【ソフトテニス】2024年現地で見た個人的名勝負10選
皆様、明けましておめでとうございます!
本年もマイペースマイウェイで、ソフトテニスや他のコンテンツも楽しんでいきたいなと思います!
ということで新年の挨拶をしたところですが、今から昨年の振り返りとして私が2024年に現地で見たソフトテニス個人的名勝負10選を紹介したいと思います。
本当は年末に間に合うように書くつもりだったのですが……。そこもまぁマイペースマイウェイということでご容赦ください。
去年は北海道内外含めて合計で11大会19日間現地観戦することができました。
この中から特に印象に残っている個人的名勝負を挙げていこうと思います。
① YONEXCUP札幌国際予選リーグ 内海榊原ペアvs山根髙月ペア
まずは北海道で見られる大会では間違いなく最高峰のYONEXCUP札幌国際から選出。
インドアシーズンの終盤となり年度の総まとめ的な立ち位置の札幌国際だが、2024年大会は欠場者多数の前回と比べて、プロ選手こそ不在だが台北から招待選手の林余ペアやNTT西日本のトップペア、インカレなどで大活躍を見せた大学生たちにインハイ王者、更に北海道勢も例年より強力なメンバーが揃う豪華な大会になっており、まさに1年の総決算な大会になっていた。
そんな豪華メンバーで熱い試合ばかりの大会の中で選んだのは、予選リーグで行われた内海榊原ペアと山根髙月ペアの一戦。いきなり私利私欲まみれの選出でごめんなさいね。
自分の最推し選手の髙月選手と北海道最強の内海榊原ペアの対戦は見逃せないカードだったが、想像以上に盛り上がる試合になった。
この試合で特に目立っていたのは榊原選手。前衛に転向してから年々実力を伸ばしていたが、この試合では覚醒したと思えるくらいに素晴らしいプレーを連発。対戦相手の髙月選手の代名詞とも言えるスーパーフォローやポーチボレーのお株を奪うような驚異的な反応や動きを見せて経験豊富なヨネックスペアを圧倒。
推し選手のプレーを生で見れた事に加え、内海榊原ペアの進化と2024年の活躍を予感させた熱い試合だった。
② 世界選手権代表予選会準決勝 船水上松ペアvs清水安達ペア
2024年の世界選手権の舞台がクレーコートのため全日本級の大会では珍しくクレーコートで行われた世界選手権代表予選会。
普段のオムニやハードコートとは違う環境で何度もプレーを観てきた選手達も戦い方を変えてきたり戸惑う姿も見られたのが印象的な大会だった。
そんな普段とは違う環境だからなのか下剋上も多い大会となったが、その中で光る活躍を見せたのが大学1年生になったばかりの清水安達ペア。
過去のJJCやジュニアの国際大会で組んでいたとはいえ想像以上に噛み合ったプレーと、大学1年生になったばかりの若者の恐れ知らずの勢いで強敵を倒し続けついに準決勝まで進出。
準決勝は日本のエース船水上松ペアとの対戦。
船水上松ペアは今大会では後の先を取るような展開が多く、トーナメントの初戦・2戦目では相手に先制を許しながらも逆転で勝ち進んできた。
準決勝でもそこまでと同じような展開で先にリードを奪ったのは清水安達ペア。清水選手の力強いストロークと安達選手の堅実にポイントを押さえるプレーで船水上松ペア相手でも勢い良く得点を重ねていく。
逆転で勝ってきた船水上松ペアとはいえ相手の勢いに中々反撃ができずゲーム2-4まで追い詰められた。
流石の船水上松ペアと言えども流石に今回は無理か……と思われたがここからが真骨頂。
追い詰められながらも幅広い戦い方ができる船水上松ペアらしく戦い方を変えながら流れを取り戻して行く。
更にこれはイチ観客として何となくの雰囲気を感じただけの想像・妄想に過ぎないが、清水安達ペアも本当にこのまま勝っちゃうのか!?という戸惑いも見えたような気がし、そこを船水上松ペアに突かれたような形になった。
1ゲーム取り返して3-4となった時にはもう会場は、まさかこのまま追い付くのか?という期待感に溢れ、本当に追い付いてファイナルになった時には完全に船水上松ペアの空気に。
ファイナルではその雰囲気のまま船水上松ペアがどんどんリードを広げていき大逆転で決勝進出を決めた。
