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衝撃を受けた日に決意して実現した、女性落語家の道。ゲスト:金原亭杏寿さん(2023/1/6 OA)【Watta! Itta! #15】

新番組「Watta! Itta!」

第15回のゲストは、今年2月に二ツ目に昇進し落語家となる金原亭杏寿さんでした。

杏寿さんは浦添市で生まれ、宜野湾市から那覇市へと引っ越し、神原中学校から小禄高校へと進学。高校生の頃に那覇祭りで県内のモデル事務所にスカウトされ、当時はバイト感覚のつもりで芸能界へと足を踏み入れます。
沖縄ではテレビやラジオなどで活躍した後、2016年に上京。そして芝居の勉強にと訪れた落語会に衝撃を受け、翌年には金原亭世之介門下に入門。そして今年2月に、二ツ目へと昇進し落語家としての活動がスタートします。

落語好きのクワエとしても嬉しい杏寿さんとのトーク、隣で世之介師匠が見守る中でZOOMにてスタートしました。

放送はこちらから!

【radiko】 ※2023/1/13迄
→沖縄県内からはタイムフリー(無料)で、県外からはエリアフリー(有料会員)で聴けます。

【podcast】 ※2023/1/12~
→全国どこからでも聴けます。
(anchor、spotify、apple podcasts、Google podcasts、Amazon music)

放送内容のまとめ

ここからは放送内容のネタバレになりますので、是非番組を聴いてからお読みください。(一部、本放送ではカットされた部分も含みます)

バイト感覚で芸能界に足を踏み入れる

杏寿さんは浦添市で生まれ、宜野湾市、那覇市と移り住んだ後、神原中学校から小禄高校へと進学。高校二年生の頃、所属していた吹奏楽部の友人達と那覇祭りに遊びに行ったところ、県内のモデル事務所のマネージャーにスカウトされたというのが芸能界入りのきっかけでした。

とは言っても、実は本気で芸能人を目指していたわけではありません。スカウトの時に「バイトがてらに小遣い稼げるよ」と誘われたということもあり、吹奏楽部の活動に集中していてアルバイトをしていなかった杏寿さんは「隙間時間に出来るんだったら、バイト感覚でやってみようかな」といった軽い気持ちで芸能活動を始めたのでした。

そんな杏寿さんの最初の活動というのが、実は”水着で踊る”というエキストラの仕事でした。有名な俳優さんたちの出演する映画だったとはいうものの、いきなりの水着というのは抵抗があったかと思いきや、「芸能活動ってこんなもんなんだな」と自然に受け止めることができ、「せっかくこうした機会をいただけたのだから」と撮影現場を楽しめたとのこと。
その最初のポジティブな経験が、その後の活動をする上でも大きかったと言います。

こうして始まった芸能活動は、その後順調に進んでいきます。
ドラマやCM、テレビにラジオなどの仕事をしていく中で、もっとこの世界に深くやっていきたいという気持ちになり、高校卒業後は芸能活動に専念。そうしたことで更に色々な仕事が舞い込むようになります。

NHK朝の連続テレビ小説「純と愛」への出演では、父親役が藤木勇人さん、母親役が富田めぐみさんという、沖縄のラジオ好きにはたまらないキャストでした。

このように”演じる”ということに魅力を感じ始めた杏寿さん。その時に思い出したことがありました。
それは小学生の頃。普段はあまり前に出る方ではなかったにもかかわらず、学芸会だけは別で、セリフの多い役をやりたいと自ら立候補していたのだとか。そう考えてみると、実は昔からお芝居に興味を持っていたのかもしれない、と気付いたのでした。

沖縄ではそれ以外にも様々な経験をしています。歌ったり踊ったりだけでなく、漫才やコントといったことにも挑戦したり。そして沖縄で活動するようになり数年経ち、より広い世界で経験したいと考えるようになっていた杏寿さんでしたが、「せっかくこれだけチャンスを貰っているんだから、今行くんじゃなくて、色々な仕事を経験してから行ってもいいんじゃないか」というマネージャーからの進言もあり、沖縄での活動にも精を出します。
その結果もあって、沖縄で多くのファンを獲得することに繋がったのでしょう。こうしたファンの皆さんは、今回の凱旋帰省でも多くの声援を送ってくれたようです。

