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今年の私の読書活動についての話

12月ということで、noteでもポッドキャストでも今年一年をいろいろと振り返ってみたいと思っています。
前回は私が今年よく聞いていた『音楽』についておしゃべりしていましたが、今回は、今年一年の私の『読書活動』についておしゃべりしています。
それではお聞きください。今週のポッドキャスト📻

本屋さんや図書館に出かけると二つのアンテナが作動します。

ひとつは、純粋に読みたいと思う本をさがす。
新刊本、話題の本、平積みになっている本、雑誌コーナー、マンガコーナーなどグルグル回って、アンテナに引っかかったものがあればとりあえず手に取ってみるというもの。

そしてもう一つは、私が朗読の活動をしているので、声に出して読んでみたい本がないかどうか?をさがす。
黙読と違い、音読、朗読は読むのにも時間がかかるし、声を出す体力と根気がいる。そして一つの作品を最後まで読む集中力、継続力と、さまざまな力も要求される。となると、声に出して読むのが簡単な、声に出して読んでみて楽しいと思えるようなものをさがす。
足を向けるのは、児童書や絵本のコーナー。朗読会などでは著作権の問題もあったりするのでいわゆる文豪の作品なんかも手に取ってみる。

今年出会った一冊の本で、私の中で衝撃的たっだのが、萩原朔太郎の『猫町』だった。
ヨルシカが朔太郎の詩集『月に吠える』のインスパイアソングを発表し、この楽曲が私の心を撃った。
東京に行ったときに新幹線の中で手にしたフリーペーパーに朔太郎の生地や記念館、故郷である群馬の紹介がされ興味をひかれた。

そんなわけで、『月に吠える』と『猫町』を手に取って読んでみたのだが、う~ん…わからん。何を書いているのかさっぱりわからん!

朔太郎の頭の中はどうなっているのだ?
元来、『詩』と呼ばれるものは、こんなにも難解なのか?
これを朗読会で発表して、はたしてお客さんには喜んでもらえるんだろうか?

発表会に向けて、朗読メンバーやピアニストと共に何度も何度も読んだ。
声に出して読んだ。
猫町は声に出して読むと小一時間くらいかかる。
もちろん何度も読み返した。そのたびに朗読メンバーと、
「つまり、これは…朔太郎はこういうことを言いたかったんじゃないだろうか?」
などと意見を交わす。

答えはない。解釈は人それぞれ。
でも実は、この作業が楽しかった。

朗読とは、声に出して字面を追っただけでは相手に届かない。
作品を読解し、思考し、思考しながら声に出し、伝えていく作業だと思う。
何度も何度も読み返し、朗読メンバーが丁寧に読んでいく作品に耳を傾け、そこで思考し、自分自身何を思うか?

今年は50冊くらい本を読みたい!と目標を立てていたような気もするが、その目標には到底及びそうにない。
でも、多読するのではなく、ひとつの作品を何度も何度も声に出して読んだ萩原朔太郎の『猫町』は、今年の私の中での忘れられない一冊になった。

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