船水上松ペアがこれまで日本の最強ペアとして培ってきた経験や実力やメンタルの全てが発揮されたような試合であり、そんな船水上松ペアをギリギリまで追い詰めた清水安達ペアのこれからに大きな期待を持たせるような試合だった。
③ 世界選手権代表予選会決勝戦 上岡丸山ペアvs船水上松ペア
先ほどに続いて世界選手権代表予選会から。
決勝戦は先述の激闘を制した船水上松ペアと、予選リーグ2位通過でトーナメントで1試合多く戦っているが圧倒的な力強さで上がってきた上岡丸山ペアとの対戦に。
上岡丸山ペアはプロ転向後初年度に全日本選手権準優勝の結果を残したもののその後はあまり安定した結果を残せず、更に船水上松ペアとは相性が悪く対戦成績は大きく負け越しており、今回もやはり船水上松ペアが優勝するのではという雰囲気があった。
試合の序盤は、船水上松ペアがここまでのスタイルから変えた攻めのプレーで2ゲーム先制。2ゲーム目に至っては0で奪うなど、やはり相性は覆せないのかと感じさせられたが、今回の上岡丸山ペアは一味違った。
3ゲーム目からはラリー戦で上岡選手が上回る場面が増え、更にどんどん丸山選手が船水選手のストロークを捉えるポイントが多くなり流れは一転。上岡丸山ペアが一気に4ゲームを連取し王手を掛けた。
しかしやはり追い詰められた船水上松ペアは怖い。
上岡選手の少しのミスと上松選手のプレーから7ゲーム目を0で返すと、8ゲーム目は前半のお返しの如く船水選手のパッシングと上松選手の一撃で殴り合いを制してファイナルに突入。
またしても劣勢を覆して追い付いた船水上松ペアに会場は大盛り上がり。やはり勝つのは船水上松ペアなのか!と誰もが頭をよぎったが、ファイナル最初のポイントの丸山選手のドシャットと次のポイントで雰囲気はフラットに。点取り合いのシーソーゲームとなりつつあったが、3-3で上松選手が勝負に出るジャンピングサーブ。これは本当に結果論ではあるが、ここが本当に勝負の分かれ目になったような気がする。
ジャンピングサーブは惜しくも不発。セカンドサーブから上岡丸山ペアに攻められて失点。そこからは上岡丸山ペアの怒涛の連続ポイントで一気に決着。ついに上岡丸山ペアが船水上松ペアを倒して頂点に立った。
前に詰める戦法が減りストローク戦が増え、より攻撃的なテニスが力を発揮するクレーでの雁行陣最強対決は2024年で1,2を争うほどの面白さを見せた名勝負だった。
④ 春季北海道大学対抗リーグ戦 札幌学院大学vs北翔大学
北海道内の大会から1つ目のエントリー。
北海道の大学の大会は個人戦だったりとか、団体戦でも全道や新人戦のトーナメント戦しか見たことが無かったので、リーグ戦は人生初観戦。
しかも春季は王座出場もかかっていて見る側も気合いが入る戦いになっていた。
朝から色んな大学の対戦を見て、各大学の新戦力を確認したり、普段あまり見ることができない選手のプレーを観たり、個人戦では見られない珍しくペアリングを楽しんだりと堪能していたが、メインデッシュはリーグ最終戦の頂上決戦。札幌学院大学と北翔大学の優勝決定戦。
北海道の学生は常に札幌学院大学が頂点に立ち続けていたが、ここ数年で北翔大学が戦力の充実と実力を伸ばしており、現在ではどちらが勝ってもおかしくない2強体制になっており、今回はどちらが勝つのか注目の一戦となった。
第1試合開始の時点で17時半近くになりナイターが点灯する中での対決は、暗く寒く疲労も溜まっているだろうとは思えないくらい白熱した好プレーの応酬を見せた。
2面展開で行われた対戦は1,2試合ともに北翔大学がリードを奪う展開。特に木原五十嵐ペアのダブルフォワードは組んだばかりの1,2年生ペアとは思えないくらいの精度と勢いを見せており、その勢いのまま札幌学院大学を撃破。
北翔大学の応援にも一層気合いが入るが、もう1つのダブルスは札幌学院大学の加藤福田ペアが1-4の劣勢からファイナルに追いつく熱戦に。ファイナルでも北翔大学が初めはリードを奪ったが、この試合で初めて勝ち越した札幌学院大学がそのまま押し切ってタイに戻した。
シングルスでは北翔大学の荒川選手が押していたが負傷の影響もあり後藤選手に追い付かれる展開でこちらもファイナルにもつれる展開。最後は後藤選手が突き放して札幌学院大学が2-1で王手をかけた。
