勉強の進捗 2024/07/29

2022年末から2023年にかけて、私がクイズのための勉強をどのように進めているかについての記事を3つほど出しました。

この内容については、最新のものが2023年10月となっていて、そこからだいぶ間が空いてしまったので、久しぶりに進捗を書いてみようと思います。
2024年の勉強方針は、2023年までとは少し変えてみた部分もあるので、それについても書いてみます。


これまでの流れ

2023年までの勉強の基本的な方針としては、図書館の書架分類としてよく用いられている日本十進分類(NDC)を元にジャンル表を作り、そこからあるアルゴリズムで選択されたジャンルを勉強する、というものを行っていました。この詳細については Suggest Toolを使った勉強 に詳細が書かれていますが、直近いくつかに勉強したジャンルの履歴を参照して、それとは重複が出ないように補正をかけつつ、ジャンルをランダムに選択する、といった仕組みをGoogle Apps Scriptで書いたものを使っていました。

2023年の前半はほぼこれによって選択したものを勉強する形を通していたのですが、2023年の後半からは、このGASで選択したもの以外にも気になった分野を勉強するようになりました。これは、私の中で「勉強が一番効率的に進むのは一番興味が強く向いている時だ」という信条があり、たまたま興味が向いたタイミングをできるだけ逃したくない、というのを意図してのことだったのですが、結果としてGASによる選択よりもその場その場の興味の割合が大きくなり、Suggest Toolによる勉強は2023年末の時点でほぼ崩壊する形となっていました。

実際のところ、勉強の進捗 2023/10/15 の記事の中で挙げている内容についても、「610 生物科学」「900 文学理論」「295 北アメリカ」「593 衣服・裁縫」の4つのうち、「900 文学理論」と「593 衣服・裁縫」はGASのSuggest Toolとは別個に気になったから勉強した内容でした。

2024年1月頃まで

2024年の1月頃までは、Suggest Toolでジャンルを選択する代わりに、気になった分野をまとめて勉強する、という方針がずっと続いていました。

593 衣服・裁縫

勉強の進捗 2023/10/15 でも挙げていた「593 衣服・裁縫」は、もともとあまり詳しくない分野だったこともあり、かなり多くの本を読んで勉強をすることになりました。実際に読んだ本を挙げると以下のようになります:

  • 深井晃子(監修)『増補新装 カラー版 世界服飾史』 美術出版社. 2010. ISBN 978-4-568-40077-9

  • リンダ・ワトソン. 河村めぐみ(訳)『世界ファッション・デザイナー名鑑』トゥーヴァージンズ. 2021. ISBN 978-4-908406-87-4

  • 文化服装学院『改訂版・服飾造形講座〈1〉服飾造形の基礎』文化ファッション大系. 文化出版局. 2009. ISBN 978-4-579-11230-2

  • 文化服装学院『改訂版・服飾造形講座〈2〉スカート・パンツ』文化ファッション大系. 文化出版局. 2009. ISBN 978-4-579-11231-9

  • 文化服装学院『改訂版・服飾造形講座〈3〉ブラウス・ONE PIECE』文化ファッション大系. 文化出版局. 2009. ISBN 978-4-579-11232-6

  • 文化服装学院『改訂版・服飾造形講座〈4〉ジャケット・ベスト』文化ファッション大系. 文化出版局. 2009. ISBN 978-4-579-11233-3

  • 文化服装学院『改訂版・服飾造形講座〈5〉コート・ケープ』文化ファッション大系. 文化出版局. 2009. ISBN 978-4-579-11257-9

  • 文化服装学院『服飾関連専門講座〈6〉西洋服装史』文化ファッション大系. 文化出版局. 2001. ISBN 978-4-579-10855-8

  • 文化服装学院『服飾関連専門講座〈10〉20世紀ファッション』文化ファッション大系. 文化出版局. 2005. ISBN 978-4-579-11050-6

  • 文化服装学院『ファッション流通講座〈5〉コーディネートテクニック・アパレル編(1)商品知識』文化ファッション大系. 文化出版局. 2001. ISBN 978-4-579-10848-0

  • 文化服装学院『ファッション流通講座〈6〉コーディネートテクニック・アパレル編(2)商品構成』文化ファッション大系. 文化出版局. 2001. ISBN 978-4-579-10849-7

  • 文化服装学院『ファッション流通講座〈7〉コーディネートテクニック・演出編』文化ファッション大系. 文化出版局. 2005. ISBN 978-4-579-10941-8

  • 深井晃子『パリ・コレクション: モードの生成・モードの費消』講談社現代新書 1144. 講談社. 1993. ISBN 978-4-06-149144-1

  • キャリー・ブラックマン. 桜井真砂美(訳)『ウィメンズウェア100年史』トゥーヴァージンズ. 2020. ISBN 978-4-908406-76-8

  • キャリー・ブラックマン. 桜井真砂美(訳)『メンズウェア100年史』トゥーヴァージンズ. 2020. ISBN 978-4-908406-74-4

  • 川本恵子『魅惑のいう名の衣装 ハリウッドコスチュームデザイナー史』キネマ旬報社. 2009. ISBN 978-4-87376-314-9

  • 渡辺明日香『ストリートファッション論』産業能率大学出版部. 2011. ISBN 978-4-382-05648-0.

