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【小説ワンシーン集】ほうき星の魔女と妖魔の王子①

 小説のワンシーンだけ思いついたものを執筆しました。作品として完成させるかは未定です

「鳩美、あなたは強い。訓練用どころか正規の魔法使い用宇宙戦闘服ですら、あなたの実力に性能が追いついていない。新型が必要よ」
「これがその新型ですか? みたところ状況に応じて装備を替える即時感想システムを採用していますね」
「ジャケット・システムと名付けたわ。ひとまず高機動型のハイマニューバ・ジャケットと高火力型のライトニング・ジャケットを作ったわ」

 ハイマニューバは4基の大型魔力スラスターを背中と腰の両サイドに装備する後世で、ライトニングは大型魔法銃とそれに連結された魔法増幅器で構成されていた。
 
「今あるのはこの二つだけだけれど、ほかにもいくつかプランがあるから引き続き開発を進めるわ」
「よろしくお願いします。人型妖魔は今まで倒してきた戦闘機タイプや戦艦タイプよりもずっと強い。でも夜子さんの装備があれば私でも勝てるかもしれません」
「鳩美は謙虚すぎるわよ。ほんのちょっぴり威張ったほうが頼もしく見えたりするものよ」
 
 夜子は苦笑いしながら言った。
 
「あはは・・・・・・謙虚でいないと落ち着かない性分でして」

 鳩美もつられて苦笑いする。
 
「鳩美」

 夜子は鳩美をじっと見て言った。
 
「船団からはぐれた白百合号を妖魔たちから守っているのは間違いなくあなたよ。あなたはみんなを守るためにいつも頑張ってる。だから私も頑張るわ。今はまだ習作程度のしか渡せないけど、いつか必ずジャケットシステムの完成形を作り上げて見せる」
「夜子さん…………」
「鳩美は全部を背負わなくていいの。いえ、背負ってはいけないわ。そうしていると、心がわずかでも弱った時に挫折してしまう。だからあなたが背負うべきものの半分を私が背負う」

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