そしてシングルスがもつれる間に始まった第4試合も取って取られてのシーソーゲームの末にまたここもファイナルに。この辺りの両校の応援は凄かった。この時点ですでに19時近い時間だったがこの日1日で1番盛り上がっていたと思う。
応援の後押しもあり両ペアとも点の取り合いを見せていたが最後は北翔大学が逆転を許さず勝利。2-2の天秤戦に持ち込んだ。
しかし王者札幌学院大学は大将戦にエースを残していた。先手必勝のオーダーの北翔大学に対して最終戦まで繋いだ札幌学院大学の執念が実を結んだか、最後は札幌学院大学が圧倒し、リーグ戦優勝を手にした。
17時半頃から始まりファイナル3試合含めた大熱戦で19時過ぎまで行われた遅く長く熱い対戦を初めての大学リーグ戦観戦で体験できたのは本当に運が良かったと思う。
2024年の王座やインカレでは惜しくも勝ち進むことはできなかった両大学だが、2025年は残る選手達が悔しさを晴らして上位まで羽ばたいてほしいと思う。
⑤ ハイジャパダブルス準々決勝 植田結城ペアvs内田宮田ペア
ハイジャパは完全抽選により組み合わせが決まるため、他の大会では見られない序盤や、トーナメント中盤で強豪同士の潰し合いが発生することが多く、今年も例に漏れず準々決勝で今年のハイジャパ最高の名勝負が生まれた。
前年は高校3冠を成し遂げ選抜でも優勝し高校の絶対王者として君臨している尽誠学園からの刺客の内田宮田ペアと、打倒王座奪還を狙い前日のシングルスでは2年生ながら圧勝で優勝を果たした高田商業の植田結城ペアの頂上決戦が準々決勝で早くも実現。組み合わせが決まった時からこの対戦のために見に来たまであるくらいワクワクするカード。
注目の対戦は開始直後から宮田選手がダイナミックなプレーで得点を量産し流れを掴み一気に2ゲーム先取。しかし1本のミスから植田結城ペアが少しずつ動きが良くなっていき、ここから超ロングデュースゲームへ。常に内田宮田ペアが先手を取るが植田結城ペアが凌ぎ続ける展開の中わずかなチャンスを活かした植田結城ペアがついにゲーム奪取。その勢いで次のゲームも取ってゲームは2-2のタイに。
ここで追い付かれた尽誠学園が治療タイムを取り仕切り直し。実際に脚を攣ったか何かでのタイムだったが、上手いところでタイムを取った。
再開したところで再び内田宮田ペアが躍動して勝ち越したが、続くゲームで植田結城ペアがデュースの末に取り返してファイナルに突入。
この時点でかなりお腹いっぱいな激闘だが、本当のドラマはここからだった。
ファイナルが始まってから植田結城ペアが怒涛の攻め。植田選手のパッシングや結城選手のボレー、ダブル前衛など攻撃が見事に噛み合い6-1でマッチポイントを握った。
流石にこれは決まったな。植田選手の前日からの勢いは本物だと確信したが、ここからの内田宮田ペアが凄かった。
崖っぷちに追い詰められて腹が決まったのか内田選手の気合い満天のストロークが次々と刺さるように。ラリー戦でも植田選手を上回り、宮田選手がそれに呼応するようにトドメを刺し、みるみる点差を縮めていくと気付けば6-6のデュースに。
6-1からまさかの追い上げで尽誠学園ムードだったが、ここでこの日1番のスーパーラリー。両後衛の気迫溢れるストローク合戦に、前衛が触ってもフォローされて繋ぎ続ける執念のラリーが続く。このポイントを取った方が勝つだろうというくらい全力のラリーを制したのは植田結城ペア。最後に結城選手がポーチボレーに行き、そのフォローが惜しくもアウトに。
そのままマッチポイントも奪い、ハイジャパの歴史に残るだろう大接戦は植田結城ペアが勝利。
大一番を制した勢いのまま準決勝・決勝戦も勝って見事に優勝。植田選手はハイジャパ史上初の2年生での単複2冠を手にした。
植田選手の大会となったハイジャパだったが、ここでの勢いや自信もあったか、インターハイでは団体戦で尽誠学園の連覇を止めて高田商業が王座奪還を果たした。まさにインターハイの前哨戦の名の通りな結果になっただけに、この準々決勝は2024年の高校ソフトテニス界の分岐点にもなった名勝負だったと思う。
⑥ 北海道選手権決勝戦 岩城太田ペアvs内海榊原ペア
