スポーツ観戦の醍醐味
今週末、東京に行く。一番の目的はサッカー観戦だ。
東京から離れて暮らしているけれども、生まれ故郷のクラブチームを応援している。
今年は優勝戦線に絡んでいるし、是が非でも勝ち点3をとって、最後には栄冠のシャーレを高々と掲げてもらいたい。
とは言っても、熱狂的なサポーターではない。テレビでは味わえないスタジアムの臨場感、そして青空の下で飲むビールが最高なのだ。
今でこそ4万人収容のスタジアムが満員になるほどの人気チームになったが、応援を始めたころは1000人規模の小さなもので、後ろの席ではカップルがイチャイチャしているし、隣の席では顔を赤くしたオヤジが大声でヤジを飛ばしていた。
僕は友人とビールを片手に前の席に足を放りだして、オヤジのヤジ(シャレじゃないよ!)に笑っていた。
今ならばそんな足を放り出してサッカー観戦なんてはばかられるだろうし、オヤジのヤジも、選手や相手サポーターの耳にでも入れば炎上しかねないものだったと思う。
その時のスタジアムに響いたスタジアムDJの声に興奮したのを覚えている。スタジアムDJをやってみたい!と、アマチュアリーグに所属するサッカーチームに打診し、お手伝いをさせてもらったこともある。まぁその話はいずれまた機会があれば…。
スポーツ観戦が好きだ。
大観衆のスタジアムもいいが、この時体験した、ほのぼのとした感じのスポーツ観戦に心惹かれている。もちろん選手のみなさんは本気でやっているので、こんなことを言うのは失礼だとも思うが、試合を見ながらふと見上げた空がきれいだったり、照明に照らされたグランドの緑がまぶしく見えたり、一杯のビールでトローンとしたりするのが心地よいのだ。
ひいきのチームを応援するのも楽しいが、スタジアムでの観戦の醍醐味は、その雰囲気をぼんやりと楽しむことである。
今週の写真:去年、大学野球を見に行った時の昼ビール。
新国立競技場もまだ建設中
作家、村上春樹が小説を書こうと思い立ったのは、神宮球場の外野席でひとりビールを飲んでいて、スワローズの先頭バッターのヒルトンがレフト線にヒットを放った時だった、と書いてあった。啓示のようなものがその時舞い降りてきたのだという。
残念ながら僕にはその啓示のようなものは舞い降りては来ていないが、スタジアムに行ってぼんやりしていると、ふとした瞬間にそんな景色が見えるかもしれないというのは、何となくわかる気がする。
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《リレーマガジン》Writers Lab “Code W”
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