猫の倍返し
皆さん、こんにちは。ジブリ作品は肌に合わない、木賃ふくよし(芸名)です。
さて。まったく意図しないところでしたが、こちらとこちらと本日で、
「猫の恩返し 3部作」
というスター・ウォーズ・サーガみたいになってしまいました。
一大叙事詩となると長くなるので、とっとと本題を話し始めましょう。
本当は守秘義務的に話しちゃいけない事だとは思うのですが、ひとつはそろそろ時効って事と、もうひとつは、店も廃業したので免責って事でご勘弁ください。ご本人が読まれる事はないと思いますが、これも有名税と思って許してください。
それは、ワタクシが経営していたバーを廃業する、数年前の話。
たぶん、年末だったと思うのですが、割と忙しい日の深夜。
新規客が1組入ってきました。
2人で、どちらにも見覚えがありません。まあ、新規客なので当然と言えば当然なのですが、その時から妙な違和感があったのです。
たしか、お2人とも楽器ケースをお持ちだったので、音楽関係者なのは間違いないでしょう。
気になったのは、その片方の女性です。
歳は20代なかば頃か、セミロングの髪にちょっと洒落た眼鏡。うん。深夜の繁華街にはあまりいないタイプで、音大卒業したばかりのお嬢さまって感じの気品があるんですよね。
ウチの店の名前が「OPUS ON& meno mosso」(どちらも音楽用語)なので、それに惹かれたのかも知れませんね。
軽くお話をしたり、他のお客様と話したりしながら、新規客獲得のための手がかりを探す。こっそり聞き耳を立てる感じで、2人の会話をそれとなくリサーチする。
年齢は、思ってるより少し上か。+5歳、、、いや、小柄な体格に可愛らしい顔立ちだから見誤ったが、思っていたより結構上だな、これ、30前半ぐらいか。
やがて、カウンターのお客様が帰られたので、お二人と集中的に話す。
話せば話すほど、この女性に見覚えがあるような気がする。何となく雰囲気的に芸能人のような気がするんだけど、TVは全然観ないし、芸能人には疎いので、無理、思い出せない。お名前を聞いたりするのも野暮だし、諦めてフツーに、極めてフランクに話す事にする。
ウチの店に置いてあったCDの山に反応したのか、少し音楽の話をしてみたりするが、ワタクシは基本、メタルかハードロックしか聴かないので話題を外してしまう。もうお一方は少し興味があったみたいですが。
そして、話がその辺から発展していき、いずれ映画の話になる訳ですが、そこで、映画の話の中からスタジオ・ジブリの話に移行する。そこでワタクシ、
(´・Д・)」 「あ。ワタクシ、宮崎駿、嫌いなんスよ。
家族向けしか作らないし、
説教くさいし、
いかにも、ふとしたシーンに
テーマを散りばめておきました的な」
と、調子に乗った発言をしてしまいましてね。ええ。いや、嘘は言ってないし、いつもの調子ではあるんですけど。
その時、その女性が少しムッとした感じになりまして。ええ。あ、こりゃミスったな、とは思ったんですけど、その時に気付いてしまったんですよ。
この女性、
つじあやのだ。
※ ジブリ作品「猫の恩返し」の主題歌を担当。
/(^o^)\ オワタ。
いや、つじあやのって眼鏡にショートカットがトレードマークなんじゃないの!? なんでセミロングなの!? 聞いてないよ!!
いや、言ったことは本音だし、そこに後悔はない。しかし、別にお客様を不愉快にさせる事は本意ではないのだ。つじあやのだと知ってれば、わざわざそんな発言はしない。
今さら意見を撤回する訳にも行かず、もうお一方が話に乗ってきたので、ワタクシのジブリに対するディスが続く。
(´・Д・)」 「いや、ジブリに限らず久石さんの音楽とかは素晴らしいですけどね」
と、これまた本音で、嘘は言ってないけど微妙なリカバーを企てるが、非常に感触が悪い。
で。幾らか話を続けているうちに、向こうも「つじあやのだと気付いている」事に気付いた模様。
この辺から、ワタクシ、川原泉さんが好きで、その漫画原作の映画「笑う大天使」は面白かったですよー、とか更なるリカバーを実行するも後の祭り。
※ 川原泉原作「笑う大天使(ミカエル)」 つじあやのが主題歌を担当。
明らかに気分を害しているつじあやのさんから、ド直球な質問が来てしまう。
「じゃあ、猫の恩返しはどう思いました?」
もう今さらリカバーは効かないみたいだから、本音を言うしかない。
(´・Д・)」 「なくても困らない作品かな、って思いました」
(´・Д・)」 本音。ちなみにラピュタは好きよ。これぞ王道の冒険モノって感じで。
まあ、向こうも大人なのか、お連れの方は特にジブリファンって雰囲気でもなかったのか、口論という雰囲気にはなりませんでしたが、完全にワタクシの失敗ですね。おそらく大変気分を害された事と、深く反省しております。はい。
それなりに談笑してくださいつつも、つじあやのさんは帰られましたが、二度目のご来店は、当然ありませんでした。
この夜はホントに反省したのか、この後に結構飲んでたのもあって、明け方に友人のつじあやのファンに電話して、「やっちまったわ」と懺悔してた。
しかし、この話はこれで終わらない。
その数ヶ月後。1~2ヶ月後だったと思うが、近所のバーのスタッフが、ウチの店へと飲みに来たのである。
で、話をしていると、想像だにしない展開が待っていた。
「少し前の話なんですけど、
つじあやのが飲みに来たんですよ。
何でも、ウチの店の前に寄った店が
ムカつく店主だった
とかって言ってました」
はい。
それ。
(´・Д・)」 ワタクシです。
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(´・Д・)」 文字を書いて生きていく事が、子供の頃からの夢でした。 コロナの影響で自分の店を失う事になり、妙な形で、今更になって文字を飯の種の足しにするとは思いませんでしたが、応援よろしくお願いします。