北海道内では2年以上負け無しで常に優勝し続けて来た絶対王者内海榊原ペア。すでに全国でも注目される存在になったペアだが、今年の北海道選手権でついにその時がやってきた。
この日は予報は雨だったが大会開始時点では降っておらず、開会式の挨拶ではお偉いさんが天候が心配ですが会場の旭川は大丈夫だと思います!などと言うくらいの天気で、順調に大会は進んで行った。が、そんな盛大なフラグが回収されないはずがなく……。
昼頃から小雨がパラつき始め、降ったり止んだりが続き選手は中々やりにくい環境だったと思うが、試合自体無事に進行していた。
しかし15時半頃の準々決勝途中あたりで大雨。一時試合が中断することに。だから開会式でフラグ立てんなって言ったじゃん!その後多少弱まったものの傘が必要なくらいの雨は降っていたが、コートの水を取り除いて試合を再開することに。その後も降ったり止んだりで本当に会場にいた全員が大変だったと思うが、何とか試合を消化していき決勝戦へ。
勝ち上がったのは雨で苦戦しつつも今回も勝ち上がってきた内海榊原ペアと、大学生ペアの岩城太田ペア。
決勝戦の時には雨は止んでいたが、コートは水に濡れてやりにくそうな環境。それが岩城太田ペアにわずかに味方した印象。
第1ゲームからデュース合戦となったが、岩城選手のストロークがかなり良く、深いところに刺さる場面が多く、内海選手は何度も差し込まれミスが増える展開。他にも内海榊原ペアの方が濡れた芝が気になってかわずかに動きが鈍ったり、ストロークが伸びすぎて収まらないというところもあるように感じ、接戦だが最後には岩城太田ペアが決めるゲームが続く(それでもしっかり毎ゲームデュースまで持ち込む内海榊原ペアが凄すぎるが……)。
岩城太田ペアは終始岩城選手のストロークがキレキレで押し続け、絶妙なところで動き守るところはきっちり守る前衛の太田選手のコンビネーションが効果的に働き、内海榊原ペアに4-0で勝利。
天候の影響もあったとはいえ、北海道内であの内海榊原ペアが1ゲームも取れずに敗退するというのはにわかに信じがたいことであり、事件と言ってもいいくらいの出来事ではあるが、それを起こした岩城太田ペアは本当に素晴らしく優勝に相応しいプレーだった。
岩城太田ペアはその後の秋季選手権では内海榊原ペアにリベンジされたとはいえ準優勝で、太田選手は別の選手とのペアでインドア選手権を制しており、この結果が決してまぐれでないと証明。2025年の活躍がとても楽しみなペアが誕生した、北海道内の試合では最高級の名勝負だった。
⑦ 全日本選手権4回戦 安藤安藤ペアvs髙月昼間ペア
今年の全日本選手権は有明開催2年目で、前年のような雨の影響で大幅に進行に影響が出て夜遅くまで試合をするということもなく、選手も少しハードコートに慣れたような印象があり、その分ハイレベルな試合が多かった印象。
そんな全日本選手権の2日目から1つ選出。なぜなら髙月選手の試合だから。というのは半分冗談だが、内容もとても面白い試合だった。
元々は出場予定が無かった髙月選手だったが、選手変更により高校生の昼間選手とのペアで出場することに。昼間選手はハイジャパのシングルスで2年連続で2日目に駒を進めた実力者で、その活躍を目の当たりにしていただけに楽しみなペアではあったが、対戦相手の安藤兄弟は今シーズンから揃って東邦ガス所属となり、全日本社会人ベスト4などの活躍をしているだけに正直勝つどころか何ゲーム取れるかなというような期待値低めで観戦をしていた。
実際に試合が始まるとやはり安藤兄弟のペースに。
ハードコートということもあり雁行陣だけでなくダブル前衛も多用してくる安藤兄弟を相手に高校生の昼間選手が真っ向から挑むのは厳しいところもあり、3-0で安藤兄弟がリードする展開。
このまま安藤兄弟が押し切るかなと思われたところで髙月昼間ペアが作戦変更。序盤は雁行陣で戦っていたが、途中からはダブルフォワードで挑むことに。時にはネット際まで詰めて攻める昼間選手と、持ち前の守備力を活かしてカバーする髙月選手のコンビネーションが噛み合い始め、じわじわと追い上げていく。
