涙が出るほど痛かった話
社会人になって一年目の冬。
職業柄いよいよ年末年始商戦が訪れようとしているそんな時。
一日の仕事を終えて、夜出勤のアルバイトに閉店までの指示を出した。
「じゃあ、そろそろ帰るから後はよろしく。」と私。
「お疲れ様でした!」とアルバイト。
駐輪場にとめてある自分のバイクに乗って帰路についているときに事件は起きた…
仕事終わりのため気分良く鼻歌を歌いながら家までバイクを走らせているとかなり前方にちょいとヤンチャそうな兄ちゃんたちのバイク集団がいた。
(なんだよ気分良く走ってたのに〜絡まれたら怖いなあ…)と思って少し距離を取って走っていた。
すると、かなり距離が離れているのに目でわかるほどの蛇行をしたあとに大騒ぎ…
うるさいのって嫌!と思いながら走りカーブに差し掛かったとき急に
ドガン!!!!
とてつもない音がバイクの前輪から鳴り、同時に体がバイクから離れて飛び出した。
うわ、やばいと思いつつ体は地面にどんどん近づいていく。
人は死ぬ前にスローモーションにモノが見えると言うが、この出来事で意味が少しわかった気がする。
事故をした私は真っ暗な山の中で痛みをこらえながらスマホを探す。明かりが欲しかったからだ…
スマホを探していると少し離れた場所から
『グヒィ…』という謎の声がした。
痛みと暗い怖さで必死だった私は気に求めず見つけたスマホで体の状況を確認。
左手と右膝から出血していたものの骨折は無さそうだった。
救急車を呼ぶよりも親を呼んだほうがほうが早いし安心だと判断し連絡。
無事連絡が着いたので待っているときに少し余裕が出てきた。
先程の鳴き声のようなものの正体だ。
なんだろうと暗がりを探していると側溝に答えがあった。それは…
側溝にぴっちりとハマって死んでいたうり坊だった…
そう、私はもうすぐ令和も近づく2018年末にイノシシと事故をしてケガしたのだ!
原因がわかってなんでぶつかるんだ…と落ち込んでいると対向車線側からバイクの集団がやってきた。
なんと、先程のヤンチャな兄ちゃん達だった。
「後ろの方でバイクが事故したの見えたから戻ってきました!大丈夫ですか?」
「僕らもイノシシとぶつかりかけたんです!」と声をかけてくれた。
なるほど、前で大騒ぎしてたのはイノシシと事故をしかけていたのねと納得。
倒れたバイク散らかった荷物もすべて側道に移動させてくれて本当に助かった。人は見た印象で判断してはいけないなあと痛く思った出来事だった。当時助けてくれた兄ちゃん達には何のお礼もできなかったからもし出会えたら感謝を伝えたい。ありがとう。
後日談だが、イノシシは猟友会に引き取られた。
退勤途中の事故だったため労災となった。
しかし、事務所の労災手続きでイノシシとぶつかった経緯を説明している時総務のおっちゃん達が肩を震わせながら「イノシシとバイクでぶつかったんやね、大変やったね笑」と言われたのはめちゃくちゃ恥ずかしかった。
誰がこの時代にバイクとイノシシでぶつかるねん
俺が一番恥ずかしいわ!わろてくれ!
あーもうなんですべってとかじゃないんや!
イノシシやで!?イノシシ!
これ事件以来イノシシという言葉を聞くとどうしても頭にぶつかった記憶を思い出してしまう…
みんなもイノシシに気をつけよう!
えっ、イノシシがそもそも出ない?
えっ…
えっ?
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