20220214ふかいメルマガ38回 小麦粉の値上げがウェーブを潤す?
おはようございます。
毎週のように値上げのニュースを見ますよね。
「値上げの秋」だと報じていたかと思えば、
こんどは「値上げの冬」。
「1年で三度目の値上げです」とか
「あの○○が、発売以来初となる値上げです」とか
こういう報道を聞いていると、
「また値上げかぁ」といやな気分になる人も多いと思います。
実際に「値上げで家計が圧迫される」という論調の報道もありますからね。
でも本当は、
「値上げしないと家計が圧迫される」
が正しいんです。
値上げの理由のほとんどは、社会問題です。
途上国の人件費が上がっています。
フェアトレード、つまり適正な賃金と価格で仕入れる商習慣が進んでいるからです。
2013年にバングラデシュのラナプラザというビルが崩壊し、3000人の死傷者が出た事件。
世界のファストファッションブランドの縫製工場が、このビルに集中していたこともあり、ファストファッション不買運動に発展しました。
そこから、日本ではユニクロも含めて世界のファストファッション企業が、フェアトレードに舵を切ったことで、原価は上がりました。
こうして、中国やアジア、アフリカや南米が、先進国の生産工場のように見られていた時代から少し豊かになったことで、生産だけでなく消費もするようになりました。
代表的なものが、コーヒーやチョコレートです。
かつては、自分たちが栽培しているカカオ豆やコーヒー豆がどんなものなのか、生産国の人たちは知りませんでした。
買えなかったからです。
今では、コーヒーも飲めばチョコレートも食べるようになりました。
知らなかった頃に比べれば豊かになったわけですが、その理由もあってどちらも取引価格は高騰しています。
温暖化ガスと化石燃料規制の問題は、原油の高騰につながり、
ガソリンや軽油の価格にはねかえっています。
地球規模の異常気象によって、農作物が不作だったり、
毎年取れていた海産物が不漁になったり。
つまり、人権問題、環境問題、紛争や不安定な世界情勢、世界の地域格差など、社会問題の解決に世界が動けば動くほど、コスト(原価)は上がるわけです。
そして今度は、ごまかす企業が出てこないように、
またちゃんとした企業の商品を選びやすいように、
規制や認証マークが増えたり強化されたりします。
これもすべてコストになります。
こうして見ていくと、コストは世界中で上がり続けるということがわかります。
ところで、ニュースなどで「あの〇〇が値上げです」と報道されますが、
いつから値上げになると思いますか?
例えば、カップ麺や小麦粉の値上げが発表されました。
これは、あくまでも企業側が、
「こういう理由により原画が上がり、やむをえず0%前後の値上げをします」と発表したものをニュースで流しただけです。
そこからその会社の営業の人たちが、問屋の営業や流通小売業のバイヤーを訪ねて、頭を下げて値上げの交渉をします。
小売業にしても、価格は集客の生命線だと捉えている会社が多いので、
簡単には「はい、そうですか」とは応じてはくれません。
いろいろ条件を付けてきたり、
この時とばかりに競合メーカーが価格据え置きを強調して商談をしたりするので、なかなか値上げが受け入れられないばかりか、
ニュースで値上げが強調されたことで、
買い控えられてしまうこともよくあります。
こうなるとほとんど風評被害で、
食品や日用雑貨品の業界ではよくあることです。
値上げの理由を理解したうえで許容する社会にしていくことは、実は重要なことです。
ここまで見てきたように、コストはこれからも上がり続けます。
それが末端の小売価格に反映されなければ、
サプライチェーンをさかのぼって、
どこかにしわ寄せがいくはずです。
コストアップを価格に反映できなければ、
その企業の利益は落ちます。
価格に反映したものの、売れなければ売上は落ちます。
価格をそのままにコストを絞る会社は、
サプライチェーンにある取引会社や生産者が厳しい状況になります。
いずれにしても、ウェーブのお客様企業もウェーブ自身も、
どこかのサプライチェーンに入って仕事をしています。
だから小麦粉の値上げが、まわりまわってウェーブの業績に影響することだって、あるかも?なんです。
経済は循環しているので、まさに「風が吹けば桶屋が儲かる」理屈なのです。デフレからの脱却という政治文句を聞くようになってから、10年以上経ちます。
日銀がインフレターゲット(物価上昇率)を2%と定めて、
もう何年も達成できないどころか、
この10年間日本の物価はほとんど上がっていません。
物価が上がっていないのは、欧米先進国に中国と韓国を加えても日本だけです。
そしてこの10年間、名目賃金が上がっていない国も、日本だけです。
つまり、物価と賃金は連動しているということなんですね。
いやいやおかしいでしょ。
値上げ値上げと言っておいて、物価が上がっていないなんて矛盾している!
と思いますよね。
それは値上げと物価上昇は違うからです。
値上げというのは、特定の商品の店頭価格が上げる、ということなので、
価格を上げたことで、他の安い商品に客が流れれば、
物価はプラスマイナス0ということになります。
日本は、10年以上にわたって、値上げをしてもプラスマイナス0を繰り返してきたのです。
世界中のコストが上がっているのに、価格を上げても安いモノに流れたり、
サプライチェーンでしわ寄せを吸収していたら、
経済はプラスの循環をしませんし、賃金も増えていかないということになります。
ウェーブの売上は、お客様企業にとっては、そっくりコストです。
売上を上げるには単価を上げるか数を増やすかしかないわけで、
売上が上がって利益が出れば、私たちの年収も増えていきます、
よね冨永さん。
そしてできることなら、安い商品をたくさん売らないといけない店よりも
単価は高いけど、品質の高い商品を丁寧に売る店でありたいと思います。
前者がディスカウントストアなら、後者はさながらブランドショップです。
それがブランド力であり付加価値です。
そうしていくためにも、ウェーブのブランド力とは何か、
付加価値とは何か、考えていきたいですね。
今週16日水曜日は、
第9回ソーシャルプロダクツ・アワードの授賞式があります。
今年も昨年を上回るエントリーがありました。
2月23日からは、受賞商品の展示販売会を大丸東京店で行いますので、
あらためてお知らせしますね。
深井賢一