ダブルフォワードに手応えを感じて余裕が出てきたのか、昼間選手も伸び伸びとプレーができるようになり、ベースラインでのストロークでもキレの良いカットストロークを使い始め安藤兄弟を翻弄。髙月選手もこれぞ髙月選手というような鉄壁フォローを見せ、ついに4ゲーム連取で逆転。
もしかしてこの勢いで勝てるのでは……?と思ったが、そうはさせないのが百戦錬磨の安藤兄弟。髙月昼間ペアも果敢に攻めるが粘られて先にミスを重ねてファイナルに突入。
ファイナルでも髙月昼間ペアが攻めて安藤兄弟が粘ってカウンターの展開が続いたが、最後まで守りきった安藤兄弟が上回りゲームセット。安藤兄弟がベスト16に勝ち進んだ。
正直髙月昼間ペアは厳しいと思っていたところからこの大接戦で凄く興奮したし、髙月選手の守備力がダブルフォワードとの相性がこんなに良かったんだという再発見をできたのは良かった。
そして昼間選手がシングルスや後衛としてだけではなく、ダブルフォワードでも見事に適応し、ネットプレーでも安藤兄弟相手に通用するところを見せたのはかなりの驚きと収穫だった。ここまで万能なプレーヤーだったとは……。ハイジャパで2年連続の活躍から注目はしていたが、これから大学生になってどこまで伸びるのかが凄く楽しみになった。どこに進むんだろう?1年目から活躍してほしいな。
⑧ 全日本選手権準決勝 船水上松ペアvs上岡丸山ペア
有明コロシアムで行われる全日本選手権の準決勝以降の対戦。
その男女準決勝4試合の中で最も会場を沸かせたのはこの船水上松ペアと上岡丸山ペアによる日本最強ペア対決だった。
現地観戦では前述の代表予選会以来2度目だが、この2ペアは全日本社会人でも対戦しており、今季3度目の対戦。しかもクレーの代表予選会では上岡丸山ペアの勝利、オムニの全日本社会人では船水上松ペアの勝利で、最後に屋内ハードの天皇杯で対戦し、全て別々のサーフェスで戦ってどちらが勝ち越すかという点でもかなり注目度の高い試合となっていた。
試合は序盤から高度な殴り合い。どちらも積極的にポイントを奪いに行く攻めのテニスでポイントを奪い合い、各ゲーム競った展開でシーソーゲームを繰り広げる。
共に雁行陣を主体にしつつも要所でダブルフォワードで圧をかけたり、サーブもカットサーブからの展開が普段より多かったりで、前に見たクレーでの対戦とはやはり違った戦法で挑んでいて、更にハードコートならではの一撃では中々終わらない緊張感溢れるラリーの連発で、同じカードとはいえその時々で全く違う味が楽しめるのは凄く楽しい。会場的に難しそうだけど、毎年クレー・オムニ・ハードで3回トップレベルの試合を見てみたい……。
第1ゲームを船水上松ペアが奪ってからは交互にゲームを取り合っていたが、3-3からの上岡丸山ペアのサービスゲームでここまで不調だった丸山選手のカットサーブでエースを奪ったり、上岡選手のスーパーパッシングショットもあり、上岡丸山ペアがついに勝ち越し。
このまま上岡丸山ペアが行けるか!と期待が漏れ出たが、追い詰められてからの船水上松ペアは流石の一言。更にギアを上げたかのような攻撃を見せスーパープレー連発。激しいラリーの応酬の末にゲームを奪い返してファイナルに持ち込んだ。
ファイナルでも絶対に負けられない船水上松ペアと絶対に勝ちたい上岡丸山ペアの気迫のこもった攻防。ポイント5-3から船水選手の連続失点で追い付かれて上岡丸山ペアのムードになりかけたが、それでも落ち着いた粘りと、最後に上松選手が決めきって船水上松ペアが激闘を制した。
これで船水上松ペアは天皇杯5大会連続の決勝戦進出で、その勝負強さを見せ付けた。
日本代表予選会決勝戦での対戦や、前年の天皇杯決勝戦の広岡長江ペアと船水上松ペアの対戦も過去自分が見た中で最高に面白い試合だったが、準決勝のこの試合もそれらに並び越える程の興奮と面白さの試合で、もうプレミアムチケットの2万円の元はすでに取れたと思ったし、むしろこの後に男女決勝戦の2試合も見ちゃっていいんですか!?という気分になった。もうこれが事実上の決勝戦で、船水上松ペアと内本内田ペアの試合でこれを越える面白さなんて出せるのか?と思っちゃうほどに。
しかし有明コロシアムの試合はこれからが本番だったということは、この時はまだ知らなかった。
