【特別寄稿のご案内(7/25-)】柳澤 協二 国際地政学研究所理事長/元防衛省防衛研究所所長・内閣官房副長官補
■自分の論理で、考え抜く
ミスター防衛庁と呼ばれた故西広整輝事務次官は、冷戦が終わったとき、「なぜ君たちはロシアや中国との同盟ではなく、日米同盟を当然と考えるのか」と言っておられた。私は、ずっとその答えを出さなければならないと思ってきた。それは、「あらゆる前提を疑い、自分なりの論理で考えてみろ」という教えだったと思っている。
(岩波書店『検証 官邸のイラク戦争』P.183-184)
[画像]ソマリア海賊対処部隊で任務に就く海上自衛隊・護衛艦むらさめ(スタッフ撮影)。ソマリア海賊対処部隊の派遣を可能とした「海賊対処法」成立に、柳澤氏(当時、内閣官房副長官補)は携わっていた。
[文責]道しるべ 代表理事 小山 森生
私は幸い、人生の早い時期に人生の師と思う方に出会うご縁に恵まれました。公私ともに、「第二の父親」と言っても過言ではない方に巡り会う機会に恵まれました。道しるべのnoteで新たなシリーズ記事が始まるに当たり、人生の一つの指針をいただいた方より書き下ろし記事を今週よりご寄稿いただける運びとなりました。
柳澤協二さんは、戦後日本の安全保障政策実現に人生を捧げてこられた、日本の防衛官僚のお一人です。その人生はまさに、昭和から平成へと至る激動の戦後史とともにありました。
退官後は自らのキャリアとともに日本の戦後安全保障のあり方を見つめ直し、日本の実情と自衛隊の現場を見据えた安全保障政策を提言する活動を展開されています。
[経歴]
1970年
防衛庁入庁
防衛審議官→運用局長→人事教育局長
→防衛庁長官官房長
2002年
防衛研究所所長
2004年
内閣官房副長官補
(安全保障・危機管理担当)
第二次小泉、第三次小泉内閣
(自衛隊イラク派遣を統括)
第一次安倍、福田、麻生内閣
現在-
■特定非営利活動法人
「国際地政学研究所」理事長
■「自衛隊を活かす:
21世紀の憲法と防衛を考える会」代表
[写真]かもがわ出版ご提供
ただの学生、サラリーマンだった自分は、理事長の柳澤さん、そして国際地政学研究所の方々と出会うことで人生が深みを増していきました。
卒業論文の問いの答えを探るために足を踏み入れた場所で、柳澤さんをはじめとする国家の課題と真剣に向き合う方々の薫陶に授かり、平和を育むヒント以上に人としての生き方を教わりました。日本の将来を自分の哲学で見つめ、真剣に現実と向き合っている方々と会っていたから、政治不信が渦巻く世の中にあっても希望がありました。
道しるべを2019年に立ち上げトークイベント”Tuntable”第1回を開催して、1周年を迎えました。
これまでの貴重な出会いを通じて、新たにこのページで大切な方々の軌跡を発信する新たなステージに到達することができました。私たちは、あらゆる平和への「道しるべ」となっている方々への敬意を忘れず、その軌跡を届ける一助を担っていく所存です。メンバーで集めた平和への知見を社会に還元していく過程が、激動の時代を駆け抜ける平和への「道しるべ」のありかとなればこれに勝る喜びはありません。
柳澤さんからは、新型コロナウィルス流行下での気づきについて論考をお寄せいただきました。一人の生活する個人として日本社会を見つめられた考察から、不透明さを増す現在のリーダーシップ不在の国際情勢の分析まで、まさに混迷の時代の一つの「道しるべ」となる論考をお寄せいただきました。透徹した、自らの論理で考え抜かれたコロナ禍の社会像をぜひご一読ください。
今週末からの連載記事は、柳澤理事長のお人柄、そして理事長が向き合ってこられた安全保障の世界の解説とともにオムニバス形式でお届けいたします。
この連載がコロナ禍で混迷を深めるように思える日本・世界で平和を育み、今日を生きる道しるべとなることを心から願っています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?