  • 成実 弘至『20世紀ファッションの文化史: 時代をつくった10人』河出書房新社. 2007. ISBN 978-4-309-24428-0

  • 富川淳子『ファッション誌をひもとく[改訂版]』北樹出版. 2017. ISBN 978-4-7793-0541-2

  • 塚田朋子『ファッション・ブランドの起源: ポワレとシャネルとマーケティング』雄山閣. 2006. ISBN 978-4-639-01913-8

  • ディディエ・グランバック. 井伊あかり(訳). 古賀令子(監修)『モードの物語―パリ・ブランドはいかにして創られたか』文化出版局. 2013. ISBN 978-4-579-30444-8

  • 坂本佳鶴恵『女性雑誌とファッションの歴史社会学―ビジュアル・ファッション誌の成立』新曜社. 2019. ISBN 978-4-7885-1610-6

  • 髙村是州『ファッションスタイル・クロニクル イラストで見る"おしゃれ"と流行の歴史』グラフィック社. 2018. ISBN 978-4-7661-3117-8

  • 閏間正雄『服地の基本がわかるテキスタイル事典』ナツメ社. 2014. ISBN 978-4-8163-5602-5

  • リンダ・ワトソン. 桜井真砂美(訳)『ヴォーグ・ファッション100年史 (P-Vine Books)』スペースシャワーネットワーク. 2009. ISBN 978-4-86020-322-1

  • フレデリック・モネイロン. 北浦春香(訳)『ファッションの社会学―流行のメカニズムとイメージ』文庫クセジュ 933. 白水社. 2009. ISBN 978-4-560-50933-3

  • 千村典生『戦後ファッションストーリー: 1945-2000』平凡社. 2001. ISBN 978-4-582-62028-3

  • 島根県立石見美術館. 国立新美術館.『ファッション イン ジャパン 1945-2020ー流行と社会』青幻社. 2021. ISBN 978-4-86152-781-4

  • 公益財団法人日本服飾文化振興財団『日本現代服飾文化史: ジャパン ファッション クロニクル インサイトガイド 1945~2021』講談社エディトリアル. 2022. ISBN 978-4-86677-099-4

  • 一般社団法人 日本流行色協会(JAFCA)『日本のファッションカラー100 ―流行色とファッショントレンド 1945-2013』ビー・エヌ・エヌ新社. 2014. ISBN 978-4-86100-905-1

全部で30冊、これらを読むのにはそこそこ時間がかかり、10月初めに読み始めて結局12月くらいまでかかっていたと思います。「衣服・裁縫」というジャンル内でも、衣服の制作そのものに関する話と、世界のファッションブランドの歴史についての話、日本のストリートファッションやファッション誌についての話、などなど色々な観点があり、かつどれもこれまであまり触れてこなかったので結構苦戦した印象があります。正直固有名詞なんかは頻出のもの以外は全然記憶に残っていないので、きちんと定着させるにはどこかでしっかり復習する必要がありそうです。

330 経済

これは2023年11月末〜2024年1月頃に勉強していたものです。勤め先の会社の先輩に大学で経済学を専攻していた人がいて、その人と雑談をしている時にふと「そういえば経済学って高校卒業以来あんまりちゃんと勉強していないな」と思い、そのままいくつか本を読んで勉強することにしました。

一般的な経済学の勉強といえばマンキューとかスティグリッツのマクロ経済学・ミクロ経済学の教科書をやっていく流れになるんだと思いますが、この時は特に経済学の歴史的な変遷に興味があったので、そちらを中心に勉強しました。メインで読んでいたのは以下の2冊です:

  • 小畑二郎『経済学の歴史』慶應義塾大学出版会. 2014. ISBN 978-4-7664-2175-0

  • 川俣雅弘『経済学史』経済学教室 7. 培風館. 2016. ISBN 978-4-563-06257-6

  • 根井雅弘『現代経済思想: サムエルソンからクルーグマンまで』ミネルヴァ書房. 2011. ISBN 978-4-623-05951-5

これを読んでいるうちに、経済学史上の有名な著作についてそれぞれ読んでみたくなったので、以下の本も購入しました。ですが、実際のところこれらはほとんどまだ読まずに積ん読している状態です。少しずつ読んでいきたいですね。

  • ケインズ. 間宮 陽介(訳)『雇用,利子および貨幣の一般理論 上』岩波文庫 白 145-1. 岩波書店. 2008. ISBN 978-4-00-341451-4

  • ケインズ. 間宮 陽介(訳)『雇用,利子および貨幣の一般理論 下』岩波文庫 白 145-2. 岩波書店. 2008. ISBN 978-4-00-341452-1

  • シュムペーター. 塩野谷祐一, 東畑精一, 中山伊知郎(訳)『経済発展の理論 上』岩波文庫 白 147-1. 岩波書店. 1977. 978-4-00-341471-2.

  • シュムペーター. 塩野谷祐一, 東畑精一, 中山伊知郎(訳)『経済発展の理論 下』岩波文庫 白 147-2. 岩波書店. 1977. 978-4-00-341472-9.

  • シュムペーター. 中山伊知郎, 東畑精一(訳)『経済学史: 学説ならびに方法の諸段階』岩波文庫 白 147-3. 岩波書店. 1980. 978-4-00-341473-6.

  • ヒックス. 安井琢磨, 熊谷 尚夫(訳)『価値と資本 上: 経済理論の若干の基本原理に関する研究』岩波文庫 白 146-1. 岩波書店. 1995. 978-4-00-341461-3.

  • ヒックス. 安井琢磨, 熊谷 尚夫(訳)『価値と資本 下: 経済理論の若干の基本原理に関する研究』岩波文庫 白 146-2. 岩波書店. 1995. 978-4-00-341462-0.

  • メンガー. 福井孝治, 吉田昇三(訳)『経済学の方法に関する研究』岩波文庫 白 119-1. 岩波書店. 1988. ISBN 978-4-00-341191-9

  • ボェーム・バウェルク. 長守善(訳)『経済的財価値の基礎理論』岩波文庫 白 131-1. 岩波書店. 1932. ISBN 978-4-00-341311-1

また、経済学史について調べているうちに、経済成長の理論、特に内生的経済成長理論に興味を持ったので、関連して以下を読みました:

  • チャールズ・I・ジョーンズ. 香西泰(監訳)『経済成長理論入門 新古典派から内生的成長理論へ』日本経済新聞出版. 1999. ISBN 978-4-532-13176-0

  • R.J.バロー, X.サラ イ マーティン. 大住圭介(訳)『内生的経済成長論 1』九州大学出版会. 1999. ISBN 978-4-87378-525-7

  • R.J.バロー, X.サラ イ マーティン. 大住圭介(訳)『内生的経済成長論 2』九州大学出版会. 1999. ISBN 978-4-87378-550-9

