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わざわざを虜にした野良着の魅力
わざわざには今、3種類の「野良着」が集まっています。わざわざ歴が長い方ならお馴染みの「もんぺ」や、先日新入荷したばかりの「SAPPAKAMA」、「たつけ」がこれに当たります。
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野良着というのは主に農民が田畑で働くときに着る着物のことです。地方により呼び名は様々で、各地で独自の発展をしながら着続けられてきました。こうした野良着は戦後の環境変化、洋服の普及など様々な要因で下火傾向にあったようですが、現代になって良さが見直されてきています。わざわざを虜にした野良着には、一体どんな魅力があるのでしょうか。
野良着を集めたかったわけじゃない
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まずお伝えしておくと、わざわざにもんぺ・SAPPAKAMA・たつけといった野良着たちが集まってきたのは、野良着を集めようとしたからではありません。
わざわざでは取り扱い商品を決める際に、独自の基準を持っています。衣類であれば着心地がよく、きちんと作られているものを選びます。見た目だけでなく、生地や縫製、生産背景にも着目しているのです。
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わざわざが2009年に創業して以来、約15年をかけて着心地の良い服を追い求めてきた結果が今のラインナップです。野良着が集まってきたのは、長く伝え続けられているものに詰まっている先人の知恵には優れたものがあるからで、さらには現代の作り手による温故知新を経て、今の生活を快適に、彩り豊かにしてくれる着心地のいい服だからなのだろうと感じています。
ということで、前置きが長くなりましたがここから野良着の魅力についてひとつずつご紹介していきます。
魅力その1.見た目良し
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前段で「見た目だけじゃない」と書きましたが、見た目はもちろん大事です。「野良着」「もんぺ」といった言葉からはスタイリッシュなイメージが浮かびにくいのかもしれませんが、現代の作り手が生み出す野良着たちは、正直、すごく格好良いです。
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腰回り~太ももにかけての体のラインは拾わずに、ふくらはぎで細くなっていくこの形。あまりファッションに興味がなくとも、着るだけでコーディネート上級者のような雰囲気をもたらしてくれます。
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一部の野良着(ファーマーズもんぺ)の形は足首あたりもゆったりとしたワイドパンツ型です。昨今はワイドパンツが流行っていますので、今らしいコーディネートを作り上げてくれますよ。
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ちなみに、わざわざで取り扱っている3種類の野良着(もんぺ・SAPPAKAMA・たつけ)のうち、色や柄のバリエーションが多いのは「もんぺ」です。もんぺは2012年からずっと取り扱い続けているだけあって一番充実しており、気分に合うデザインを見つけやすいかもしれません。
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魅力その2.歴史がある
日本人ははるか昔から稲作で米を作り、それを主食として生きてきました。どうも約3,000年前(紀元前10世紀)には水田稲作が日本に伝わってきていたと考えられているようです。現代においても水田耕作は残り続け、これと共に作業がしやすい服として登場した野良着もまた、各地域で独自の改良を重ねながら伝わってきているのでしょう。
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例えば、石徹白洋品店が作る「たつけ」という野良着があります。石徹白洋品店は縄文からの集落である岐阜の石徹白(いとしろ)に伝わる知恵を学び、次の世代に伝えていく取り組みとして服作りに取り組んでいます。たつけは農作業の時に誰もが穿くズボンとして、石徹白で作られ使われてきたそうです。
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お尻の部分がこのような三角形になっているのには理由があります。これは和裁の考え方に基づいていて、できるだけ少ない生地で作るために各パーツを直線で設計しているからです。曲線があるとどうしても布に使えない部分が出てしまいますが、直線なら組み合わせ次第で無駄が最小限になります。
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こうして作られたお尻部分には程よい余裕が生まれます。布も無駄にしないし着心地も楽ということでまさに一石二鳥です。
ちなみにたつけの形は、東北に古くから伝わる野良着、猿袴(さるばかま/さっぱかま)とどことなく似ています。猿袴を元にリデザインしたSAPPAKAMAがわざわざに新入荷したとき、たつけと作りが似ていることにスタッフは驚きました。
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両者の関連性は少し調べただけでは分かりませんでした。岐阜と東北と離れていますが、形が似ているのは偶然なのでしょうか?全国各地に様々な言葉で野良着が残っていることを思うと、もしかするとこれらを辿ると何かつながりが見出せるのかもしれません。
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いずれにせよ、昔から今にかけての伝承の過程では「いい部分」が特に残りやすいはずです。作業性の高さと着心地の良さ、製造過程での無駄のなさなど、先人の知恵が残した野良着には現代に通ずる優れた点が沢山あるように感じます。
魅力その3.とにかくラクチン
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どの野良着も、農作業の時に着る作業服なだけあってすごくラクチンです。共通しているのが、腰回りがゆったりしていて動きやすいことです。農作業はしゃがむ動作が多いので、しゃがんでも腰回りに窮屈さがなくて、膝がつっぱらないのは大きなポイントです。
農作業でなくとも、会社でのデスクワーク、家事、育児の様々な場面でこの着心地の良さを実感します。野良着があれば、1日が本当にラクチンに過ごせるのです。
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サイズ選びのポイントは「ふくらはぎ」
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野良着はどれも腰回りがゆったりしているので、サイズ選びはざっくり確認すれば大丈夫なようにと思われるかもしれませんが、「現代風もんぺ」を検討される際には必ず「ふくらはぎ」のサイズを確認していただきたいです。
というのも、「現代風もんぺ」はふくらはぎをシュッと絞ることで、ゆったりした着心地でありながらも綺麗なシルエットを作りだしているからです。他の野良着よりも細身に出来ています。
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右:わざわざのストレッチ Farmers' MONPE(ファーマーズもんぺ)Sサイズ
実はオンラインで購入されたお客様から交換希望を受ける場合も、一回り大きなサイズへの交換を承ることが多いのです。反対にM→Sサイズといった小さなサイズへの交換は少なく、おそらくふくらはぎのサイズ感が交換の理由になっている様子です。
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また、既に現代風もんぺをご愛用中の方は、ふくらはぎを理由に1サイズアップして現代風もんぺを選ばれたのであれば、他の野良着を試す際には1サイズ戻してもよいかもしれません。
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右:SAPPAKAMA Sサイズ
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右:SAPPAKAMA Sサイズ
こちらは現代風もんぺとSAPPAKAMAを比較してみましたが、SAPPAKAMAの方がふくらはぎ部分に少し余裕を感じる傾向があります。現にスタッフがSAPPAKAMAを試着してみたところ、手持ちの現代風もんぺより1サイズ小さくても楽に着こなせたという感想が出てきました。各商品ページにふくらはぎのサイズを記載していますので、ご購入前に一度ご確認をお願いしたいです。
ちなみに、実店舗・問touにはもんぺ・SAPPAKAMA・たつけが揃っています。ご試着ももちろん大歓迎ですので、あれこれ実際に着比べてご自身に合う一着を探してみてください。
見た目良し・歴史あり・とにかくラクチンな野良着たちを、今後ともどうぞご贔屓に!
もんぺ博覧会2024 開催中!
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毎年恒例となった、もんぺ博覧会。今年は数量限定「セレクトもんぺ」を18種類ご用意したほか、定番人気「わざわざストレッチもんぺ」の型違い「わざわざのストレッチ Farmers’ MONPE」も登場しました!この機会にぜひ1本、2本と、お気に入りのもんぺを探してみてくださいね。
文責>いしはら 写真>若菜紘之