いておりましたらば、こんな意見を見かけたんですけれども。

 「ダンジョン飯とか見てても思うんだけど、やっぱ女性の構築するファンタジーは現実だなと思う。現実の地続きにある。レッドドラゴンに消化された妹の白骨死体を再構築して蘇生させるなんて手段、多分男は詳細に描かない。描けない。不思議な力で治す」


 (´・Д・)」びっくりするぐらいに
 的外れすぎて笑っちまったわ。


 ダンジョン飯の元ネタのメインは「ウィザードリィ」というゲームである事は間違いなく、それを作ったのはロバート・ウッドヘッドっておっさんである。

 と言うか、元ネタが割と雑なファンタジーRPGなんだけど、この当時はコンピュータの性能的に表現できない事も多くてな。
 そもそもウィザードリィ自体が「ダンジョンズ&ドラゴンズ」のパロディ的な立ち位置だったり、この作者も男性だったり。

 と言うか、科学が好きだったり、設定厨だったりってのは女性よりも男性に多い傾向である。

 いや、ぶっちゃけガンダムやらヤマトの後続作品を見りゃわかるけど、当時は雑だったSF的設定を、最新の理論や科学考証に照らし合わせて、荒唐無稽さを減らすって手法は一般的なんだよな。
 その再構築が上手か、とか、物語に上手く融合させてるか、と言う問題はあるけどね。

 「ダンジョン飯」はそれが美味かった、いや、上手かった。
 特に「動く鎧」の設定と考証なんかはゾクゾクするほど面白かったし。
 そこにあんまり男女は関係なく、単に作者(や担当編集さんたちスタッフ)が面白い作品を出した、と言うだけの事でしかない。

 ただ、それを受け入れる土壌や環境ってのはあってな。

 少年漫画と少女漫画の歴史を見ればわかるが、中世ヨーロッパ的ファンタジー作品ってのは圧倒的に少女漫画の方が多い。
 ドラクエ以降で少年漫画にも増えたが、それまでの少年漫画にファンタジー作品が少ないのよ。
 不思議なもので「漫画」で1980年代は男児に人気の「変身ヒーローもの」「合体ロボットもの」が不人気だったりする。例外は最近ドラマ化された「ウイングマン」ぐらいか?
 つまり、変身ヒーローは小学校低学年までの男児が観るもので、少年漫画は「男児向けではなく、少年向け」である事から差別化を図っていたのではないかと推察される。

 ファンタジーも同様で、これも「男子にはウケない」と予想されていた模様。
 あればウケたかは不明で、男向けのコンピュータゲームやゲームブックには西洋ファンタジー物が多かったので、需要自体は確実にあった訳だが。

 逆に、要は王子とお姫様という「宝塚的煌びやかさ」を求めていた層が、作る側にも読む側にも女性に多かったのよね。
 一方の男は学生服で泥だらけになりながら殴り合う方を求めた。

 その差で、西洋ファンタジー作品の土壌に女性が適している、という点は事実だと思う。

 和製伝奇ファンタジーなら男女問わず山ほどある。
 言ってしまえば「白土三平」の「サスケ」や「水木しげる」の「ゲゲゲの鬼太郎」なんてのはわかりやすい和製ファンタジーな訳だし。

 ちなみに真面目な話、ファンタジーもSFも、昭和の御代は少女漫画の方が強くてな?
 と言うのも、男性SFファンは「ゴリゴリのSF小説」に走ったから、少年漫画はSFにもファンタジーにも弱かったと思うんだよ。
 こう言うと例外や反論はあるだろうが、最後まで聞いてくれ。

 実際に爆発的な人気を誇るファンタジー少年漫画は少ない。
 日本で西洋ファンタジーが覇権を握るのは、間違いなくドラゴンクエスト以降(1986)である。
 しかも、そのドラゴンクエストさえも漫画化されるのは1989年だったり。それ以前は「バスタード!!」の読切が1987年。
 それより前の和製西洋ファンタジーだと安彦良和の「アリオン」(1979)が後年にアニメ映画化されたぐらいじゃなかろうか。(大ヒットとは言い難い)

