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ほんまにただの日記

いつも僕の事を嫌いと言い続けた大好きな先輩と飲んだ。

この浅はかな嬉しさに埋もれた何かを残しておきたくて。

「俺やっぱお前ほんま嫌いやわ。いや、違う、好きやねんで、でも本気で嫌いやねん。」

「それずっと言われてきましたけど結局なんでなんすか。」

「いや、お前みたいなタイプは人イジメるやん。やのにお前はイジメへんやん。」

「いや、なんなら虐められる側でしたよ僕」

「そうなん!?」

「まぁ僕の性格だとか家庭環境だとか要因は腐るほどありましたね。」

「ほんでなんで今のお前でおれんの?」

「そこにしか居場所を作れなかったからです。逃げ道なんてはなから無くてそこでもがくしか無かったんで。」

「じゃあ逃げ道ある奴だとかイジメる奴だとか嫌いなるやん」

「当時は学校か家しか世界が無かったのでどちらにも居場所が無ければ世界を嫌うしか出来ないじゃないすか。」

「そうであれよ。お前みたいな奴は根暗で捻くれとけよ。その経験を経て人間を好きでいれるお前が嫌い。俺みたいな奴も好きと言ってくるお前が心底嫌い。」

「同じなんすよ、僕も先輩も。見てきた物や感じた事はとても似ているんですけど僕は運が良かったっすね。」

「お前ほんまに運が良いよな。さらにそれを逃さへんエネルギーはどこから湧いてんの?」

「ジャンプっすね。ジャンプの主人公の逆境をバカみたいに自分と重ねて憧れた選択肢を取り続けただけっす。世界を知らなさ過ぎたから出来た芸当じゃないすかね。」

「あぁ〜、嫌い。ほんで生まれ持った感性が豊かなのもきしょい。他人を見下して自分の行いで傷つけたり迷惑かけたりしてもどうでもいいと思っとけよ、憎まれても気が付かんまま死んでけよ。お前みたいなもんは。」

「それは後天的ですよ。そこが一番運が良かったと感じる部分です。それこそ人からイジメを受けた経験があって良かったっすよ。ヒエラルキーのテッペンからどん底を何往復もし続けたからバカな僕でも学べたんですよきっと。」

「はぁ〜、きしょ。しかもな、俺自身人生で何かあって絶望した時に最後に頼るのは多分お前っぽいねん、その確率がめちゃくちゃ高いのがまたきしょい。」


こんな会話の中で色んな嬉しさがあった。

色んな欲を満たす事が出来たからってのも間違いなくあると思うよ。

先輩は口先だけじゃなく本当に僕の事を嫌っていた。一緒に働いていた時からそれは感じていたし"嫌い"という言葉に説得力を持たせる行動が伴っていた。そんな彼が誰よりも僕を信頼してくれた事が嬉しかった。

でも何よりね、

ほらね、結局は先輩が一番人のことを信じてるし捻くれて尖って人のこと嫌いぶってるけど温かいじゃないすか。

僕にそう思われる事を理解した上で

自分を曝け出してきてんの。

ロックだなぁ、この人は本当に。

近頃は温かい人が周りに居てくれる。

毎週末は手どころか表情までふやけてしまう。

この風呂、上がりたくねぇなぁ。寒いんだよ。

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