道しるべ設立1周年を迎えて-新たな活動へ
道しるべという名前の任意団体を立ち上げ第1回Turntableを開催してから、先日7月20日で1周年を迎えました。
よちよち歩きの団体でしたがゲスト、お客様、そしてスタッフとの出会いに恵まれた1年でした。平和を育むヒントを、そうした出会いから学んだ豊かな時間でした。
Turntableの1年
道しるべは現在、社会人・学生のプロボノによって運営される団体です。団体の最初の取り組みがTurntableというトークイベントの開催でした。
Turntableは平和な世界へ進路を切り替える”転車台”となる願いを込めて開催している、社会課題解決に向けて活動されている方をゲストにお呼びしたトークイベントです。参加した方には会員資格が発生し会員限定のイベントに参加可能など、平和に携わる方と関心のある方をつなぐ”サロン”を目指し運営しています。
計4回実施したTurntableはそれぞれ全く違うテーマのゲストをお招きして開催いたしました。テーマもイベント形式も様々でした。
■日本・海外での教育
〈ゲスト〉
株式会社NIHONGO
代表取締役社長 永野将司さん
トレボルNIHONGO教室校長 西涼光さん
HOPE SQUARE
共同代表 森林尚紀さん
[画像]Turntable第1回
「Bar Turntable トレボルNIHONGO教室と考える、令和の日本語教育」(19.07.20)
[画像]Turntable第3回
「横浜とアフリカの片隅を照らす、コミュニティを育む『学校』」(19.11.30)
■平和を志す世界の若者の、ショートフィルム映像祭
(国際平和映像祭UFPFF)
〈ゲスト〉
横浜コミュニティデザイン・ラボ代表理事
/一般社団法人国際平和映像祭理事 杉浦裕樹さん
UFPFF2017年ファイナリスト 七田千紗さん
■手話と筆談で”静かなにぎわい”を楽しむ飲み会
〈ゲスト〉
一般社団法人異言語Lab. 代表理事 菊永ふみさん
[映像]Turntable(*Sidetrack event)
「異言語酒場―筆談が生む「静かなにぎわい」
*Turntableの参加者、関係者向けのセミクローズドイベント
それぞれ異なる学びのある会でしたが、どれも共通していたのは自分がミッションと信じることにひたむきに向き合う姿勢の大切さでした。
道しるべ2年目の活動
現在、道しるべはTurntableを「新たな日常」にフィットするようアップグレードを進めるとともに、二つの活動に着手することにいたしました。
Turntable(転車台)から走り始めた列車が、不幸な対立や袋小路にはまらずあるべき終着点へたどり着けるよう、伴走していくイメージです。
■Turnout
[画像]スコットランドのマレイグ駅のポイント
Turnoutは、線路上の針路を切り替える「ポイント・転轍機」のことです。Turntable出演ゲストを中心に、その活動やミッションにまつわるコンテンツをnoteをはじめとする媒体で発信し、活動を後援していくプロジェクトです。Turntableから伸びる進路が見果てぬ夢の終着点につながっていくよう、ポイントを切り替える役目を果たす願いを込めました。今後の配信をお楽しみに‼
■Another Track
フィリッパ・フットという哲学者が1967年に提起した、”トロッコ問題”という有名な思考実験があります。
ブレーキが故障し暴走するトロッコの線路の先には、まだ暴走に気づかない5人の作業員がいます。たとえ途中でポイントを切り替え別の線路に誘導しても、別の作業員が1人います。ポイントを切り替える以外作業員を救う手段がない中、ポイントの前に立ち尽くすあなたは究極の選択を迫られます。
(a)1人を犠牲にして5人を救うのか
(b)何も手を下さず5人が轢かれるのに涙を呑むのか
現実世界でもこうした問いが待ち受けています。この問題は、質問された人の倫理観を問うものです。
(a)功利主義
→5人を助けるために1人の犠牲はやむを得ない
(b)義務論
→ある目的を達成するために
1人を犠牲にすることは許されない
トロッコ問題では、事故現場に立ち会っている人にポイントを切り替える以外の問題解決にかかわる手段はありません。しかしこの現実世界では、私たちは6人全員を救い出すために様々な問題を予防し、解決する多様な手段を実行することができます。ここに、社会課題にあふれる世界に希望を見出すことができると道しるべは考えます。
暴走するトロッコを引き込むことができる、作業員がいない線路を書き足してしまおう―、そんな精神で現実を平和の方向へ導くプロジェクトを私たちは”Another Track(もう1本の線路)”と名付けました。
[画像]Another Track コンセプトのイラスト。
鉄道と線路は、紛争と人間の切っても切れない関係を象徴しています。人生のレールには、人間関係のもつれや社会の矛盾が引き起こす対立が”業”のように付きまといます。
[画像]雪の降り積もる線路とポイント(盛岡駅)。冷たく感じられる現実にも、人の温もりでこれまでにない進路を切り開けると私たちは考えています。
紛争解決学は、紛争に直面することはやむを得ないとしながらも、それが不幸な暴力を伴う事態になることを防ぐ方法を模索してきた学問です。道しるべはこうした学問の哲学に則り、人の手を加えることで紛争を回避し、平和を育むプロジェクトを構想してまいります。
まだ道しるべには経営資源が乏しくプロジェクトのスケールは限定的となってしまいますが、できることは全てやるという姿勢でプロジェクト規模も拡大できるよう前進し続けます!
平和研究の成果が”インフラ”となる社会を作る
道しるべは、組織の中に平和研究の知識を吸収する段階にいます。二度の世界大戦への反省と核兵器の登場が後押しした平和を探求する学問は、学際的な研究をもとに、いかに平和な状態を持続させるか理論の探求と実践を重ねてきました。道しるべは、3つの事業を通じて平和研究の成果を社会に還元していくことで、平和研究の成果がいわば”インフラ”として根付いた社会を目指してまいります。
これからの歩みをnoteやイベントで見守っていただけると幸いです。2年目の私たちもよろしくお願いいたします!!