経済学全般についても、一応ざっくり見てはおこうということで、スティグリッツの『ミクロ経済学』『マクロ経済学』と、ついでに『公共経済学』上下巻も買って流し読みしました。数ある経済学の教科書の中でスティグリッツを選んだのは、大学生の時にたまたま『スティグリッツ入門経済学』を買っていたからで、あんまり細かく吟味して選んではいません。こちらは経済学史を知りたいという今回の目的からは少し外れるので、あまり深入りはしていないところです。

150 倫理学・道徳

経済学史について調べている時に、現代の経済学者としてアマルティア・センが言及されているのを見て、その「ケイパビリティ」の思想に興味を持ちました。倫理学については2023年の3月〜4月頃に主にロールズの正義論とリベラル・コミュニタリアン論争について調べていたのですが、それより新しい時代にどういう議論がなされているのかはその時には深入りしていなかったところでした。

ここで読んだ本は以下の通りです:

  • アマルティア・セン. 池本幸生, 野上裕生, 佐藤仁(訳)『不平等の再検討――潜在能力と自由』岩波現代文庫 学術393. 岩波書店. ISBN 978-4-00-600393-7

  • アマルティア・セン. 池本幸生(訳)『正義のアイデア』明石書店. 2011. ISBN 978-4-7503-3494-3

  • マーサ・C.ヌスバウム. 神島裕子(訳)『正義のフロンティア: 障碍者・外国人・動物という境界を越えて』法政大学出版局. 2012. ISBN 978-4-588-60325-9

  • 神島裕子『正義とは何か 現代政治哲学の6つの視点』中公新書 2505. 中央公論新社. 2018. ISBN 978-4-12-102505-0

  • 柘植尚則『入門・倫理学の歴史 24人の思想家』梓出版社. 2016. ISBN 978-4-87262-038-2

関連して、福祉の哲学とノーマライゼーションについて気になったのでその周辺についてもいくつか本を読みました:

  • 広井良典『福祉の哲学とは何か:ポスト成長時代の幸福・価値・社会構想』ミネルヴァ書房. 2017. ISBN 978-4-623-07788-5

  • 河東田博『ノーマライゼーション原理とは何か: 人権と共生の原理の探究』現代書館. 2009. ISBN 978-4-7684-3488-8

  • ベンクト・ニィリエ. 河東田博(訳)『ノーマライゼーションの原理: 普遍化と社会変革を求めて』現代書館. 2004. ISBN 978-4-7684-3444-4

  • ベンクト・ニィリエ. ハンソン友子(訳)『再考・ノーマライゼーションの原理: その広がりと現代的意義』現代書館. 2008. ISBN 978-4-7684-3483-3

ここでは、理論的な倫理学の内容が具体的な福祉政策にどのように繋がっていくのか、という部分を調べようと思っていたのですが、結局あまりそこには深く踏み込まずに済ませてしまいました。また気が向いたタイミングでさらに調べたいところです。

アマルティア・センらのケイパビリティ・アプローチについて調べている中で、先験的/比較的アプローチについての議論や理想理論・非理想理論といったトピックについて興味が湧いたので、それらについても少し調べていました。

  • ジョナサン・ウルフ. 大澤津, 原田健二朗(訳)『「正しい政策」がないならどうすべきか: 政策のための哲学』勁草書房. 2016. ISBN 978-4-326-15440-1

  • Jonathan Wolff. "Disadvantage" Oxford Political Theory. 2013. 978-0-19-965558-8

  • 佐野亘, 山谷清志 (監修)『政策と規範』これからの公共政策学 1. ミネルヴァ書房. 2021. ISBN 978-4-623-08684-9

その他、調べているうちに気になった以下の2つも読んでみました:

  • ジュディス・シュクラー. 川上洋平, 沼尾恵, 松元雅和(訳) 『不正義とは何か』岩波書店. ISBN 978-4-00-061596-9

  • ウィル・キムリッカ. 角田猛之, 山崎康仕, 石山文彦(訳)『多文化時代の市民権: マイノリティの権利と自由主義』晃洋書房. 1998. ISBN 978-4-7710-1062-8

経済学史からこれらの倫理学に関する部分までは、興味を持ったものを調べて、それを調べているうちに気になったトピックについて調べて、さらにそれを調べているうちに気になったものを調べて、……という興味の連鎖で色々調べていったもので、やっていて楽しく感じる部分が多かったです。ただ、たまたま目に入ったところを掘り下げる、というのを繰り返す形で、全体を体系的に扱っていないので、勉強のやり方としてはかなり偏りが大きくなるやり方のように思います。今回深入りしなかった部分について体系的に押さえる、というのは別途やった方が良さそうです。

2024年1月以降

2023年末までのところは、おおよそ1つの時期に1つのジャンルに集中する、という形式を取っていましたが、年明け頃から少しずつ、複数のジャンルを同時並行で進める、という方針に変わっていくようになります。これは元々は2023年に勉強した内容からの派生で気になったものに手を付ける、というところから自然発生的に生まれたものですが、最終的には意識的に同時並行での勉強をするようになっていきました。

特に大きな転機となったのは記憶の心理学について勉強し始めたことです。5月の初めに「クイズと記憶」という記事を出しましたが、これを書くきっかけになったのはガブリエル・ラドヴァンスキー『記憶の心理学』という本を読み始めたことで、これが2024年2月の初め頃からでした。

勉強した内容は長期記憶として記憶されることが想定されます。記憶に定着させやすくする要素については様々なものがありますが、その中の1つに「集中学習より分散学習の方が記憶の定着が良い」というものがあります。これは『記憶の心理学』の中では第7章4節で言及されていて、例えば5時間ぶっつづけで学習するのと1日1時間を5日間に分けて学習するのでは後者の方が記憶成績が良くなる、ということが言われています。これは以下のような理由によるものだと仮説が立てられています:

  • 集中学習では記憶の固定化が終わらないうちに学習が終わってしまうが、分散学習では記憶が固定化された後に再度学習することになる(固定化仮説)

  • 集中学習では情報に慣れてしまって学習に能動的に向き合わなくなってしまう(不完全処理仮説)

  • 分散学習では学習の文脈が多様になるので、多様な検索回路が形成されやすい(文脈多様性仮説)