こうして経験を積んだ杏寿さんが、沖縄を出て上京したのは2016年の頃でした。

芝居の勉強のために見た落語に心を奪われる

2016年。沖縄の事務所からの紹介で東京の事務所の面接を受け、所属することになった杏寿さんは、アルバイトをしながら色々なオーディションを受けつつ経験を積んできました。

そんな杏寿さんに東京での苦労を聞いてみると、「電車の多さと駅の複雑さ」という答えが返ってきました。
落語家に入門前のこと、実家でも猫を飼っていて猫好きの杏寿さん。「猫に癒されたい」と池袋の猫カフェに向かったものの、初めて降りる池袋駅、季節は冬で雨が降っているなか、右も左も分からずに歩くものの一向に辿り着けず、寒いし雨だし猫カフェは見つからないし「なんで東京に来ちゃったんだろう」と涙したようです。
そのくらい電車に乗るのに慣れていない沖縄人にとって、都内の電車に乗る、駅を移動するというのは大変ということですね。

さてこうして東京で一年ほど活動してきた杏寿さんにとっての転機が訪れます。
2017年10月。「芝居をするなら落語も勉強した方がいい」というお芝居の先生のオススメで、金原亭世之介師匠の落語会を見学する杏寿さん。そこで初めて落語に触れ、その世界の魅力に心を打たれることになるのでした。

その日、世之介師匠がかけた噺は「百川」「宮戸川」。そのうちの「宮戸川」で杏寿さんは衝撃を受けることになります。

「宮戸川」という噺は、ほのぼのとしていて笑える前半と、少し陰惨としていて少し肌寒くなるような後半に分かれているのですが、杏寿さんはその変化にまるで一本の映画を見ているような気持ちになったと言います。「あの面白かった入りからこんな場面に移るんだ」ということが、今でも頭に思い浮かぶくらい衝撃的だったのだとか。

そしてその衝撃的な落語と、世之介師匠との出会いから1ヶ月後。
「人生をかけて本当にやるのであればうちで面倒を見てあげる」という世之介師匠の言葉を受け、その覚悟と共に杏寿さんは世之介師匠に弟子入りすることになったのでした。

落語家への道というのは、簡単ではありません。まずは師匠の家での住み込みとなる見習いからスタートし、前座になれば都内各所の定席寄席に通い”前座仕事”をしなければいけません。それが5年続きます。まだまだ男中心の世界である落語界なので、女性として気苦労も多かったと言います。例えば身だしなみにおいて女性らしさを出し過ぎないようにする、など。

ただ、通常であれば前座の身分ではなかなか世に出ることはないのですが、杏寿さんは違いました。世之介師匠の方針もあり、テレビの企画で花魁や舞妓の衣装をして落語を披露したり、昨年のNHK朝ドラ「ちむどんどん」にもウェイトレス役として出演したり。積極的に様々なことにチャレンジすることが出来ています。

そうはいっても、やはり前座から二ツ目への昇進は大きいということで、世之介師匠いわく杏寿さんは鼻唄を歌ってしまうくらいご機嫌になったのだとか。それくらい二ツ目への昇進が嬉しかったということでしょう。
確かに二ツ目になれば、師匠の家への住み込みも終わり、自身で落語会の開催も出来るようになるなど、格段に自由度が広がるのです。そしてもちろん最も大きいのが「落語家」として名乗れるようになること。つまり杏寿さんは今年の2月11日の二ツ目昇進によって、ようやく”落語家”と名乗ることが出来るということですね。

「落語家の中で杏寿が一番好き」と言われる落語家に

こうしていよいよ落語家としての第一歩を踏み出すことになった杏寿さん。二ツ目、そしてその先の真打を見据えての目標を聞いてみました。

「二ツ目になれば、今回のように沖縄で落語会を開きたいですね。県内初の女性落語家ということで話題にしていただいている部分もあるので、色んな人に見に来てもらいやすく、落語に触れて貰えるんじゃないかとあるのかなと思ってますので、定期的にしたいと考えています」