⑨ 全日本選手権決勝戦 船水上松ペアvs内本内田ペア
こーれ観戦人生で間違いなくベストバウトですわ
今までも色んな大会観てその都度その最高のプレーに興奮してこれが人生イチ面白い試合だ!って何度も思ってきた。
ハイジャパや札幌国際のアレやコレ、JAPANGPの大熱戦や、インターハイの熱さ、前年の天皇杯のドラマチックな名勝負……今思い出しても当時の興奮が蘇るような素晴らしい試合だった……。それらを下にするわけでは絶対にない。ただ今回の天皇杯決勝戦はそんな素晴らしい試合達を過去にするくらい、最高を更新する戦いだった……。
決勝戦は船水上松ペアと内本内田ペアによる、常に日本のトップで争ってきた黄金カード。船水上松ペアは5大会連続の決勝戦進出に対して、内本内田ペアは4度目の正直で初めての天皇杯決勝戦進出を掴み、ついに日本最高峰の舞台での対戦が実現した。
もうそれだけで胸熱なのだが、試合は想像を大きく越える程激アツなプレーの応酬。
序盤から内本内田ペアの抜群の攻撃が突き刺さり、船水上松ペアも負けじと粘って繋げてカウンターでポイントを重ねる激しい攻防。今度は船水上松ペアが攻めに回れば内本選手の驚異的なコートカバー力と内田選手のスーパーフォローで守り切る極上のラリーが繰り広げられる。
全てのラリー全てのポイントが世界レベルのスーパープレーだが、特に印象的で最も会場を沸かせたのは内本選手のディフェンス。今までの内本選手のイメージといえば、破壊力抜群のストロークや、前に詰めながらのダイレクトショットなど攻めの印象が強いが、今回はハードコートということもあるにせよ、本当にこれ追い付くのか!?これも取るのか!?という驚きに満ちたカバーリングを見せていた。ソフトテニスで守りのプレーでここまで何度も盛り上がったのは初めて見た。
そして内本選手に呼応して内田選手も攻守ともに見事なプレーで船水上松ペアの壁となりリードを奪っていき、4-2で先に内本内田ペアが日本一に手をかける。
この時の会場は完全に内本内田ペアに魅せられて内本内田ペアのイケイケムード。このまま初の天皇杯を手にするのだろうという雰囲気があったが、もうこの記事の中だけで何回書くんだってくらい耳タコではあるが、本当に追い詰められてからの船水上松ペアは強すぎる。
内本内田ペアの押せ押せの勢いを上手く防ぎつつ、この辺りから序盤から使っていたが返されていた船水選手の内田選手へのストレートパッシングが何度も決まり始める。これが本当に凄い。普通あんなにボレーされれば違うところに打ちたくなるし、内田選手もそう思ってポーチに出る場面も多くなっていたが、この天皇杯決勝戦のあと1ゲーム取られたら負けという1番プレッシャーのかかる場面で、あえて攻めのパッシングを選んで決めて流れを強引に取り戻すのは凄すぎる。この時の船水選手は人間離れというかバケモンというかもう神の領域に達していた。たぶん過去の船水選手の中でも最高級のゾーンに入っていたと思う。
船水選手のスーパーショット連発に上松選手も流石のプレーで2ゲーム差を取り戻してこの試合もファイナルに持ち込んだ。
前のゲームからの勢いを渡さず船水上松ペアが4連続ポイントで突き放しリードを保って6-3で先にチャンピオンシップポイントを握った。そこから内本内田ペアも決死のプレーで1点差にまで迫るも、最後は上松選手のカウンターボレーを拾えずゲームセット。
船水上松ペアが2年ぶり4回目の天皇杯制覇(船水選手は5回目)。勝った瞬間に倒れ込む船水選手と手を取り起こした上松選手で抱き合って喜ぶ姿は今までソフトテニスを観てきて1,2を争うほどの名シーン。
そして敗れて立ち上がれない程涙を流した内本内田ペアの悔しさもひしひしと伝わってきて、勝者の涙にも敗者の涙にも感動してこちらももらい泣くほどの、凄く熱い試合だった。
そして12月16日に船水選手が2025年から活躍の場を韓国に移すことを発表。結果的にこれが現時点で日本国内で戦う船水選手の最後の試合となった。
後から思うと、船水選手のこれまでに無いほどの気迫と、勝ったあとの喜びと涙はこれが決まっていたからなのかと腑に落ちた。
