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【小説ワンシーン集】プリンセス・スクワッド①

 思いついたシーンだけを書いています。完成させるかは未定です

 人知れず世界の秩序を守る秘密組織アストライア、その中で女性のみのエージェントで構成された特殊部隊、通称プリンセス・スクワッドは南米の某国に潜入していた。
 某国は核兵器を所持している。その情報を確かめるためだ。
 情報は事実だった。某国が核兵器を手に入れた背景には、かつてアストライアを裏切った男、レッドラムの姿があった。

 プリンセス・スクワッドは核兵器が配備された某国の秘密基地に潜入し、核兵器を無力化しようとするが、レッドラムはすでに彼女達がやってくるのを察知していた。
 プリンセス・スクワッドはレッドラムが配備した部隊と激しい戦闘を繰り広げる。

「サクラ! ここは私達に任せて先に行きなさい」

 チームの狙撃手を務める弓山ユリアがリーダーの盾石サクラに叫ぶ。

「ユリア! でも!」

 仲間を置いてはいけない。サクラはためらう。
 
「あんたはレッドラムと決着をつけるべきよ!」
「サクラは私達を支えてくれたのだから、今度はこっちの番よ」
 
 偵察兵の早狩アカネと看護兵の長医カレンが背中を押す。

「みんな、ありがとう!」

 ここは仲間を信じるべきと思い、サクラは走った。
 
「レッドラム!」

 扉を開けて目に入ってきた光景にサクラは息を呑んだ。
 それは無数のチューブで医療機器と繋がれている男の姿だった。
 そんな状態で、おそらく口先だけでレッドラムは第三次世界大戦の危機を生み出していたのだ。

「どうしてなの?」

 サクラの問いにはいくつもの意味が含まれていた。なぜアストライアを、いや、教え子である自分を裏切ったのか、なぜこの国に核兵器をもたらしたのか。

「自分の本性に気づいただけさ。正義の味方は性に合わないとな」

 レッドラムが笑う。人の陰湿さ、邪悪さを全て煮詰めたような笑いだ。

「人を不幸にするのは楽しいぞ。アストライアがいくら頑張っても世の中が少しもマシにならないのは当然だ。サクラ、人ってものは、悪いことをするのが好きで好きでたまらないんだ。そうじゃなきゃ、他人の不幸は蜜の味なんて言葉は生まれない」
「狂ってる」
「お前だって、悪党を殺したときに、「やったぜ」とか「ざまあみろ」って嬉しくなるだろう?」
「そんなわけ無い!」

 サクラは腰の拳銃を抜く。

「部下達に投降するよう命じなさい」
「嫌だね」

 サクラは引き金を引いた。弾丸がレッドラムの胸を穿つ。

「あーあ、やっちまったな。これで俺の勝ちだ」

 計画を潰され、自身の死を目の前にしながらレッドラムはなぜか勝利感によいしれていた。

「何を言っているの」
「俺が死ぬと同時にこの基地の核兵器が起爆するようにしておいたんだ」
「それの……どこが勝利なの。お前が死ぬのは変わりない」
「いいや勝利だよ! お前達は全滅だし、この国は長年にわたって放射線という負債を背負う! 俺は自分の命を犠牲にしたって構わない! それで誰かが不幸になるのなら俺は十分幸せなんだよ」

 これほどまでにおぞましい邪悪が人の心から生じた。その事実にサクラは呆然となり、持っていた拳銃を手放してしまう。
 サクラ達が核の光に包まれたのはその直後だった。

 イセリオン王国で奇跡が起きた。
 国王と王妃が祈りを捧げる国家行事の最中、女神が降臨して4人の赤子を託したのだ。

「この子達はいずれくる厄災を救う救世主となるでしょう。その日まで大切に育てなさい」

 国王は女神の言葉を聞き入れ、4人の赤子を我が子として育てることにした。こうしてプリンセス・スクワッドは異世界の王女として転生を果たす。

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