そう語る杏寿さん。無事に二ツ目に昇進すれば、次はいよいよ真打を目指すことになります。こうして新たな目標が定まるわけですが、そんな中で杏寿さんは「女性の落語家で一番好きなのは杏寿、ではなくて、好きな落語家は誰かという時に杏寿、と名前が上がるくらいになりたい。そうなれるようにこれからも精進します」と夢を語ってくれました。

そんな杏寿さんのそばには、世之介師匠の姿もあり、収録では直接お話しいただくことも。こうして師匠の期待と愛情を一身に受け、そして「沖縄初の女性落語家」という期待も背負い、杏寿さんは今後立派な落語家になっていくのだと思います。
それを一落語ファンとして応援したいと思ったクワエでした。

こぼれ話

杏寿さんの沖縄でのフェイバリットスポットは、那覇空港からも近い南城市にある奧武島。最近は「天ぷらと猫の島」としても知られるようになりました。
杏寿さんの目当てはやはり天ぷら。沖縄の天ぷらは、実は県外ではなかなか食べられないんですね。島の天ぷら屋さんで天ぷらを買って、海を見ながら潮風を感じながら天ぷらを美味しく頬張るのが幸せだった、と東京で生活するようになってから感じるようになったんだとか。
ちなみに沖縄天ぷらは東京だと銀座(有楽町移転)のわしたショップでテイクアウトできるので、杏寿さんには今度ぜひ師匠を連れて行ってみて欲しいものです。

そしてこのラジオ放映がなされたタイミングで迎える週末は、杏寿さんはなんと沖縄で落語会を3公演!! 1/7が小浜島、1/8と1/9が世之介師匠との親子二人会として那覇市と糸満市で、それぞれ開催されます。

前座という今だから見られる杏寿さんの落語、是非県内の人にも味わってほしいですね。
「落語会に行けなかったよ~!」という人には、ぜひYouTubeやニコニコ動画をオススメします。花魁姿などにコスプレした杏寿さんが落語を披露していますよ。


最後に、杏寿さんからファンやリスナーにメッセージ。

【杏寿さん】
上京してから地元の良さがあるなと実感しました。だから地元を出たいと思う人はもちろん一度出てみるのも良いし、逆に地元が好きだからここから出ないという人に守られているっていうこともあると思います。
どちらが正しくてどちらがダメということはもちろんなくて、自分のなりたい道を進んでいくと、楽しいことがあったり、素敵な人生になるんじゃないかと、今実感しています。
たくさん辛いことがあっても、私は母親が沖縄に居て「いつでも帰っておいて」と言ってくれているので、こうして自分の居場所に出来るっていうのも故郷の良さだと思います。
前座として経験してきた中で、やりたいことにチャレンジする方が人生はまあ楽しく生きられるんじゃないかと思うので、どんどん動いてみたらいいと思います。


2月11日に二ツ目に昇進し、いよいよ始まる杏寿さんの落語家の道のり。
沖縄から出て辛くなった時には杏寿さんの落語を聞きに来て笑う。それもいいんじゃないかと思います。

今後の落語家としての杏寿さんの活躍を期待しつつ。

次回のゲストの紹介

さて第16回となる次回のゲストは、沖縄から高知へ移住して活躍、そして現在は東京に活動拠点を移し、全国でライブ活動を行っているジャアバーボンズの皆さんです。

【Twitter】 【TikTok】  【公式HP】

ジャアバーボンズの皆さんは、沖縄大学でバンドを結成した後インディーズデビュー。そしてダイドーコーヒーのCMソングでメジャーデビューし2021年にはメジャー10周年を迎えました。

金ちゃんねぎラーメンでの出演でもお馴染みの四人に、これまでのバンド人生とこれからの活動について伺っていますので、どうぞお楽しみに。

2023/1/13、22時~ オンエアーです!


「Watta! Itta!」(ラジオ沖縄)
毎週金曜日 22:00~22:30
ハッシュタグ:#ワッタイッタ
メール:watta@rokinawa.co.jp
→皆様からの感想やゲスト候補の自薦・他薦もお待ちしています!


【Watta! Itta! Credit】
・Sponsor
一般社団法人あゆむ
株式会社バリューブリッジ
株式会社しんか
有限会社はま食品

・BGM
(Opening)「Emotronik」佐土原隼人
(Ending)「かえりじたく」ninny
(Jingle)なるけしんご、近藤崇、ハヤシユウ

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