恐らく対戦相手の内本内田ペアや上岡丸山ペアも知っていただろうし、最後に船水上松ペアに勝つチャンスになるかもしれないと思っていたからあれだけのパフォーマンスを引き出せたのかもしれないとも思った。
2025年からは王者船水颯人がいなくなるが、それでもこの盛り上がりを絶やさずに更に熱い戦いを繰り広げ、今度は国際大会で船水選手と日本選手の頂上決戦を見せてほしいし、2025年の全日本選手権が更に熱狂を生み出す大会になってほしいと願う。
⑩ STリーグ NTT西日本vsヨネックス
2024年最後のソフトテニス観戦となったSTリーグ。
今までは家で配信で楽しんでいたが、もしかしたら自分の推し選手がこれが最後のSTリーグになるかもしれないとの噂を聞いてこれは行かなければと思い立って現地へと向かった。
休みの日程上、金曜日は行くことができず、土曜日の朝イチに北海道を出て午後から観戦をするという予定だったが、思ったより時間を食ってしまい会場に着いたのは15時頃。この日は女子3試合男子2試合の日程のため、男子の2試合目が見れればと思っていたが、ギリギリで何とか間に合って本当に良かった。
そしてこの2日目の最注目カードで、個人的にこのために愛知まで来たと言っても過言ではない、NTT西日本とヨネックスの対戦を見ることができた。
この対戦の時点で4戦終わって勝ちっぱなしはNTT西日本とヨネックスの2チームのみで、事実上これが優勝決定戦のような立ち位置の対戦となっていた。
NTT西日本は例年のように圧倒的な戦力を誇り、対戦ごとに出場選手やペアリングを変えるスタイルだが、ヨネックス戦は本倉上松ペア・シングルスに内田選手・長江広岡ペアというわりとガチのメンツで挑み、この試合の重要度が伺えた。
対するヨネックスは個人戦でのペアからは変更して、米澤榊原ペアと荒木髙月ペアというダブルフォワード2本と、好調の山根選手のシングルスで勝利を積み重ねてきた。
第1試合はNTT西日本本倉上松ペアとヨネックス米澤榊原ペアの対戦。
米澤榊原ペアはここまで全勝のチームの勢いを感じさせる気合い満天のプレーで全ゲームデュースの接戦に持ち込んだものの、実力差を埋めるには及ばず、0-4で敗戦。NTT西日本が先に王手をかけた。
第2試合のシングルスはNTT西日本内田選手とヨネックス山根選手の小学生時代の元ペア幼なじみ対決に。これ狙ってオーダー組んでたなら堀監督は本当エンターテイナーだなぁ。
これまでの実績や実力からすると、日本代表に選ばれて国際大会の経験もあり、全日本シングルス上位入賞常連の内田選手が圧倒的優勢のはずだが、この日は違っていた。
第1ゲームから多彩な技の応酬に前後左右に動かし揺さぶりを掛け合うハイレベルで互角なラリー。そして山根選手の、本職前衛の内田選手のお株を奪うようなスマッシュもよく決まり、山根選手が先制。
第2ゲーム以降も1ポイントがとても長く手に汗握るラリーが続き、ゲームを取り合うシーソーゲームに。
ただその中でも少しずつ山根選手が粘り勝つシーンや、内田選手の裏をかくショットが増え始めていき、ポイントは互角だが山根選手が主導権を握ることが増えていった。
逆に内田選手は優勢になったと思ったら、真偽は不明だが、内田選手的に納得のいかない判定のポイントがいくつかあり、そこで少し流れが途切れてしまったような部分もありもどかしさもあったか。
終始熱のこもったラリーが続き緊張感溢れる展開が続いたが、ロングデュースを奪って先に王手をかけた山根選手が最後まで粘り切って4-2で勝利。第3試合に見事に繋いだ。
ヨネックスは前年に続いて2年連続でシングルスでNTT西日本に土を付けた。実績で上回る相手でも、STリーグの舞台に立てば何が起こるかわからない、STリーグの怖さと面白さが詰まった試合だった。
そして1勝1敗で迎えた第3試合。
NTT西日本は前年の天皇杯や2024年の全日本社会人で優勝した長江広岡ペアを出し、ヨネックスは急造ながらもここまで全勝でチームを支えてきた荒木髙月ペアによるダブルフォワード対決に。
髙月選手は数年前にもNTT西日本との優勝をかけた三番勝負で回ってきて長江広岡ペアと対戦し、あと僅かのところで敗北したということもあり、数年越しのリベンジの舞台が整ったというところでもかなり盛り上がる展開になった。