  • 分散学習で繰り返し学習する際、以前の学習を思い出して既存の記憶痕跡を再活性化し、学習活動間に結びつきがつけられることで、記憶が強化される(学習段階検索仮説)

ここで言及されているのは5時間の集中学習と5日の分散学習との比較ですが、これらの仮説が正しいとすれば、1ヶ月の集中学習と半年間の分散学習の間でも、同様の効果が期待できるのではないかと思います。

というわけで、複数のジャンルを同時並行で進めて、あるジャンルの本を読んだら次は別のジャンルの本を読み、その次はさらに別のジャンルの本を読み、ある程度経ってから最初のジャンルに戻ってくる、という勉強の方法を試してみています。以下では2月頃以降に勉強を始めたいくつかのジャンルについて述べますが、それぞれまだ勉強が終わってはおらず、現在進行形で並行して本を色々と読み進めているところです。

595 理容・美容 と593 衣服・裁縫の続き

「593 衣服・裁縫」の分野を勉強していた際、関連分野として「595 理容・美容」の分野に絡んでくる話がちょくちょく出ていて、少し気になっているところでした。そこで、この分野についても少しずつ勉強をしています。

まず、こういう勉強は一般に歴史を概観するところから始めるようにしています。化粧品の歴史について読んだのは以下のような本です:

  • ポーラ文化研究所『明治・大正・昭和の化粧文化: 時代背景と化粧・美容の変遷』ポーラ文化研究所. 2016. ISBN 978-4-938547-98-1

  • 水尾順一『化粧品のブランド史: 文明開化からグローバルマーケティングへ』中公新書 1414. 中央公論新社. ISBN 978-4-12-101414-6

  • ポーラ文化研究所『平成美容開花: 平成から令和へ、美容の軌跡30年』ポーラ文化研究所. 2020. ISBN 978-4-89478-011-8

  • 資生堂ビューティークリエイションセンター『日本の化粧の変遷100年』玄光社. 2023. ISBN 978-4-7683-1852-2

歴史という方向性ではない本では、以下の2冊も読みました:

  • 栗田宣義『メイクとファッション――美容化粧服飾の戦略と呪縛』晃洋書房. 2021. ISBN 978-4-7710-3503-4

  • 荒原文『図解入門業界研究 最新 美容業界の動向とカラクリがよーくわかる本』図解入門業界研究. 秀和システム. 2010. ISBN 978-4-7980-2604-6

また、前々から読もうと思って放置していた『新化粧品学』にも手を付け始めましたが、これはまだ読み途中になっています。

  • 光井武夫『新化粧品学』南山堂. 2001. ISBN 978-4-525-78252-8

化粧品文化について調べている中で、スタイリストについて気になったので以下の2冊も読みました:

  • 林泉『スタイリスト&コーディネーターの条件』文化出版局. 2011. ISBN 978-4-579-11341-5

  • 一般社団法人日本ファッションスタイリスト協会『Styling Map検定テキスト』祥伝社. 2016. ISBN 978-4-396-69217-9

昨年10月の記事で日本理容美容教育センターの教科書が気になっているという話を出していましたが、これについてはまだ取りかかっていないところです。

390 国防・軍事

国防・軍事の分野については、前々から苦手意識が強く避けがちだったのですが、いつまでも避けている訳にはいかないと思い立って、いくらかまとめて本を取りそろえました。

最初に読んだのは、軍事の歴史について全般的に扱った本で、以下のようなものです:

  • マイケル・ハワード. 奥村房夫, 奥村大作(訳)『ヨ-ロッパ史における戦争』中公文庫 ハ 12-1. 中央公論新社. 2010. ISBN 978-4-12-205318-2

  • 金子常規『兵器と戦術の世界史』中公文庫 か 80-1. 中央公論新社. 2013. ISBN 978-4-12-205857-6

  • 金子常規『兵器と戦術の日本史』中公文庫 か 80-2. 中央公論新社. 2014. ISBN 978-4-12-205927-6

  • ウィリアム・H・マクニール. 高橋均(訳)『戦争の世界史 上』中公文庫 マ 10-5. 中央公論新社. 2014. ISBN 978-4-12-205897-2

  • ウィリアム・H・マクニール. 高橋均(訳)『戦争の世界史 下』中公文庫 マ 10-5. 中央公論新社. 2014. ISBN 978-4-12-205898-9

これらを調べている際に、防衛大学校の出している『軍事学入門』という軍事に関する理論書が見つかったので、これも入手しました。ただし、この本はずっと積ん読状態となっています。そろそろ読んでおきたいところです。

  • 防衛大学校防衛学研究会『軍事学入門』かや書房. 1999. ISBN 978-4-906124-37-4

全般的な軍事史だけではなく、細かな戦史についても知りたいと思って色々調べていたのですが、かつて朝日ソノラマから刊行されていた朝日ソノラマ文庫の「航空戦史シリーズ」「新戦史シリーズ」「スパイ戦史シリーズ」の古本が比較的安く手に入りそうなのを見つけたので、まとめて購入してみました。

文庫版航空戦史シリーズ:

  • 堀越二郎, 奥宮正武『零戦』文庫版航空戦史シリーズ 1. 朝日ソノラマ. 1982. ISBN 978-4-257-17001-3

  • 淵田 美津雄, 奥宮 正武『ミッドウェー』文庫版航空戦史シリーズ 2. 朝日ソノラマ. 1982. ISBN 978-4-257-17002-0

  • 土井寛『世界の特殊部隊』文庫版航空戦史シリーズ 17. 朝日ソノラマ. 1982. ISBN 978-4-257-17017-4

  • ノーマン・ポルマー. 堀元美(訳)『原子力潜水艦』文庫版航空戦史シリーズ 62. 朝日ソノラマ. 1985. ISBN 978-4-257-17062-4

  • 木俣滋郎『陸軍航空隊全史』文庫版航空戦史シリーズ90. 朝日ソノラマ. 1987. ISBN 978-4-257-17090-7

  • ケネス・マクセイ. 芳地昌三(訳)『ノルマンディの激闘』文庫版航空戦史シリーズ 96. 朝日ソノラマ. 1988. ISBN 978-4-257-17096-9