 実はコレはファンタジーだけじゃなく、SFにも言える。
 昭和の御代の少年SF漫画で人気なのは、そのほとんどが「舞台が未来的世界」ってだけで、本質は冒険モノ、バトル物が多いのよ。
 未来だから、ロボットが出てくるから、って物が多くて、むしろ「細かい設定をSF的な謎の力で解決」という方向性なんですよね。
 何故なら、少年向けに細かい科学考証をしてもウケないと思われてるから。

 無論、例外はあるが、後年になって作品が評価された、というモノを除くと、ゴリゴリのSF少年漫画、ファンタジー少年漫画で売れた物を探すのは難しいんだよな。青年誌はともかくとして、ね。

 まあ、少女漫画にもSF、ファンタジー作品の数は数あれど、ゴリゴリのハード設定な作品は少ないんだが、それでも「売れた作品」や「ゴリゴリの作品」は確実にあるんだよね。萩尾望都とかが好例だろう。
 実際、例外としちゃ柴田昌弘みたいに男性少女漫画家もSFモノを手掛けてたりするが。

 こう言った歴史を見るに、ファンタジー漫画、SF漫画で女性に一日の長がある(作家がいるから読者が育ち、読者がいるから作家が育つ)、と言われると認める訳だが、女性の描くファンタジーがリアルかと言われると、ゴリゴリのファンタジー、SF小説家の女性比率は高くないぞ、と。

 基本的にマイクル・クライトンみたいな設定厨は男性に多くて、やっぱり男性向けなのよ。
 確かに、ファンタジーではないが高村薫みたいな設定厨も女性にはいるが、この人の場合、緻密な設定が物語にあんまり関係なかったり、人気の要因のひとつがキャラクター人気だったりするので、そーゆー意味では女性らしさが出ている。

 まあ、高村薫みたいなゴリゴリの取材をする人は男性でも例外の部類だろうけどね。うん。

 で。コレはおそらく未来永劫続くんだろうが、逆に「現実を知らないから、SFやファンタジー作品に逃げる」って人は多くてな。
 いや、別にそれが悪い訳じゃないんだが、要はフワフワした設定に、モテる俺(アタシ)って作品はSFやファンタジーでありながらも、本質は対極だと思うんだよ。

 誤解してほしくないが、別に「こんなのSFじゃない!」「ファンタジーはかくあるべしだ!」とか言いたい訳じゃなく、全部SFでもファンタジーでもいいんだけど、


 「もしこんな物質が
 発見されたら
 どんな世界になるか」


 というSFと、


 「都合が悪い部分は
 謎の物質で解決だ!」


 ってSFは本質が真逆だと言う話である。
 どっちも好きなので、そこに善悪や正否を持ち込むつもりはない。


 町中華をファミレス的に押し上げている「餃子の王将」と、
 中華料理をファミレス帯に押し込んだ「バ〜ミヤン」の差だ。


 どっちが好きかってのはあるかも知れんが、どっちが悪いってのはないんだよ、と。

 で。話が長くなったけど、結論から言うと、「都合が悪い部分を解決」ってのを端的に言うと「ご都合主義」な訳でな。
 このご都合主義の「究極的な高濃度ファンタジー作品群」って意味では、


 (´・Д・)」ハーレクイン・ロマンス


 というモノがあるから、確実に女性の方が歴史も土壌もあると思う。

 ※ハーレクイン。70年以上の歴史がある、女性向けかつ女流作家を多く抱える出版社で、基本は恋愛小説。
 自立した女性主人公物が多いが、結局恋愛事に流される。
 その恋愛相手が大富豪だったりする。わかりやすい。

 (´・Д・)」男性向けのモテモテなハーレムものラノベとか比べ物にならない歴史と蓄積があるぞ。

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 なお、この先にはワタクシのファンタジー遍歴が書かれています。


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(´・Д・)」 文字を書いて生きていく事が、子供の頃からの夢でした。 コロナの影響で自分の店を失う事になり、妙な形で、今更になって文字を飯の種の足しにするとは思いませんでしたが、応援よろしくお願いします。