第1ゲームはシングルスで敗れた悪い流れを払拭するような猛攻で長江広岡ペアがストレートで獲得したが、第2ゲームは髙月選手の鉄壁ボレーと荒木選手のダイナミックなプレーが噛み合って4-0返しという展開。
そしてこの対戦の山場となった第3ゲーム。
攻撃的ダブルフォワード同士のハイテンポな攻防が繰り広げられ、両者ともに1ポイント取る事に大きなガッツポーズを挙げるほどの気合いの入った点の奪い合いとなった。どちらが取り切るか予想もできない白熱のゲームだったが、長江広岡ペアが押し切って長いゲームを取得。
そしてここから更に勢い付いた長江広岡ペアが追いすがる荒木髙月ペアを圧倒して突き放し、4-1で勝利。
NTT西日本が今回も最大のライバルであるヨネックスに勝って優勝を手繰り寄せた。
翌日の最終日はNTT西日本が1試合も落とすことなく全勝で優勝を決めて前人未到の14連覇を達成。
ヨネックスも最終日は負け無しでNTT西日本戦の1敗のみの2位となり、結果的にやはりこの対戦が優勝決定戦となった。
しかしシングルスでNTT西日本を崩し、第3試合も第3ゲームを取れていればもしかしたら結果が逆だったかもしれないと思わせるくらいの熱闘を見せたヨネックスは本当に凄かったし、そんな挑戦者達を今年も跳ね除けて連覇を継続したNTT西日本はやはりとんでもない。
この素晴らしい対戦を見ることができて、別のイベントを蹴ってまでSTリーグを現地まで見に行くことを決めて心から良かったと思えた。
またSTリーグの名物でマニア的には1番熱い試合とも呼ばれる最終日最終戦のプレーオフ行きを掛けた対戦も、男女共にものすごい熱量で、これも生で体験できてよかった。
2025年はアジア競技大会の準備だか影響により愛知県から場所を移し、栃木県宇都宮市で行われるようだが、場所が変わっても同じように社会人たちの最高に熱い戦いをしてほしいなと願うばかりである。
以上で、2024年の現地で見た個人的名勝負の振り返りは終了。
年末からどの試合にしようかと思い出を掘り返し、年内に決めきれず書ききれず、もう年明けて三が日どころか世間一般の仕事始めの日まで遅れてしまったが、何とか諦めずに書ききれてよかった。
もっとこんなグダグダと長ったらしく何が言いたいか分かんないような文章じゃなくて、端的に分かりやすく書けるようになればもう少し楽だったんだろうけどね……。自分の文章力の無さと時間配分とスロースターターぶりを悔やむばかり……。
反省はまあ置いといて、2025年の抱負というか予定?目標?ですが、正直去年はソフトテニスは3大会遠征に留まったが、他のライブイベントなどで毎月のように遠征があってかなり予算的に厳しいところもあり……今年は全日本選手権ともう1つくらい何か道外に見に行けたらという感じです。
幸い今年は全日本社会人が北海道で開催されるようなので、1つ全日本級の大会を飛行機代かけずに行けるのはありがたい限り。他に行きやすい場所で他のイベントと被らない日程の大会があれば……。
あとは毎回大きな大会の時に書いていた予想noteですが、書く大会を減らすか、内容をもう少し軽くしようかなと少し思っています。
予想をするのは楽しいですし、それをやめるつもりは今のところありませんが、noteに色々書こうとなった時に以前に比べて中々書き出せずにギリギリになってしまって、気力・体力的にしんどくなることが増えてしまっています。
始めると決めたのも自分だし、書こうと思ったのも自分だし、たぶんそんなに自分の予想noteを見たいと思ってる人もいないだろうし、自己満足の世界だと思うので、ちょっと様子を見て自分を甘やかしたいなと思ってます。
まぁ実際大会近付いたらやる気が出て結局いつも通りになるかもしれませんが。
とりあえず2025年はその辺も少し考えて、マイペースマイウェイを探りながら楽しもうと思います。
もし万が一、お前の予想note毎回楽しみにしてたんやで……という方がいらっしゃったらよろしければコメントでもください。励みになります。
ということで、あとがきもグダグダになりましたが、これで終わりになります。
今年も道内外でたくさんの熱い試合を楽しめることを心から願っています。