文庫版新戦史シリーズ:

  • 永井喜之, 木俣滋郎『撃沈戦記』文庫版新戦史シリーズ 8. 朝日ソノラマ. 1988. ISBN 978-4-257-17208-6

  • 加登川幸太郎『ドイツ装甲師団』文庫版新戦史シリーズ 27. 朝日ソノラマ. 1990. ISBN 978-4-257-17227-7

  • 木俣滋郎『日本の軍艦』文庫版新戦史シリーズ 28. 朝日ソノラマ. 1990. ISBN 978-4-257-17228-4

  • 奥宮正武『大艦巨砲主義の盛衰』文庫版新戦史シリーズ 47. 朝日ソノラマ. 1992. ISBN 978-4-257-17247-5

  • 三野正洋『戦車対戦車』文庫版新戦史シリーズ 81. 朝日ソノラマ. 1995. ISBN 978-4-257-17301-4

  • 三野正洋『ベトナム戦争/兵器ハンドブック』文庫版新戦史シリーズ 87. 朝日ソノラマ. 1996. ISBN 978-4-257-17307-6

  • 三野正洋『朝鮮戦争/兵器ハンドブック』文庫版新戦史シリーズ 89. 朝日ソノラマ. 1996. ISBN 978-4-257-17309-0

  • 三野正洋『湾岸戦争兵器ハンドブック: フォークランド/マルビナス紛争』文庫版新戦史シリーズ 93. 朝日ソノラマ. 1996. ISBN 978-4-257-17313-7

  • 渡辺 洋二『日本の軍用機 海軍編』文庫版新戦史シリーズ 94. 朝日ソノラマ. 1997. ISBN 978-4-257-17314-4

文庫版スパイ戦史シリーズ:

  • ユリウス・マーダー『ゾルゲ事件の真相』文庫版スパイ戦史シリーズ 

  • 松島慶三『諜報太平洋戦争』文庫版スパイ戦史シリーズ 2. 朝日ソノラマ. 1985. ISBN 978-4-257-17102-7

  • 吉川猛夫『真珠湾スパイの回想』文庫版スパイ戦史シリーズ 1. 朝日ソノラマ. 1985. ISBN 978-4-257-17101-0

  • アンドリュー・タリー『スパイ帝国・CIA』文庫版スパイ戦史シリーズ 9. 朝日ソノラマ. 1985. ISBN 978-4-257-17109-6

  • W.J.ホルムズ『太平洋暗号戦史』文庫版スパイ戦史シリーズ 3. 朝日ソノラマ. 1985. ISBN 978-4-257-17103-4

ただ、まとめてたくさん買ってはみたは良いものの、そもそもこの分野にはあまり馴染みがないこともあって読むスピードがかなり遅く、ほとんどの本にまだ手を付けられていません。これは引き続きしばらく時間をかけて取り組むことになりそうです。

朝日ソノラマ文庫について調べていた際に、角川ソフィア文庫の『戦車の歴史 理論と兵器』という本も目に入って、少し面白そうに思ったので合わせて買いました。ただこちらもまだ買っただけで手を付けられていない状態です:

  • 加登川 幸太郎『戦車の歴史 理論と兵器』角川ソフィア文庫. 2022. ISBN 978-4-04-400681-5

軍事については、他にも創元社から出ている『戦闘技術の歴史』というシリーズが前々から気になっているのですが、それなりに高いので購入を少し躊躇しています。おそらく大量に積ん読している朝日ソノラマ文庫の本を読み終わってから検討することになるでしょう。

810 日本語 > 811 文字 > くずし字・万葉仮名

私は趣味として時々丸善・ジュンク堂のような大きな書店に行って全部の棚を順に眺めていく、というのをやっているのですが、3月末に池袋のジュンク堂に行ったとき、たまたま「くずし字」に関する本が目に入ったので、いくつかまとめて購入してみました。

  • 小林正博『読めれば楽しい! 古文書入門 利休・歌麿・芭蕉の〝くずし字〟を読む』潮新書. 潮出版社. 2017. ISBN 978-4-267-02082-7

  • 小林正博『これなら読める!くずし字・古文書入門』潮新書. 潮出版社. 2018. ISBN 978-4-267-02119-0

  • 小林正博『解いて覚える!くずし字・古文書ドリル』潮新書. 潮出版社. 2019. ISBN 978-4-267-02199-2

  • 小林正博『ここからはじめよう!くずし字・古文書入門』潮新書. 潮出版社. 2023. ISBN 978-4-267-02395-8

  • 小林正博『誤読例に学ぶくずし字――古文書解読検定総復習』柏書房. 2019. ISBN 978-4-7601-5046-5

  • 小林正博『実力判定古文書解読力』柏書房. 2016. ISBN 978-4-7601-4706-9

大学生の頃に、文学部の知り合いが「くずし字が読めると楽しい」という話をしていたことがあって、前々から気になってはいたのですが、5年越しにようやく手を付けた、という形です。漢字は非常にたくさんの数があるので全部覚えるのは大変!と思っていたのですが、実際のところ平仮名といくらか頻出の形を覚えるだけでかなり多くの古文書を読めるようになってきます。美術館や博物館に行って古い資料を見たときに、書いてある文字が読めるとかなり面白いです。もっと早くに手を付けていればよかった気がします。

くずし字を学ぶと必然的に万葉仮名について学ぶのですが、万葉仮名について調べていると、いくつかの仮名に「甲類」「乙類」と書かれているのを目にします。これは上代の日本語の音韻体系に見られたもので、万葉仮名の使われ方の研究から上代日本語の母音は5つではなく8つの使い分けがあったとされています(細かく言えばこれも諸説あるようですが)。この甲乙類の母音があったという話自体は前々から聞きかじってはいたのですが、詳しい研究の内容についてはあまり知らなかったので、この機会にいくらか調べてみることにしました。読んだ本は以下の通りです:

