最小少数の最大幸福
面白味に気がついた僕の表情を見てある人が言った。
「いいね、お前またマイノリティになってくね。でも、マイノリティを恐れるな。」
わかってるよ、最高に楽しめばその代償としてマイノリティになってく。わかってるけどマイノリティになってくのって悔しいんよ
趣味嗜好が変わってくからね。
聴けなくなった音楽や面白くなくなった漫画なんて数えきれない。
遊び方や楽しみ方もどんどんそうなってく。
人だってそう。しっかりと良い人をやってる人間を好きになれなかったりね。
でも好きじゃない物が増えるのはまだ全然良いんだよ。
舌が肥えて大人になったから子供の頃好きだったお菓子も買わなくなった。ただそれだけの話だからさ。
それよりもずっと寂しいのが
人が着いて来れないこと。
嫌いな物を合わせて欲しいんじゃなくて
僕が大好きな物を知って欲しいだけなんだよ。
僕は他人が大好きな物に興味を持つ様にしている。
その人と同じ物を見ても聴いても味わっても何も思わなかったのに。
なんでこの人はこれが大好きなんだろう。なんでこんなに楽しそうなんだろう。
僕が知らないだけでこの人は知ってるんだ、こんな物に良さを感じた事なんて無かったけれどこれを大好きな理由ってのは絶対にあるんだ。
その人の見てる景色、目線を知れたら僕もこれが大好きになれるかもしれない。
そんな簡単な心構えだけで一生の奥行きが果てしなく広がるのに。
気付いてくれよ。
僕は少し好奇心に振り回されすぎてるとは思うけれどさ。
興味が有る無い。じゃないんだよ。
興味なんて常備するようにしているだけなんだ
根本に気付いて欲しい。僕だってなんでも興味があるわけじゃないんだよ。知ってるだけなんだよ、興味無い物でも面白くなるって。
で、色んなことに触れすぎてね、何をやる時もマイノリティになってきてしまっている。
誰かとどこかへ出かけてもいつも一人で向かってる気分になっちゃって寂しんよ。
みんなと同じ方向に向かって同じ角度から見てもそれはそれで楽しめるんよ。ちゃんとね。
だけど悔しいんよ。
これってこんな面白味もあるよ、こんな楽しみ方もあるよ、ここから見ると綺麗だよ。って伝えたいのに。
本当、つくづくわがままだな。
俺が一番俺と友達になりてぇ。
あ、底なしの好奇心ってとこだけね。
あ、寂しい。