  • 橋本進吉『古代国語の音韻に就いて 他二篇』岩波文庫 青 151-1. 岩波書店. 1980. ISBN 978-4-00-331511-8

  • 大野晋『仮名遣と上代語』岩波書店. 1982. ISBN 978-4-00-000295-0

720 絵画 > 726 漫画 と 778 映画 > 778.77 アニメ

私は子どもの頃から中学・高校くらいまでの間、親の教育方針によって漫画・アニメ・ゲーム・テレビといった現代のエンタメにあまり触れることなく生きてきました。これはその分だけ学術的な分野に興味と時間を向けることができた点である程度良かったと言える側面もありますが、やはりこれらの分野について知る機会を失ったという負の側面も大きくあります。特に、この分野は学術的な内容に比べて体系的に学ぶことが難しいので、今に至るまでずっと苦手にしている分野となっています。

アニメについては2017年頃から動画配信サービスのサブスクリプションに加入して少しずつ見るようにしており、マンガについては2022年頃から電子書籍を購入して少しずつ読んでいっているところです。ですが、やはりこれらの分野も歴史的な流れを把握しておくと記憶にも残りやすいので、2024年の4月頃から歴史について調べ始めました。読んだのは以下の5冊です:

  • 澤村修治『日本マンガ全史: 「鳥獣戯画」から「鬼滅の刃」まで』平凡社新書 944. 平凡社. 2020. ISBN 978-4-582-85944-7

  • 清水勲『漫画の歴史』岩波新書 新赤版 172. 岩波書店. 1991. ISBN 978-4-00-430172-1

  • 津堅信之『日本アニメ史-手塚治虫、宮崎駿、庵野秀明、新海誠らの100年』中公新書 2694. 中央公論新社. 2022. ISBN 978-4-12-102694-1

  • アニメの旅人『すべてがわかる! 日本アニメ史入門』彩流社. 2021. ISBN 978-4-7791-2776-2

  • 中山淳雄『エンタメビジネス全史 「IP先進国ニッポン」の誕生と構造』日経BP. 2023. ISBN 978-4-296-00143-9

これらによってマンガ・アニメの歴史の全体像を把握したことで、個別の作品に触れたときにそれを歴史上の点にマッピングできるようになって、少し頭の中で整理がしやすくなりました。ただ、具体的な作品に触れるのは単純に数が足りていないので、継続的に行っていく必要があります。

アニメについては比較的多くの作品をサブスクリプションサービスで見ることができますが、マンガについてはそういった一括のサービスで触れられる範囲はあまり広くなく、実際には個別の書籍を買って読むというのが多いです。流石に有名どころのマンガを全部買うというのができるほど無尽蔵にお金があるわけではないので、図書館も活用するようにしました。就職を機に東京に引っ越してきたおかげで、明治大学の米沢嘉博記念図書館に比較的容易にアクセスできるようになったので、1年会員になって時々通うようにしています。とりあえずは開架になっているマンガについて1〜2巻ずつくらい一通り読むのを目標にしたいですが、先はかなり長そうです。

720 絵画:721 日本美術史

マンガについて調べている時に、鳥獣戯画や北斎漫画についての言及があるのを見て、日本の絵画史について気になりはじめました。昔から美術館にはよく行っているので比較的馴染みがある分野ではあるのですが、好みが結構西洋美術に偏っているところがあったので、この機会に日本美術にも力を入れようと考えました。日本美術史全般について、以下のような本を読みました:

  • 辻惟雄『日本美術の歴史 補訂版』東京大学出版会. 2021. ISBN 978-4-13-082091-2

  • 辻惟雄(監修)『増補新装 カラー版 日本美術史』美術出版社. 2003. ISBN 978-4-568-40065-6

  • 田中英道『日本美術全史 世界から見た名作の系譜』講談社学術文庫 2107. 講談社. 2012. ISBN 978-4-06-292107-7

また、この話を会社の先輩としていた時に、荒井経『日本画と材料』という本について紹介してもらったので、これも読んでみました。

  • 荒井経『日本画と材料 近代に創られた伝統』武蔵野美術大学出版局. 2015. ISBN 978-4-86463-034-4

日本美術の中でも、特に明治維新以後の様々な潮流についてあまり詳しいことを把握できていなかったので、ここについてはさらにいくつか本を読んでいます。

  • ミカエル・リュケン. 南明日香(訳)『増補改訂版 20世紀の日本美術 同化から越境への軌跡』三好企画. 2016. ISBN 978-4-908287-05-3

  • 草薙奈津子『カラー版-日本画の歴史 近代篇-狩野派の崩壊から院展・官展の隆盛まで』中公新書 2513. 中央公論新社. 2018. ISBN 978-4-12-102513-5

  • 草薙奈津子『カラー版-日本画の歴史 現代篇-アヴァンギャルド、戦争画から21世紀の新潮流まで』中公新書 2514. 中央公論新社. 2018. ISBN 978-4-12-102514-2

このうち中公新書の2冊についてはまだ読んでいる途中になっています。そんなに分量として多いわけでもないので、早めに読み終えてしまいたいところです。

910 日本文学

マンガの歴史について調べていた際に、平凡社新書の澤村修治『日本マンガ全史』という本を読みましたが、この著者の紹介を見ていると『ベストセラー全史』という本が目にとまったので、これも入手して読んでみました。

  • 澤村修治『ベストセラー全史【現代篇】』筑摩選書. 筑摩書房. 2019. ISBN 978-4-480-01683-6

  • 澤村修治『ベストセラー全史【近代篇】』筑摩選書. 筑摩書房. 2019. ISBN 978-4-480-01684-3

これは近現代の書籍で各年ごとに多く売れた「ベストセラー」を時代順に紹介していくというものですが、これを読んでいるうちに、日本の近現代文学史について気になり始めました。大雑把な流れは高校生の時に勉強して把握しているのですが、それ以来より詳細な話はあまり深めてこなかったので、少しだけ立ち入ってみることにしました。まず読んだのは以下の2冊です:

  • 安藤宏『日本近代小説史 新装版』中公選書 110. 中央公論新社. 2020. ISBN 978-4-12-110110-5

  • 渡部直己『日本小説技術史』新潮社. 2012. ISBN 978-4-10-386002-0

書店で文学関係の棚を眺めていて、本の雑誌編集部が出している『この作家この10冊』という本も面白そうだったので買ってみました:

  • 本の雑誌編集部『この作家この10冊』本の雑誌社. 2015. ISBN 978-4-86011-275-2

  • 本の雑誌編集部『この作家この10冊 2』本の雑誌社. 2019. ISBN 978-4-86011-435-0

これはまだ読み途中ですが、あまり奇を衒わずに作家の代表作が挙げられている感じがあって比較的好印象です。普通に読んで楽しむための小説選びの種本としても活用しています。

900 文学理論 > 物語論

文学史について調べていたのと、大きな勉強とは別に趣味で読んでいたマイケル・ライアン、メリッサ・レノス『Film Analysis 映画分析入門』という本の中で物語論(ナラトロジー)についての言及があったのとをきっかけに、2023年9月頃に勉強していた文学理論の話で保留しているものがあったのを思い出しました。この時には文学理論・批評理論を概観する形だったのですが、その時にウラジーミル・プロップなどのロシア・フォルマリズムの理論にちょっと興味を持っていて、後で深く調べようと思って保留していたのでした。そこで、プロップの『昔話の形態学』をはじめ、物語論についてより掘り下げて勉強することにしました。

物語論一般について読んでいる本は以下の通りです:

  • 橋本陽介『物語論 基礎と応用』講談社選書メチエ 647. 講談社. 2017. ISBN 978-4-06-258650-4

  • 橋本陽介『ナラトロジー入門: プロップからジュネットまでの物語論』水声文庫. 水声社. ISBN 978-4-8010-0049-0

  • ジャン=ミシェル アダン. 末松寿、佐藤正年(訳)『物語論: プロップからエーコまで』文庫クセジュ 873. 白水社. ISBN 978-4-560-05873-2

  • 高田明典『物語構造分析の理論と技法―CM・アニメ・コミック分析を例として』大学教育出版. 2010. ISBN 978-4-88730-986-9

  • 藤井貞和『物語論』講談社学術文庫. 講談社. 2022. ISBN 978-4-06-528531-2

このうち、橋本陽介の2冊は読み終わりましたが、残りはまだ読み途中になっています。

ちょっと深掘りするということで、原典の著作の日本語訳もいくらか読むことにしました。

  • ウラジーミル・プロップ. 北岡誠司、福田美智代(訳)『昔話の形態学』叢書 記号学的実践 10. 水声社. 1987. ISBN 978-4-89176-208-7

  • ウラジーミル・プロップ. 斎藤君子(訳)『魔法昔話の研究 口承文芸学とは何か』講談社学術文庫 1954. 講談社. 2009. ISBN 978-4-06-291954-8

  • ロラン・バルト. 花輪光(訳)『物語の構造分析』みすず書房. 1979. ISBN 978-4-622-00481-3

本当はジェラール・ジュネット『物語のディスクール』も読みたいのですが、ちょっと予算オーバーしそうだったので一旦保留しているところです。

510 建設工学・土木工学

物語論について調べ始めた頃、最近の勉強のトピックを見直してみて、工学系についてあまり学んでいないことに気づきました。その時期にちょうどYouTubeで ゆっくり土建図鑑 というチャンネルの動画にはまっていたので、そのまま土木工学について少し深掘りしてみることにしました。

土木工学については、書店で見かけて前々から気になっていたものとして鹿島建設土木設計本部の「土木設計の要点」というシリーズがあったので、まずはこれを買い揃えて順に読んでいくことにしました。

  • 鹿島建設 土木設計本部『設計の基本知識[地盤編]』土木設計の要点. 鹿島出版会. 2020. ISBN 978-4-306-02503-5

  • 鹿島建設 土木設計本部『設計の基本知識[構造物編]』土木設計の要点. 鹿島出版会. 2020. ISBN 978-4-306-02504-2

  • 鹿島建設 土木設計本部『仮設構造物』土木設計の要点. 鹿島出版会. 2020. ISBN 978-4-306-02505-9

  • 鹿島建設 土木設計本部『耐震設計』土木設計の要点. 鹿島出版会. 2021. ISBN 978-4-306-02506-6

  • 鹿島建設 土木設計本部『トンネル』土木設計の要点. 鹿島出版会. 2021. ISBN 978-4-306-02507-3

  • 鹿島建設 土木設計本部『維持管理』土木設計の要点. 鹿島出版会. 2022. ISBN 978-4-306-02508-0

  • 鹿島建設 土木設計本部『海洋・港湾構造物』新・土木設計の要点 6. 鹿島出版会. 2003. ISBN 978-4-306-02358-1

これは今『仮設構造物』まで読み終わったところです。最後に挙げた『海洋・港湾構造物』は、2020年からの新シリーズでは改訂版が出なかったみたいなので旧版を読むことにしました。

これとは別に、橋梁の設計についても気になったので、成瀬勝武, 鈴木俊男『橋梁工学(鋼橋編)』という本も読み進めています。

  • 成瀬勝武, 鈴木俊男『橋梁工学(鋼橋編)』森北出版. 1995. ISBN 978-4-627-41073-2

また、「ゆっくり土建図鑑」で紹介されているような土木遺産についてももっと知りたくなったので、いくつか本を買いました。

  • 石井一郎『日本の土木遺産: 日本文化の象徴・近代化遺産を訪ねて』森北出版. 1996. ISBN 978-4-627-45160-5

  • 社団法人建設コンサルタンツ協会『Consultant』編集部『土木遺産 世紀を越えて生きる叡智の結晶 ヨーロッパ編』ダイヤモンド社. 2005. ISBN 978-4-478-89018-9

  • 社団法人建設コンサルタンツ協会『Consultant』編集部『土木遺産 II 世紀を越えて生きる叡智の結晶 アジア編』ダイヤモンド社. 2007. ISBN 978-4-478-00309-1

  • 社団法人建設コンサルタンツ協会『Consultant』編集部『土木遺産 III 世紀を越えて生きる叡智の結晶 日本編』ダイヤモンド社. 2010. ISBN 978-4-478-01468-4

  • 社団法人建設コンサルタンツ協会『Consultant』編集部『土木遺産 IV 世紀を越えて生きる叡智の結晶 日本編2』ダイヤモンド社. 2015. ISBN 978-4-478-06395-8

  • 社団法人建設コンサルタンツ協会『Consultant』編集部『土木遺産 V 世紀を越えて生きる叡智の結晶 ヨーロッパ編2』ダイヤモンド社. 2016. ISBN 978-4-478-10144-5

  • 社団法人建設コンサルタンツ協会『Consultant』編集部『土木遺産 VI 世紀を越えて生きる叡智の結晶 アメリカ・オセアニア編』ダイヤモンド社. 2020. ISBN 978-4-478-10951-9

これらはまだほとんど手を付けられていないので、少しずつ読んでいきたいところです。

100 哲学 > 言語哲学・現代思想

2024年7月6日に丸善で村岡晋一『名前の哲学』という本を見かけて、ちょっと面白そうだったので読んでみました。

  • 村岡晋一『名前の哲学』講談社選書メチエ 719. 講談社. 2020. ISBN 978-4-06-518360-1

これは、もともとクイズの問題構成に「〜を何というでしょう?」と呼び名を問う形式ものと「〜は何でしょう?」とものそのものを問う形式のものがある、という点が気になっていて、それについて考察する上で参考になりそうな文献として手に取ったものでした。ですが、ここから興味が広がっていって、結局言語哲学や現代思想全般について勉強することになりました。

言語哲学については、『名前の哲学』の中で言及されていたものをいくつか読んでみました:

  • 松阪陽一(編)『言語哲学重要論文集』現代哲学への招待 Anthology. 春秋社. 2013. ISBN 978-4-393-32310-6

  • バートランド・ラッセル. 高村夏輝(訳)『論理的原子論の哲学』ちくま学芸文庫 ラ 4-2. 筑摩書房. 2007. ISBN 978-4-480-09096-6

  • ルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン. 丘沢 静也(訳)『哲学探究』岩波書店. 2013. ISBN 978-4-00-024041-3

  • ソール・A.クリプキ. 八木沢敬, 野家啓一(訳)『名指しと必然性―様相の形而上学と心身問題』産業図書. 1985. ISBN 978-4-7828-0022-5

これらの言語哲学は、いわゆる「言語論的転回」の流れを汲む20世紀の構造主義・ポスト構造主義思想の主流にあたるものです。なので、これらを調べていくうちに、現代思想全般に興味の矛先が向いていくことになります。現代思想については以下のような本を読みました:

  • 竹田青嗣『現代思想の冒険』ちくま学芸文庫 た 1-1. 筑摩書房. 1992. ISBN 978-4-480-08006-6

  • 今道友信『現代の思想―二十世紀後半の哲学』放送大学教育振興会. 1985. ISBN 978-4-14-210441-3

  • 千葉雅也『現代思想入門』講談社現代新書 2653. 講談社. 2022. ISBN 978-4-06-527485-9

調べていくうちに、ポスト構造主義についてより詳しく知りたくなったので、〈1冊でわかる〉シリーズの『ポスト構造主義』も読んでみました:

  • キャサリン・ベルジー. 折島正司『ポスト構造主義』〈1冊でわかる〉シリーズ. 岩波書店. 2003. ISBN 978-4-00-026869-1

千葉雅也『現代思想入門』では、最後の章に「ポスト・ポスト構造主義」という内容があり、メイヤスーなどのポスト構造主義の後の哲学者についても触れられています。ポスト構造主義までは高校の現代文やクイズなどでいくらか聞いたことがありましたが、それ以後の哲学については全く知らなかったので、ここについても少し調べてみることにしました。

  • 岡本裕一朗『いま世界の哲学者が考えていること』朝日文庫. 朝日新聞出版. 2022. ISBN 978-4-02-262069-9

  • 岩内章太郎『新しい哲学の教科書 現代実在論入門』講談社選書メチエ 712. 講談社. 2019. ISBN 978-4-06-517394-7

現在はこの最後の『新しい哲学の教科書』を読み進めているところです。現代思想については、正直これらの本を一通り読んだくらいではあまり理解が至っていない部分が多そうなので、原典にあたってみたり、後々また読み返してみることになるだろうと思います。

2024年上期の勉強の反省

2024年に入ってから、「意味ネットワークとして記憶に定着させる」ということを念頭に、様々な分野の勉強を同時並行で進め、分野ごとの勉強の期間を長くすること、そしてある分野の勉強から派生して別の分野を広げていくことで知識に関連性を付けること、を意識して勉強を進めてきました。

記憶への定着という意味では、正直2024年の最初の方に勉強したことを今の時点で克明に覚えているかというと全然そんなことはなくて、必ずしもあまり成功していないように思います。ただ、頭の中にある物事の間の繋がりが強くなって、知識の見通しが良くなってきた、というのははっきり効果に表れてきていて、その点でいえばこの勉強方法も悪くはなさそうです。

複数の分野を同時並行で進めようとすると、どうしても最初にたくさんの本を揃えることになり、積ん読の量が非常に多くなる、という側面がありました。世の読書家の人々は積ん読を必ずしも悪だと思わない方々が多いようですが、私は個人的には本は買ったからには全部読みたい、あるいはきちんと読むつもりのあるものだけ購入して手元に置きたい、というポリシーにしているので、積ん読が多いのはちょっと精神的な重荷を感じます。

実際に数えてみるたところ、4月頃に1ヶ月で87冊というようなペースで本を買っていて、読書スピードが購入量に追いついていない状態になっていました。6月あたりから少し購入ペースを減らしていって、少しずつ積ん読在庫が減っていく傾向にはなってきています。ただ、上でも「読んでいる途中です」と書いたものがそれなりにあり、まだ当分は在庫処分を続けることになりそうです。


2024年下期も、しばらくの間は2024年上期にやり残した部分を進めていこうと思いますが、改めて別の分野にも手を出していきたいところです。〈Suggest Tool〉を久しぶりに動かしてみたら、「2-240 アフリカ史」というのが提案されました。アフリカ史についてはいくつか読もうと思ってほしい物リストに入れていた本があるので、次はそのあたりを読んでいこうと思います。


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